みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『パリ3区の遺産相続人』観ました。

2016-12-04 16:00:00 | 洋画
2014年:英・仏・米。 監督:イスラエル・ホロヴィッツ。 WOWOWからの録画。
タイトルにちょっと惹かれて観てしまいました。序盤を観て、欲(現実)と恋(夢)の
入り混じったフレンチコメディかな~とか思いましたが、半分アタリで半分ハズレ。
実際はもう少しシリアス味も混じっていて....でも中々面白かったです。

 
探し当てたパリのアパート。            住人・ジラール夫人に状況を説明。

とつぜんパリの弁護士から、父親の死亡と遺産について電話の連絡を受けるマティアス。
「渡りに船」とばかりに、行き詰っていたニューヨークの生活を畳んで、彼はパリに向かう。
件のアパートを見つけて、住人のギラール夫人に来意を述べるマティアス。
しかし夫人の口からは予想もしない言葉が出てきたのだった。

 
かなりの高級アパートと知りホクホク。       ジラール夫人から状況を説明され愕然。

第一にギラール夫人はアパートの店子などではなく、れっきとしたオーナーであること。
第二には、確かにマティアスの父親とアパート売買の契約を結んだが、それは
ヴィアジェによる契約であること。
ヴィアジェとはフランスに古くからある住居売買の制度。買主は売主に対して比較的少額の
頭金を支払い、かつ毎月取り決めた金額を売主が死ぬまで支払う。売主が死んで初めて
所有権が買主に移動する。つまり売買契約以後、売主が長寿命ほど買主の損、売主が短命
ほど買主は得をするという、なかばギャンブル要素のある売買形式となる。

 
父親には生前散々ツライ思いをさせられた。     状況が分れば負債を相続しただけだと知る。

いずれにしても婆さま=ギラール夫人が死なない限り一銭にもならないということ。
(かかりつけの医師に聞いてみても、現在90歳、健康にはまったく不安がないという)
それどころか夫人に対しては毎月2,400ユーロの支払い義務がある。
この件を扱った弁護士は英語が話せず、肝心の部分がマティアスには全く伝わっていないのだった。
直ぐにもアパートを売って纏まった金を手にできるつもりだった彼にしてみれば
まさに晴天の霹靂(^^;
素寒貧の身でパリにやってきた彼には今日の昼飯代すらない。
やむなくアパートから無断で家具を持ちだして古道具屋に売り払い、ようやく一息つく始末。

  
マティアスは古道具屋へ家具を持ち込む。      夫人の娘クロエはマティアスを警戒。

そこにギラール夫人の娘のクロエが仕事を終えて帰宅する。
事情をよく呑みこめていないこともあり、彼女は思いっきりマティアスを警戒してくる。
母娘の平穏な生活の場にいきなりやってきた見知らぬ侵入者といった感覚だ。
まあ無理もないが(^^;
すったもんだの末、事態は落ちつくべきところに落ちつくのですが、
なかなか映画的な興趣を感じさせてくれる佳い出来だったと思います。