三代目虎真之助blog 『森から出たまこと』

「森はいのちの源」 奥三河の森から学んだこと、感じたこと、得たものを書き記しています。

ドイツ研修5「里山の利活用」

2016-10-11 14:36:08 | 森づくり

森林を見て回った後に向かったのは、里山。

ドイツでは、森林と住宅の間の緩衝地帯として、こうした牧草地がある風景をよく見かける。

その理由は以下の3点にあるようだ。

・獣と人との生活空間を分ける。

・伝統的な風景を残すことで観光資源として維持する。

・狭い国土の中で、土地を有効活用する。

 

ドイツの国土は約357,121平方メートル。

日本(377,972平方メートル)とほぼ変わらない。

 

そこで、里山を活用して果樹生産を行う農家も多い。

代表的なのがこれ。

そう、ワイン用の葡萄畑。

 

ドイツというと「甘い白ワイン」を思い浮かべる方も多いようだが、そんなことはない。

ここバーデン地方では、白ワインは辛口の方が主流であるし、しっかりとした赤ワインも豊富にある。

車で40分も走れば、フランスのアルザス地方であることを想像していただければ、ご納得いただけるかと思う。

 

 

もう一つがこれ。

高木果樹と呼ばれる生産方法で、リンゴやナシ、クリなどを栽培している。

 

9/19に訪れたエコ農場Houchburg(Emmendingen市郊外)では、

州から借りた100ha(1,000,000平方メートル)の土地で、約270種類の果樹を育てていた。

 

この高木果樹生産、収穫にものすごく手間がかかる。

ひとつひとつの木をゆすって、果樹を落とさなければならないためである。

 

そこで、それ以外の維持管理コストをいかに下げ、

また収穫物を販売する際に、いかに付加価値を高められるかが採算性のカギとなる。

 

近年は採算性の悪化を理由に、この農法を諦める農家も増えているようで、

州としては伝統的な里山風景を残すために、州の土地に果樹を植え、

その土地を管理する民間人を募集して、景観維持を果たしているそうだ。

 

この農場の若き農場主は、非常に柔軟でアイデアにあふれた方だった。

 

まず、なんといっても維持管理にコストがかかるのが草刈である。

よくドイツで見かける風景としては、牛の放牧であるが、

牛は木の幹を食べてしまったり、根っこ周辺を掘り起こしてしまう危険性が高い。

※上記写真の土がむき出しになっている部分は、牛が掘り返してしまったところ。

 

そこで、この農場では、ガチョウを使った牧草の維持管理を試みていた。

ドイツでは、クリスマスにガチョウを食べる風習があり、

毎年、春から秋にかけ、ここで牧草を食べさせながら育てて、冬に出荷しているとのこと。

 

実はガチョウは本来2ヶ月程度で出荷できるそうなのだが、

ドイツではクリスマスにしかガチョウを食べないため、冬までの餌代をどう工面するかが課題となっていた。

 

一石二鳥のアイデアである。

 

次に、収穫物にいかに付加価値をつけるかである。

この農場では、果樹を使ったジュースを直営で販売していた。

これが少し濁った感じのリンゴジュースで、いかにも農場直営といった雰囲気もあり、おいしいかった。

また、乳牛を約80頭、鶏を1800羽、ヤギも200頭も買っているため、

とれたての生乳や卵も直営自販機で販売したり、近隣の食品工場へ出荷しているとのこと。

 

州が景観保護のために支出している補助金は、果樹1本7ユーロのみ。

 

とても採算が合う金額ではないため、上記のような工夫をしながら、

この100haの面積を、わずか4人のスタッフで管理しているとのこと。

 

実際のところ、いまドイツでは、専業農家で食べていくためには、約300ha以上の土地が必要とのこと。

農林家(ドイツでは農業と林業を兼務している方が多いためこう呼ぶ)の約80%は、

20~30haの農地と同規模の森林を所有し、昼間は工場に勤めながら、早朝や週末に農林業を行っているとのこと。

 

ときに日本人は働き過ぎだと言われるが、いやいや一次産業に携わる人は、ドイツでも同じだと実感。

 

この日の午後は、もう1軒の農家を訪問。

ここのご主人がまた、驚くほどの働きものだった。

 

つづく。

 

ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« ドイツ研修4「欧州型林道の効... | トップ | ドイツ研修6「里山の利活用2」 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。