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法の支配

セルポート「永田町より一筆啓上」掲載記事より

「法の支配」

 5月の伊勢志摩G7主要国首脳会議では「法の支配」を尊重することに合意がなされましたが、「法の支配」という言葉が最近よく使われるようになっています。

 2年前の平成26(2014)年3月のロシアによるクリミアの併合、中国による南シナ海の岩礁の要塞化等、相手国の主張に耳を傾けることなく一方的に領土・領海を事実上変更する行為がなされていますが、これらの行為は「法の支配(rule of law)」に反するものです。

 常設仲裁裁判所は7月12日に、中国が実効支配している南沙諸島の岩礁は、島ではなく岩又は低潮高地でEEZ・大陸棚を有さず、また、中国の南シナ海における歴史的な権利の主張は海洋法条約に違反し、中国の埋め立てによって海洋環境に破壊的で長期に続く損害が与えられた、と中国の海洋環境保全に対する義務違反を認定しました。しかし、中国はこの仲裁判断を無視する対応です。

 国には主権があります。その国家の領域において、他国に干渉されることなく国の方針を決定する権能が、国家の主権です。その国家の中では、法令に違反する行為がなされると、最終的に裁判所が判決を下し、その判決に従って、強制的に法令違反を正します。

 国際社会においては、このように強制的に法令違反を正す仕組みはありません。国際司法裁判所や今回の南シナ海問題で判断を下した常設仲裁裁判所等の国際司法組織はあるのですが、国家に対して強制力を持って判決等を執行する権能はないのです。

 国家間で結ばれる条約等は国家の主権を尊重した上で、国家間で一定の事項について、合意をするものです。国際法では条約が各国の法律に優先するという学説もありますが、現実には各国の主権を超えて条約が優先する取扱いはなされていません。

 国際連盟では第二次世界大戦を防ぐことができなかったという反省に立って、戦勝国である五大国を常任理事国とする安全保障理事会を中心に世界平和を守ろうという理念に基づいて、国際連合憲章は制定されています。第14章に国際司法裁判所について規定していますが、その判決を強制する手段はありません。しかし、第6章に紛争の平和的解決、第7章に平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動、を規定して、場合によっては兵力を使用して平和及び安全の維持を図ることを規定しています。

 20世紀は「パクス・アメリカーナ(アメリカによる平和)」と言われ、アメリカが世界の警察官としての役割を果たしてきたと言えます。しかし、21世紀の現在、第二次世界大戦直後のようにアメリカが他国に対して圧倒的に優位に立っていた時代は過去のものとなっています。

 議論を行ってルールを作り、そのルールに各国が従うという、当たり前のことを如何にして実現するかが課題となっています。9月4~5日にはG20首脳会議が中国杭州で開催されますが、どのようにして、世界の平和を維持していくのか、各国が協力していくことが求められています。

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盛山正仁の本<ハンドブック 成年後見2法 ~成年後見制度利用促進法、民法及び家事事件手続法改正法の解説~>

 この度、創英社 / 三省堂書店から成年後見制度利用促進法の解説書「ハンドブック 成年後見2法 ~成年後見制度利用促進法、民法及び家事事件手続法改正法の解説~」(定価¥2,778税別)を出版致しました。

 公明党の大口善德議員、高木美智代議員、自民党の田村憲久議員との共著です。私たち4人が中心となって、今年の4月に成年後見利用促進法と民法等改正法を議員立法で成立させました。これからの2年以内で総理を長とする委員会で課題を整理し、その後1年(これから3年)で必要な法整備をするという野心的な内容の立法です。この本はその解説で、成年後見2法を制定した背景、これからの課題、2法の解説等について記述したものです。

 高齢社会を迎え、認知症の方や手助けを必要とする方が増えています。いずれ私たちも誰かの手助けを得なければ生活が困難になることが予想されます。

 成年後見についてご関心をお持ちの皆様に、お手に取っていただけると幸甚に存じます。

 

「ハンドブック 成年後見2法 ~成年後見制度利用促進法、民法及び家事事件手続法改正法の解説~」  

大口善德、高木美智代、田村憲久、盛山正仁 著

(2016年、発行 創英社 / 三省堂書店)

定価¥2,778(税別)、¥3,000(税込)

ご関心をお持ちの方は盛山事務所までご連絡下さい。

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