日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

鐘は上野か浅草か 2012初冬

2012-12-09 19:26:47 | 居酒屋
ささやかな活動の最後は忘年会で締めくくります。今年の会場は浅草の「○吉八」です。
過去の記録をひもとくと、四年前が門前仲町、そこから三年続けて高田馬場だったので、この店での忘年会は開店の年以来五年ぶり二度目ということになります。しかし、それほど間が開いた気がしないのは、店主とも参加者とも気心が知れているからなのでしょう。冬晴れの一日を棒に振ってまで毎年出席するのは、このマンネリズムを楽しむためといっても過言ではありません。
四十路前後のやさぐれ者共が雁首揃える、華も何もない集まりです。毎度くだらぬ趣味の話を肴に馬鹿騒ぎを繰り返し、何年経っても全く進歩はありません。しかしそれでよいのです。自分にとってこの面子による忘年会は、あらゆる知人と疎遠になったニート時代でさえ欠かすことのなかった年に一度の恒例行事であり、たとえていうなら大戦中も続いたワールドシリーズのようなものなのです。

○吉八
東京都台東区雷門2-11-7 富山ビル2 B1F
03-3847-0511
1800PM-2300PM(LO)月曜他不定休
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鐘は上野か浅草か 2012初冬

2012-12-09 18:18:13 | MOS
再びバスに乗って押上まで移動してきました。集合までの残り時間を使ってもう一軒MOSに立ち寄ります。
見事なまでに現代的で無味乾燥なスカイツリーとそれを取り巻く商業施設群をよそに、押上の商店街はこれまた見事にうらぶれており、その一角にある三階建ての古びた小さいビルに入居するのがこのMOSです。ところが、ともすれば侘しさが漂ってきそうなこの立地は、演出の妙で見事に補われています。
まずよいのが建物の造りです。角地に面した折妻のファサードには、大きな四角い窓が規則的に並び、その窓の上下は煉瓦タイルで、左右はコンクリートで仕上げられています。これによって、あたかも石柱を五本立て、その間に煉瓦の壁と窓のサッシを交互に落とし込んでいったかのように見えるのです。
それ自体はビルの設計者の功績だとしても、古い建物を活かして巧妙な演出をしているところにこのMOSの真価があります。その演出とは、窓の間をライトアップして、柱が並んだような外観をより引き立てているというのが一つです。そして、三面に分かれた折妻のうち、中央の最上部に正方形の小さいMマークが掲げられ、これにより建物の表情が俄然引き締まって見えるという、周到な計算がなされています。
明るくライトアップされた外観に合わせたのか、白壁と白木を基調にした店内は明るく開放的です。かつては証券会社の支店だったというだけに天井が高く、それも開放感を演出するのに一役買っています。白木に見える部分がほとんど安物の合板であること、千駄木のMOSと同じくテーブルが極端に狭いことなど明確な欠点はあるものの、建物の外観を含めた総合点としては、かなり真っ当な部類ではないでしょうか。
それにしても、看板建築を活かした巣鴨のMOSに続いて、古い建物を活かしたMOSが立て続けに現れるとは、さすがに予想できませんでした。これが都市型店舗のトレンドとして波及してくれれば大歓迎なのですがね…

モスバーガー押上店
東京都墨田区押上1-23-1土居ビル1階
03-5637-9022
700AM-2300PM
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鐘は上野か浅草か 2012初冬

2012-12-09 17:27:31 | 関東
往復乗車に加え、起点終点にあるダブルクロッシングの全ルートを走破して終了です。画一的でつまらないのが新交通システムの相場であるところ、思いの外楽しい路線でした。沿線に高い建物が少なく、その一方で高架桁は不必要と思えるほど高いため、非常に眺めがよいのです。冬晴れで遠景まではっきり見渡せ、なおかつ刻一刻と眺めが変わる夕暮れ時だったのもよかったのでしょう。固定式ながらもクロスシートが並び、一部区間を除けば適度に空いており、これが700円で乗り放題なら、一度限りといわずまた乗ってもよさそうな気がしてきました。まあ三回乗れば飽きそうな気はしますが…
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鐘は上野か浅草か 2012初冬

2012-12-09 16:12:22 | 関東
MOSに想定外の長居をしてしまい、日没間際にしてようやく本日の真打ち、日暮里・舎人ライナーの登場となります。俗に「乗りつぶし」といわれる活動ですが、いつでも行けるとたかをくくっているうちに、気付けば開業から五年近い時が経ってしまいました。かつての自分なら、乗り残した路線が一つでもあると気になって仕方がなく、すぐさま乗りに行ったことでしょう。要はそれだけ鉄道愛好家としての熱が冷めたということです。
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鐘は上野か浅草か 2012初冬

2012-12-09 14:51:14 | MOS
駿河台下からバスを二本乗り継ぎ千駄木に着きました。目当てはここから谷中にかけての古い町並み、といいたいのはやまやまながら、それを始めると一日がかりになるのは必至です。例によってMOSを訪ねるのが本日の目的になります。
マンションの1階にあるどこにでもありそうな都市型店舗ながら、この店舗には明確な欠点があります。一つは、ファクトリー並にメニューを絞っていることです。そして、もう一つの問題点は、「とにかく狭い」ということにあります。間口が狭いのもさることながら、そのしわ寄せが客席に現れていて、テーブルの幅が極端に狭いのです。どれだけ狭いかといえば、少し大きめのノートPCとほぼ同じ幅で、自分が使用している13.3型のPCでさえ、辛うじてマウスをつなぐスペースがとれるにすぎません。古い大衆酒場によくある白木の小さいテーブルを、真ん中で二つに切ったような大きさだと思ってもらえば、呑兵衛には通りがよいのではないでしょうか。
よくよく観察すると、テーブル以外にもこの店舗の狭さは至る所に現れています。中でも特筆すべきなのが店内の構造です。奥手に長い店内の右手にレジと厨房が、左手に客席が配置されるのはごく普通の構造ながら、その厨房の幅が奥へ行くほど狭くなり、代わって客席部分が徐々に広がっていくのがこの店の特徴で、これにより、一番奥に四人掛けのボックス席が辛うじて二つほど捻出されるという仕掛けになっています。絞り込まれたメニューも、厨房の狭さと引き換えにした苦肉の策だったのでしょう。厨房と客席を仕切る壁に架かった数センチ幅の小棚にはクリスマスの小物が飾られ、レジカウンターと腰板にも天然木が使われるなど、見方によってはあながち悪い店舗とはいえません。むしろ設計者の苦心の跡がうかがわれるという点では、最近横行する安普請の郊外型店舗などよりよほど良心的とさえ思えてきます。惜しむらくは、収容力と引き換えにテーブルをあと一つか二つ減らしてもらえば、この狭苦しさも劇的に改善されそうだということです。しかし、この店に負けず劣らず狭い店舗が、かつての路地裏型店舗に少なからずあったことを思えば、これが古きよき路地裏MOSの現代的姿といえるのかもしれません。

モスバーガー千駄木店
東京都文京区千駄木2-21-1
03-3823-9310
700AM-2300PM
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鐘は上野か浅草か 2012初冬

2012-12-09 13:40:32 | 関東
自転車を預けて、ようやく実質的な活動開始となりました。最初の目的地は千駄木です。しかし地下鉄で直行するのではなく、わざわざ都バスを乗り継いでの移動になります。理由は都営の一日乗車券を買ったからで、この一枚で日暮里・舎人ライナーはもちろん、本日の移動手段も全てまかなえるという算段です。別に交通費を惜しんでいるわけではありません。都バスを乗り継いで移動するのが、日暮里・舎人ライナーと並ぶ本日の活動の趣旨なのです。学生の時分は、この一日乗車券を使って都バスの旅をすることがしばしばありました。今回は限られた時間でどれだけ乗り継ぐことができるでしょうか。
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鐘は上野か浅草か 2012初冬

2012-12-09 12:35:11 | 旅日記
活動を再開します。まずは自転車を修理に出すという野暮用を済ませてから日暮里・舎人ライナーに乗り、その合間に時間の許す限りMOSを拾って、夜は浅草で忘年会というのが本日の予定です。早起きできればついでに成田スカイアクセスも押さえたかったのですが、油断からまたしても寝坊してしまいましたorz
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北関東日帰り撮影ツアー 2012初冬

2012-12-09 01:20:19 | 関東
帰宅しました。日帰りという事情はあったにしても、群馬まで足を延ばして173kmとは、思った以上に短い行程でした。しかし、うどん、酒屋、撮影、乗車にMOSめぐりと、昼近くから動いたにも関わらずこれだけ詰め込んだという点では、かなり効率のいい活動だったといえるでしょう。というより、走行距離が伸びるということは、とりもなおさず単調な移動が増え、実質的な活動が希薄になるということであって、今回は逆の現象が起きたともいえます。実際の経験上も、一日の移動距離が300kmを超えると、せわしなく動いた割にはさしたる収穫がなかったという結果になりがちです。ある程度腰を据えて旅がしたいなら、一日の移動距離は100km200kmあたりが理想的なのかもしれません。
北関東らしい透明な青空と、刺すような風の冷たさが印象的でした。それもそのはず、関東地方の週間予報は連日の快晴、一方で日本海側は連日の雪で、絵に描いたような冬型の気候が今年も現れています。それに応じてこちらも活動を冬型に切り替え、しばらくは安定した晴天が期待できる関東近辺を中心として活動することになりそうです。

明日は忘年会のため遠出はできませんが、夜の開始時刻に先立ってささやかな活動を予定しています。詳細は明日。おやすみなさいzzz
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北関東日帰り撮影ツアー 2012初冬

2012-12-09 00:21:58 | MOS
全行程終了のはずが、唐突ながらMOSに立ち寄ります。都内に入ったのが0時過ぎで、今ならMOSが一つは開いているかもしれないと思い立って調べたところが、今時珍しい24時間営業だったというのが真相です。これならどんなに遅くなっても関係なかったわけで、もっと早く押さえておけばよかったと思わないこともありません。とはいえ、普段はこの近くを通るのが一時か二時なのですから、さらにMOSへ寄ろうなどという発想が起きなかったのも当然といえば当然ではあります。いずれにしても、都会のMOSで一時閉店や二時閉店が当たり前だった時代なら、24時間営業と知らずに素通りを繰り返すことはなかったでしょう。このblogにおける主題である店舗の造りにしても、かつてMcをもしのいだ店舗数にしても、さらには店の営業時間にしても、「昔はよかった」と思わせることがMOSには多すぎます。今振り返れば、自分がこの道に入った十数年前こそがMOSの全盛期だったのかもしれません。

前置きが長くなりました。駅の南の中山道沿いという立地は、かつて同名で営業していた店舗と同じで、記憶が確かなら24時間営業だったことも一緒です。木造モルタル二階建ての看板建築は、よく今まで残ったというほどの年代物ながら、緑のアーチを描いて"MOS BURGER"のサインとMマークを高々と掲げたそのファサードは、まさに看板建築の面目躍如で、明るいときにはどんな風に映るのかと想像したくなります。
もちろん、古い建物に関わりなく内装は現代的です。しかし、最近横行する安普請のMOSと違うのは、安っぽい化粧板が相場のレジカウンターに、ここでは天然木が奢られていることです。もともと手狭な建物だけに、1階にあるのはこのレジカウンターと厨房、あとは窓と壁沿いに造った狭いカウンター席だけで、店内の飲食は2階が基本になります。
その2階席でまず目を引くのは、天井の中央がくり抜かれて大きな緑色のサークルができていることで、これが何を意味するのかは不明ながら、古い建物特有の低い天井によいアクセントを添えています。これに対して壁面は所々四角形にくり抜かれ、そこに小さい棚が架けられて、小洒落たグラスが飾られるという心憎い演出が。深夜帯という理由でこの2階席が閉鎖され、1階のカウンター席に甘んじなければならなかったのが惜しまれます。MOSの安普請を嘆いてばかりの昨今でしたが、これは久方ぶりの傑作です。

モスバーガー巣鴨店
東京都豊島区巣鴨1-2-2
03-5940-5433
24時間営業
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