日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2017(28)

2017-07-27 09:07:23 | 野球
試合数は減る一方かと思いきや、34日目は20大会47試合と若干ながら増えました。7代表が決まり、これで過半の25代表が出揃ったことになります。

・北信越
福井の決勝は敦賀と坂井の組み合わせになりました。坂井といえば、昨年敦賀気比を延長15回の死闘の末に下し、一躍天下に名を知らしめたチームです。統廃合により新設されて一昨年から参戦し、二年目にしていきなり大金星を挙げたわけですが、その夏は余勢を駆って4強に進出し、秋季県大会では準優勝して北信越大会に進み、春季県大会でも4強入りして、あの一戦がまぐれではなかったことを証明しました。こうして臨んだ選手権も、初戦で昨季代表の北陸、準決勝で福井商を下しての決勝進出です。対する敦賀は選手権で1勝、秋季は初戦敗退、春季も1勝のみに終わっており、春季県大会で敦賀に引導を渡したのは坂井でした。数字の上では坂井に分がありそうですが、混戦から抜け出した両校同士の対戦だけに、大本命が勝ち上がってきた他県以上に読みにくい部分もあります。敦賀は古豪の意地を見せることができるでしょうか。
なお、小松大谷は敗れ、星稜と戦うことなく姿を消しました。悪夢の決勝戦の後も毎年選手権で相見え、いつの日か宿敵を討ち果たして全国へという物語を予感させた同校ですが、残念ながらその物語は一旦白紙に戻ったことになります。

・東海
静岡の決勝で一悶着がありました。静岡から14点を奪った打棒を発揮し、藤枝明誠が序盤から大差をつけて楽勝かと思いきや、突如として暗雲が立ちこめました。敵は相手チームではなく天候でした。7回途中に雨で試合が中断されたのです。
プロならそのままコールド勝ちになるところ、そうはいかないのが高校野球の特殊事情です。通常5回終了時点で成立する試合が、高校野球に限り7回終了時点になるのは以前も述べた通りですが、決勝に限ってはコールドを一切採用しないというさらなる例外があるそうなのです。いわゆるサスペンデッドも高校野球にはないため、一旦始めてしまえば勝負がつくまで戦うか、延長15回で引き分けるか、さもなければノーゲームにするかのいずれかしかないということになります。
同点ならともかく、一方的な展開で終盤に突入し、そこで中止といわれても、勝勢の側にとっては到底受け入れられるものではありません。ましてや再試合の結果が逆転でもすれば、高校野球史上に残る悲劇になります。不穏な空気が流れる中、結局3時間近い中断を経て再開し、9回まで戦って試合成立という顛末でした。中断前に12対2だった得点が、終わってみれば23対10などという野球とは思えないものになっていたことからして、まともに攻撃、守備ができる状態ではなかったのでしょう。本来なら中止になって然るべきところ、上記のような経緯から止めようにも止められず、無理を承知で続行したというのが実態のようです。
高校野球特有の規則が生んだ珍事でしたが、雨の中で戦わされた選手にとってはとんだ災難でもありました。勝った藤枝明誠はまだよいものの、最善を尽くせず敗れた日大三島には、端から見ても少々気の毒な結末です。久留米商の降雨引き分け再試合にしてもそうでしたが、サスペンデッドという仕組みがあれば、よりよい形で解決できた問題ではないかと思うのですが。タイブレークなるものの導入が議論される中、一石を投じるかのような試合結果でした。

・近畿
彦根東が予想通りの投手戦を制し、四年ぶり二度目の代表に返り咲きました。目下公式戦21連勝中の大阪桐蔭に最も肉薄した公立校は、春季近畿大会4強の同校であり、その次が選抜で対戦した静岡です。静岡が代表の座を逃した今季、同等以上の実力を持つ公立校は現れそうにもありません。平成20年代最初で最後となる公立校の全国制覇があるとすれば、それを成し遂げるのは彦根東以外になさそうです。
大体大浪商と興国はいずれも8強に進出し、次はそれぞれ履正社、大阪桐蔭と戦います。我が世の春を謳歌する両校が揃って勝てば、準決勝が事実上の決勝となり、おそらく早実戦以上に世間の注目を集めるでしょう。十中八九かそれ以上が同様の筋書きを思い描く中、古豪が意地を見せられるかに注目です。

・中国
山陰で2校勝ち残っていた皆勤校が揃って準決勝に臨み、大社は散るも米子東が決勝進出を果たしました。鳥取西の陰に隠れがちな同校ではありますが、13回の選手権出場は歴代2位、8回の選抜出場は次点に大差をつけての最多を誇る名門です。勝てば平成4度目にして今世紀初の甲子園出場となります。

・四国
結局奇跡は起きることなく、明徳義塾が8連覇を達成しました。とはいえ、何点取られるのかと気を揉んだところが、7点に抑えたばかりか3点奪った梼原の戦いぶりは天晴れでした。
統廃合の危機に瀕していた同校の活性化策として野球部を設け、それ以来町を挙げて支援してきたのだそうです。三年目に初勝利を挙げ、八年目に初の8強進出という、文字通り「桃栗三年柿八年」の地道な歩みを続け、11年目に巡ってきた初の決勝進出でした。今春の選抜に呉が初出場したとき、高校野球による町おこしとして注目を集めましたが、同様の取り組みが四国でも続けられていたわけです。人里離れた山奥に選手を集めて鍛え上げるという点では、明徳義塾の公立版とでもいえばよいでしょうか。
賛否両論ある野球留学に対して自分は肯定的です。野球は競技であり、競技の目的は勝つことにある以上、そのためにあらゆる手段を尽くすのは当然だからです。さらにいえば、その努力は勝つことによってのみ報われるというのが自分の考えです。憎まれ役の私立校が勝利という唯一にして最大の目的を果たし、人気者の公立校、伝統校が判官贔屓の心情に訴えることで公平が保たれているともいえます。明徳義塾がどれだけ勝ち続けても、憎まれ役の汚名をそそぐことができないのは、悪名高き五連続敬遠のせいなどではなく、地域性に乏しい私立校の宿命なのです。
見方を変えると、地域を巻き込む形で強化を図ることができれば、高校野球界に新たな潮流を生む可能性があるともいえます。呉に続く梼原の健闘ぶりは、年々衰退していく高校野球界に、活性化の方策を示したものとはいえないでしょうか。B級グルメのように乱立するのも考え物ではありますが、この動きが各地に波及し、その中から全国を窺うチームがいくつかでも出てくれば、地方大会の楽しみが増えるかもしれません。
生光学園は無名の板野に不覚を取りました。2点先制するも追いつかれ、同点で迎えた9回に3点奪われ終戦という結果でした。全国に唯一残った公立の聖地が守られたことは、公立校を依怙贔屓する当blogとして歓迎すべきことなのかもしれません。しかし、全国を窺う実力がありながら、常にあと一歩及ばない生光学園に対しては、判官贔屓の心情が湧いてくるのも事実です。今春の選抜に落選したことで、その心情はより大きなものとなりました。小松大谷ともども、来季以降の戦いぶりにも注目していくつもりです。

★富山大会準々決勝
 富山0-7高岡商
★石川大会準々決勝
 日本航空石川7-4小松大谷
★福井大会準決勝
 坂井2-0福井商
 敦賀4-3武生商
★静岡大会決勝
 藤枝明誠23-10日大三島
★愛知大会5回戦
 愛知2-9x栄徳
★滋賀大会決勝
 滋賀1-4彦根東
★大阪大会5回戦
 吹田2-5大体大浪商
 興国10-4近大泉州
 上宮5-4阪南大
★鳥取大会準決勝
 倉吉東0-6米子東
★島根大会準決勝
 大社3-7益田東
★徳島大会準決勝
 板野5-2生光学園
★高知大会決勝
 梼原3-7明徳義塾
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