しはんの裏日記「B面」

工房師範が陶芸と関係なく、日々感じたり、深く想ったり、いいことをひらめいたり、バカバカしいことを考えたりしてることです。

天才の仕事

2017年05月05日 12時41分09秒 | Weblog
よめはんが数ヶ月ぶりに、料理をつくってさしあげますわ、と言う。
しかも、冷蔵庫内の残り物のみを用いてつくってごらんにいれる、と。
ほほう、それは楽しみ、と待ってみる。
冷蔵庫の中には、オレがこっそりとひとり飲み用に秘匿して忘却の彼方と成り果てた、4〜5日前のヒラメとカンパチの刺身(サク)があった。
厨房とは、誠に命を懸けた実験場でもある。
腐っているかもしれないが、いちかばちか切って出してみよう、とよめはんは思い立つ。
ヒラメの方は色も大丈夫そうなのでお造りにするが、カンパチの方がやや変色し、手触りにもぬるぬる感があるので、こちらは焼いてやれ、と(捨てないで、調理を)決意。
バジル塩を振って、グリルしはじめる。
結論から言えば、カンパチは熟成が進んだものか、金目鯛のような風味が醸されており、なかなか美味であった。
ヒラメの刺身も、アミノ酸の分解が長時間進み、旨味を増して上々。
言えば、ギリギリセーフ・・・(ギリギリアウトのような気もするが)
よめはんは、どうやらギャンブル(ダンナの命を懸けた)に勝ったらしい。
さて一方、メイン料理なのかよくわからない位置付けだが、厨房のよめはんはオカズをもう一菜、手に掛けている。
ツンとものすごい匂いが漂ってくるが、ここまできたらなにも言うまい、とただ待ちわびる。
できましたよー、と食卓に供されたこの一品。
新鮮シャキシャキなサニーレタスがどういうわけか黒酢にあえられ、その上にハムと卵と新玉ねぎをジュウジュウと炒めたらしきものが載っている。
口に入れてみると、これが・・・得も言われぬ風味がする。
冷たいものと熱いものが一体化して生ぬるく、謎の猛烈なすっぱ味が立ちのぼって鼻腔の奥に淀み、豊潤濃厚な風味が口内にいつまでも循環して立ち消えてくれない。
ただひとつ、これに似た味を知ってるのだが、「腐った味」とは口が裂けても言えない(言ったけど)。
現代社会においては、久しく「まずい」というシロモノに出会っていないわけだが、なんだか遠い日の感覚を思い出す。
日にちの経過した刺身が腐っていなかったにもかかわらず、新鮮そのものの野菜その他を用いた料理で、図らずも「腐り味」を再現してしまったこのよめはんは、やはり天才なのかもしれない。
ふと目に入った黒酢を、直感で振り掛けてしまうセンスはなかなかのものだが、この黒酢もまた、数年前のものなのであった。

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園
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