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「与党税制大綱」

~セルポート「永田町より一筆啓上」掲載記事より~

「与党税制大綱」

 12月14日に平成30年度与党税制大綱が決定されましたが、そのポイントは次の通りです。

 平成7年度の所得税制改正以来、所得税制の抜本的な改正はなされていませんでしたが、平成21年に「所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)」を制定し、同法附則第104条に税制の抜本的な改革に係る措置について規定を設けました。同条第3項には、個人所得税について格差是正・所得再配分の観点から中低所得者世帯の負担軽減を図ることを規定し、また、法人課税について実効税率の引下げを検討することも規定しました。

 ところで我が国は、平成20年をピークとして人口減少局面に入り、労働人口は減少の方向にあります。また、配偶者控除の前提となっている夫が企業に勤めて妻が育児・家事を行うといった典型的な家族像から、夫婦共働き、非正規雇用者、システムエンジニア等のサラリーマンではない労働者が増加しているように、我が国の家族・労働環境は大きく変化してきています。

 今回の税制改正は、これらの社会環境の変化を踏まえ、働き方の多様化に対応するよう、会社員等に適用する給与所得控除を10万円減らし、国民全てを対象とする基礎控除を10万円増加させることとしたものです。また、現在の給与所得控除の水準は過大であるとの指摘を踏まえて控除限度額を引き下げ、年収850万円超の会社員等は負担が増加することになりますが、その中でも子育て・介護世帯の負担は増えないよう配慮することとしています。

 報道されているようにアメリカが法人税率を21%にまで引き下げるのであれば、法人実効税率は28%にまで下がることになります。しかし、我が国も今回の税制改正により、賃上げや設備投資に積極的な企業について、現在29%台の法人税の負担率が25%程度まで引き下げられることになりますので、国際競争において十分に対抗できる環境が整備されることになると期待しています。

 今回の税制改正は、自動車税の見直し等の重要項目はありませんでしたが、事業承継税制の拡充を図った他、国際観光旅客税と森林環境税という27年ぶりの新税を創設し、このような所得税・法人税の改正を盛り込んだものとなりました。

 税金は誰にとっても嬉しいものではありませんが、社会保障、教育、安全保障、安全・安心の暮らし、健全財政を実現するためにはどうしても必要なものです。それだけに、税制改正は国民の皆様にとって積極的に聞きたいという事項ではないと思いますが、私達、政権与党に所属する議員は、有権者の皆様にその趣旨を少しでもわかりやすくご説明し、ご理解を深めて頂くよう努めていかなければならないと考えております。

 

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