日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

この季節の楽しみ 2017(26)

2017-07-25 09:28:18 | 野球
山形と新潟の決勝戦が二日続けて中止に追い込まれるなど、七月の下旬になっても天候が冴えません。その一方で気温は再び上がり、どうにも過ごしづらい今日この頃です。32日目は新たに3代表が決まり、23大会52試合の開催でした。

・東北
盛岡大付が圧倒的な打棒を発揮し連覇を達成。下馬評通りに勝ったのは聖光学院も同様ながら、あちらでさえ決勝戦は紙一重だったわけであり、目下の勢いに関する限りは盛岡大付が突出しています。
それはさておき、敗れた久慈は影ながら追いかけてきたチームの一つです。自分が依怙贔屓にするチームといえば、十中八九が古豪、伝統校、変わり種、僻地のチームのいずれかであり、久慈は僻地のチームに属します。北三陸の果てに位置する小さな町は、県都まで直線距離なら100km弱ではありますが、当然ながら直線状に行く道はなく、陸の孤島といっても過言ではない場所です。そのような町のチームだけに、どこと対戦しても隔絶された感が漂い、中でも県南のチームとの組み合わせは、岩手の県土の広さをありありと実感させてくれるものです。今季は初戦の一関修紅を降り出しに千厩、花北青雲、黒沢尻工、大船渡東の順でことごとく県南のチームを破り、最初で最後となった県都のチームが盛岡大付でした。
春季県大会でも決勝戦で盛岡大付と相見え、その戦績によりシード入りして迎えた今大会でしたが、主催者による下馬評は盛岡大付の圧倒的優位であり、久慈については花巻東に次ぐ三番手、四番手といった程度の位置付けでした。自身僻地のチームという理由で注目していたに過ぎず、その実力を見くびっていた不明を恥じています。僻地にありながらの健闘ぶりは、北海道の遠軽にも通ずるものがありました。来季以降も上位に進出してくれば、不来方に次ぐ見所となっていくかもしれません。
なお、青森で勝ち残っていた公立2校はいずれも敗れました。秋田も金足農に敗れて決勝進出を逃し、北東北はこれにて事実上の終戦となります。

・北信越
仕切り直しとなった決勝戦を松商学園が制し、九年ぶりの代表返り咲きを果たしました。相手投手の乱調に乗じ、初回にいきなり4点を先制するも、以降は走者を出しながら決め手を欠き、徐々に追い上げられて中盤に同点という展開は、前日の南北海道大会を彷彿させるものでした。あちらの幕切れからして、佐久長聖の逆転勝ちという展開も浮上する中、終盤に待望の適時打が飛び出し、そのまま逃げ切るという結末です。佐久長聖の完勝だった昨年とは対照的な、まさに紙一重の勝利でした。
佐久長聖の後塵を拝し続け、不祥事による出場辞退も経験するなど、松商学園にとっては苦難の時代となった平成20年代でしたが、最初と最後を制覇して、終わりよければ全てよしともいえる結果になりました。その相手がいずれも佐久長聖だったのは、偶然の産物とは思えないほど出来過ぎています。
草創期から君臨し続ける松本の雄に、北信、東信の好敵手が立ちはだかってきた信州の高校野球の歴史は、南と北が競ってきた県土の歴史そのものです。北が覇権を握った平成20年代が終わり、いずれは元号も変わろうとする中、どちらが次なる時代を制するのでしょうか。来季以降の戦いが注目されます。

星稜は4強進出を果たしました。本日の試合に小松大谷が勝てば、準決勝では両校が相見え、因縁の対決が今年も実現するところでしたが、雨のため早々と中止が決まっています。
古豪敦賀と福井高専の一戦は敦賀に軍配が上がり、同校と武生商、福井商、坂井が4強入りを果たしました。こうなると最も順当なのは福井商の返り咲きですが、天の邪鬼としては敦賀の今世紀初制覇、あるいは春夏通じて初出場となる無名の2校に期待したくなってきます。

・近畿
戦前の古豪海草中改め向陽が延長戦で惜敗し、7年ぶりの4強入りを逃したのが目立つ程度です。古豪の宝庫だった近畿も日毎に淋しくなってきました。

・中国
昨年の代表校高川学園が準々決勝で散りました。久慈と同様、ここも影ながら追いかけてきたチームの一つで、昨年短い時間とはいえ観戦したという縁に加え、明治11年創立の伝統が決め手となっています。何かにつけて公立校を依怙贔屓にしがちなのがこのblogの特徴で、伝統校の中でも私立については蔑ろにしてきたところが少なくありません。しかし、三重の高田、香川の尽誠学園を始めとして、県都最古の公立校より長い歴史を持つところがいくつもあります。それらの名門に対する罪滅ぼしの意味も込めて、明治10年代までに創立されたところについては、今季から極力拾っている次第です。

・九州
福岡、大分以外の代表が決まり、大分も決勝戦を残すのみとなった今、事実上最後の見所となったのが、8強に勝ち残っている初代代表久留米商の戦いです。その久留米商の一戦が白熱した展開となりました。序盤から筑陽学園が優位に試合を進める中、5回に一挙4点返してからは五分の展開となり、1点差のまま迎えた最終回、万事休すと思われた二死無走者から、起死回生の同点劇により延長に突入。ところが10回終了後に降雨で中断し、そのままコールドという結果でした。
終盤は久留米商がやや押し気味だっただけに、続行されていればと仮想する一方で、勝ち越すまでの決定力を欠き、膠着状態に近かったのも事実です。後攻が優位を保つ延長戦の心理状態を考えても、あのまま続けてどうなったかは何ともいえません。熱戦に水を差された両軍選手の心境はさておき、こちらとしてはもう一試合楽しめると前向きに捉えています。

★青森大会準々決勝
 青森東1-10八戸工大一
 青森中央3-9八戸学院光星
★岩手大会決勝
 久慈0-9盛岡大付
★秋田大会準決勝
 秋田1-6金足農
★千葉大会準決勝
 検見川2-7習志野
★東東京大会準々決勝
 上野学園1-6二松学舎大付
★長野大会決勝
 松商学園5-4佐久長聖
★石川大会準々決勝
 星稜11-1金沢市工
★福井大会準々決勝
 坂井10-1武生
 敦賀5-1福井高専
★大阪大会4回戦
 阪南大6-1金剛
★和歌山大会準々決勝
 向陽3-4x紀央館(延長10回)
★山口大会準々決勝
 下関国際4-0高川学園
★福岡大会準々決勝
 久留米商7-7筑陽学園(延長10回)
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