みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『哀しみのベラドンナ』観ました。

2017-06-20 18:00:00 | 劇場用アニメ
1973年制作:虫プロダクション。 監督:山本暎一。 米BD盤にて視聴。
当時としては、エロい表現がふんだんに盛られていて、けっこうな話題になった
”大人向けのアニメ”です。
原画担当の深井国氏の絵柄が当時はあまり好みじゃなくて、映画館行きをパス。
でも、いまの目で見直すと大変に上手い絵を描く人だなあと感想が変りました。(^^;
多少は自分の感受性が変化してきたのかもしれません。

フランスの歴史家ジュール・ミシュレの『魔女』が原作だそうですが、まあ宗教的な
感覚の希薄な自分にはさほどストーリー的に響くところはありませんでした(^^;
当時手塚氏は”アニメは子どものもの”という既成概念を打破しようとしていて、『千夜一夜』
『クレオパトラ』の長編を製作しましたが、『哀しみのベラドンナ』はそれに続く三作目。
しかし”大人向けのアニメ”と意気込んだ割には興行収入が伸びず、資金的にも限界で
アニメラマシリーズも本作で最後となってしまいました。

 
若い男女の結婚式。                結婚には過酷なまでの重税が課せられる。

実際に本作を観て受ける印象は、アニメというよりも紙芝居ですね。
当時の技術から言っても絵の枚数を押さえるためには仕方がなかったんだろうと思います。
しかし、ここぞというところでは入念な作画ぶりを随所に感じます。そういう意味では
手抜き感はあまり感じませんでしたね。

結婚しようとする幸せな一組の男女。しかし結婚するには過重な結婚税が必要となるが
貧乏な彼らにはとても払えない。その結果、王の怒りを買い新婦は純潔を汚されて翌朝帰宅。

 
翌朝、新婦は王に純潔を踏みにじられて。      自分の力の無さに死ぬほど悔しい思いのジャンヌ。

力の無い者は、強者から何をされても泣き寝入りするしかないのか。
夫ジャンは”長いものには巻かれろ”式に諦めているようだが、妻の方はそうではない。

 
女の怒りが本物の悪魔を呼び寄せる。        悪魔は巨大化して女を抱きとめる。

女の激しい怒りは遂には悪魔を呼び寄せてしまう。初めは遠慮がちに?小さなペニスの外形で出現。
しかし憎悪が大きくなるに従い、悪魔も本来の巨大な姿を見せるようになる。
飢餓、戦争、ペストの大流行などの形を取って悪魔は人間に向かって猛威をふるう。

 
悪魔と通じた罪で捕えられるジャンヌ。       女が最後に見せる物言いたげな表情。

だれ言うとなくジャンヌは悪魔に取りこまれたことが段々と知られるようになる。
最初のうちはを彼女を巧く懐柔しようとする王だが、それが無理と分かると一転
火あぶりの刑を命ずる。
十字架にかけられ、業火に焼かれる中での彼女の思いは何なのか....。

総合的にはまあまあかな、という印象でした。何しろ1973年制作ですので若干の
古さは感じますが、深井氏の絵の力で、かなりポイントアップ。
ところでこれって日本のアニメなんですけど、日本盤は出ていないですね(^^;

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