高校卒業後、多くの同級生が進学のため、関東や関西方面に散らばった。
そんな仲間たちと、盆や暮れの帰省時に集まり、酒を酌み交わしたのがこの場所。
マイアミ(豊橋市松葉町)
安い居酒屋しか知らなかった当時の自分たちにとって、ここは少し大人の場所であり、
いま思い出すと赤面するぐらい恥ずかしい話なのだが、
初めて集まったときの服装はみな、入学式で着用したスーツだった。
あれから約四半世紀。
意外なことに、よく集まっていた仲間の多くは、やがて東三河へと戻ってきた。
家業を継ぐ者、地元企業に就職した者、自ら地元で起業した者。
だが、みなが社会人となり、家庭をもつようになると、それぞれの事情が優先され、
こんなに近くにいるにもかかわらず、この店で酒を酌み交わす機会はなくなった。
ただ、1つの機会を除いて。
仲間の1人は、今も関西に在住し、大手企業の管理職を務めている。
多忙を極め、帰省してくるのは今や2~3年に1度となったが、
その帰省の連絡を待ちわびるかのように、東三河に暮らす仲間たちが、この店に集まった。
それぞれの事情を調整しながら。
集まれば、毎回、毎回、同じ話の繰り返し。
いくつになっても高校時代の他愛もないいたずらや色恋話を茶化しあい、
「あんたらちっとも成長しんね」と、店のママに呆れられていた。
そんな自分たちにとってノスタルジアを感じるこの店が、
4/15(土)をもって、65年の歴史に幕を閉じた。
最後にママが言ってくれた言葉。
「あんたら、みんな立派になったね」
嬉しくもあり、寂しくもある。