ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

薄明

2015-01-30 22:17:06 | 詩集湾Ⅱ(1993年5月20日)

かはたれどき

ややもやがかかって

 

高台のわたくしたちの家

縁側にわたくしたちが並んで立って

 

国道沿いにならび それに交差してならび あるいは無造作に点在する街灯が

まだまぶしい時刻

川面に

やや明らむ空が映り

 

妻問婚の時代であれば

後朝(きぬぎぬ)の別れの刻か

数か月前のわたくしも

あの川沿いの道を急いでいた

 

ああ 妻よ

わたくしたちは一緒に暮らしている

 

詩集湾Ⅱ 第Ⅳ章幻想旅行 より

 

2015年の注;この高台からの風景はいまも当時も変わらない。しかし、2011年3月11日からしばらくの間は、街灯がひとつも見えなかった。家の灯りも見えなかった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿