特定非営利活動法人精神医療サポートセンター

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目から鱗 -創傷処置の誤解-

2008年10月26日 | 看護論的経営論




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今日、予備校の学生から質問がきた。



「先生、今実習で褥そうの患者さんがいてるんですけどー



「どしたん?」




「一人の指導者は、イソジンシュガー(医師の指示)のあと、ガーゼを張って、テープを過度に四方の角にだけ貼るように言われたんです。もう一人の指導者には、同じ処置のあと、透明のテープを張るように言われたんです。どっちが正しいんですか?」と・・・



そもそも、褥そうの処置にイソジン関連のものを使うのはタブーなわけで、ガーゼもそもそも傷を乾燥させるわけで、滲出液が傷を回復させるものであるということもしらず、乾燥させたり、洗浄したりふき取ったり・・・



細かい話をすると相当長い話になるので割愛するが、現場の看護師はその知識の偏りの矛盾を知らない。さらに学生はそこで間違った質問攻めにあう。学生に質問された私も治療に関してうそはつけない。

学生には、「本当はこうだけど・・・これを伝えるのは難しいよね・・・」

と、両挟みの学生をどう救っていいか分からず、今の医療レベルのバラつきを象徴する出来事であり、それに巻き込まれている学生も不幸であるとしか言いようがない。最新の情報を仕入れいていても、指導者の思うような回答がなければ少なくとも実習の評価に響くわけであろうし、本当に悲惨な話である。

学生によれば、

「なんで、全体を密封しないのかわかる?」

と質問されたとのこと(ニュアンスは違うが)。



いや、むしろ感染の兆候がなければ密封しなければらないし、私は指導者の質問の意図はわからない。



これで教育されていく看護学生も不憫でならず、この問題だけではなく看護知識の多くが偏っているのだと思うと、多少その格差があっても仕方ないにせよ、それを少しでも縮めるにはどうするべきか。どうしたらよいのかを、改めて考えさせられる。

精神科医療においては、よりその傾向を強く受ける。諦めるばかりではなく、NPOの活動を通じて、その開きをどうにかしたいものである。





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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (nursman)
2008-10-26 10:55:17
実習のあるあるネタだねぇ~。

知ってる積りで学生を指導する指導者。
指導者の期待する返事をしないと評価が下がる。

今でもそんな、しんどい指導者っているんだねぇ~。
そんなところでの実習、参るわ。
Unknown (ナースマン)
2008-10-26 12:10:22
その後の具合はいかがでしょうか?
デク処置は日々変わっていきますからねー
ほんと難しいです

ついこの間までドライにといってたと思ったら、今度はウエットがいいんだとか
イソジンも一時期だめだとか言われてたのに、最近は見直されてきたとか
生食洗浄が必要なのか、微温湯洗浄のみでいいのか、それすらも賛否両論だったり…

まぁいろんな勉強会にでればいろんな意見を聞きます(笑)


それはともかくとして、誰かに指導するということは自分自身が正しい知識を持ってないといけないですからね
改めて講師をしているもっさんを尊敬でございます(^^)
Unknown (もっさん)
2008-10-26 18:16:22
>ナースマンさん
そうですよね。
褥瘡治療に関しても色々言われていましたが、これでひとまずの決着がついたと思います。科学的根拠もさることながらかなりの大規模な統計と結果が出てるので、これよりよい治療が今後現れることは別として、ようやくエビデンスに基づいた治療が確立されてきました。まだ一般には浸透してないようですから、一刻も早く広まってほしいですね。
そうそう、勤務表できあがったら懇親会の連絡くださいね♪
Unknown (もっさん)
2008-10-26 18:17:26
>nursman

ほんとそうですな。実習指導者に嫌われたりして卒業が危うくなったとかきいたことあるしねぇ。ああ怖い
すべてが学びの場 (もえこ)
2008-10-26 22:06:41
少なくとも実習病院に指定されている病院に基準看護や看護手順等の取り決めがないのがおかしい。同じ病棟で全く違う処置が行われているのはあまり考えられない。また、あったとしても、私はこのケース、学生が不憫だなんて思いません。二人の指導者から違うことを言われたとき、このようにするようにA指導者に言われました。どちらを選択してよいのか分かりませんときちんと応答する事が大事であること。また、正しい方法はなんだろうかと明らかにする姿勢が学習だと思うと、ここは学生には大事な場面ではないでしょうか。こんな事が実習ではないかと思うのですが・。一生懸命に実習している姿勢や態度は、どのような指導者にも伝わるものです。それで、評価が悪ければそれでよいというようなプライドを持った学生を育ててください。もっさん!
Unknown (もっさん)
2008-10-26 23:17:40
もえこさん

本当にそうですよね。

処置に関して、「本当はこうだよ。だけど、指導者さんたちは2人が別のことをいってるんだね。立場的につらいよね。」

そういったあと、

「教務には、調べたことと指導者に対してどう対応したらいいかってことを聞こう」

とはいいましたが、民間の看護学校では、教務はあまり力を持たないし、もえこさんの言うようにスムーズにいくのは難しいことが多いですよね。

私と学生との関係は、実習で会う“指導者と学生”との関係とは違い、また複雑な背景があります。とはいえその時に的確な指導ができてこそ期待されている私かもしれません(え?ちがう?(笑)

そのようになれるように、日々努力したいとおもいます。

また、もえこさんのご指摘によりハッとさせられたのも事実です。

予備校の講義の途中の休憩時間の決められた時間での質問とはいえ、無責任にではなく、適切に意見できるように私自身成長していかなければならないと思います。本当に、ご意見ありがとうございます>
イソジンシュガーなんて (marara)
2008-10-28 01:17:16
もう過去の事と認識してました。(ちょっと話はそれましたが。)
勉強会などに行くと笑い話の種になるくらいですから今でも使ってるところがあるなんて真剣に信じられないです。
それにしても学ぶ意欲のある学生の状況がもどかしいですね。これだけインターネットが発達した今、何が正しくて何が正しくないのか、インターネットなり文献なりで自分で答えを探せる人材に育つのも必要かもしれません。
それをどう職場に浸透させるかは別としても。。
Unknown (もっさん)
2008-10-30 16:58:09
>mararaさん
難しい問題ですよねぇ。
これは褥そうの問題だけではなく、もとをたどれば医療や看護水準の格差にまで及ぶんですよね。
ほんと難しい問題です。

早くニューヨークに行って見学会を実現させたい!!!^^

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