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イザヤ書(罪と裁きと回復)

2016年09月18日 | Weblog

 イザヤ書(罪と裁きと回復
はじめに
 イザヤ書は、預言者イザヤによって書かれた預言書の一つです。決して歴史の書ではありません。しかしイザヤ書を理解するためには、分裂後のイスラエルの歴史を知っておく必要があります。
 サウル、ダビデ、ソロモンと続き、繁栄を極めたイスラエル王国も、ようよう衰退に向かい、後継者争いもあって、北(北イスラエル=10部族)と南(南ユダ=2部族)に分裂します。周辺諸国との関係を保ちつつ、互いは互いに牽制(シリア・エフライム戦争)しながらも、しばらく続きますが、それぞれ神に背を向けて滅びに向かって歩んでいました。それ故、最初に北がアッシリアに滅ぼされ、ついで南もバビロニアよって滅ぼされます。住民の主だったものはバビロニアに捕囚として連行されます。いわゆる「バビロンの捕囚」です。その後アッシリアがバビロニアに、バビロニアがペルシャに滅ぼされます。時代を経てペルシャがこの地に支配を確立した時バビロニアに捕囚されていたユダヤの民はペルシャの大王クロスによって帰還が許されます。彼らは祖国イスラエルに戻り、破壊された神殿を再建します。それが、第2神殿です。この過程が「イザヤ書」に描かれています。この歴史の詳細を知りたい方は『列王記2』『歴代誌2』『エズラ記』『ネヘミヤ記』を併読して下さい。しかし、イザヤ書は預言書であって歴史書ではありません。別の視点から書かれています。そのテーマは『罪と裁き(戒め)と回復(救い)』です。救いの象徴(メシア)としてイエス・キリストの出現を、イザヤは預言します。
 イザヤ書は66章からなり、3部に分かれています。1~39章までを第Ⅰイザヤ書、40~55章までを第2イザヤ書、55~66章までを第3イザヤ書と呼ばれています。この区分は聖書に対応しています。(資料1参照のこと)。
 イザヤ書を説明する前にイザヤとはいかなる人物かを知る必要があります。
イザヤは、南ユダの王ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒデキヤの時代に活躍した預言者です(1:1)。女預言者を妻に持ち(8:3)、2人の息子(7:3,8:3)に恵まれていました。この時、イスラエルは罪に満ちていました。その為、神より召命(6:8~7)を受けエルサレムに赴きます。外にはアッシリア、エジプトと云う大国が存在しイスラエルは、彼らの脅威にさらされていました。このような内憂外患の最中に生まれたのがイザヤだったのです。彼はその生涯をエルサレムで過ごし(約40年)、主なる神の正義と救い主=メシアの出現を預言し、イスラエルの王と民に対し、その罪を贖い、神への信仰と回心を説きます。イザヤはイスラエルの滅亡への危機を神に対する不信仰故と説きます。その預言は、全世界的展望と全歴史的展望に立っていました。この歴史の過程は神の壮大なご計画の一部だったのです。その生涯は神と共にありました(資料4参照)。
 イザヤ書はイザヤの作と云われていますが、その活動は第一部の時代に限られています。第2イザヤ書と第3イザヤ書は共にイザヤ以外の預言者の作と云われていますが、その預言者の名前を聖書は語っていません。不明です。

 イザヤ書第Ⅰ部(1~39章)の構成
1.イスラエルに対する懲らしめ(1~12章)
2.諸国への裁き(13~27章)――資料2参照
3.穢れたものの浄め(28~35章)
4.アッシリアに対する裁き(36~39章)
 これらを一つ一つ説明する余裕はないのでイザヤ書1章のみに限定して解説しようと思います。旧約聖書を読む場合、その最初の言葉は極めて重要です。イザヤ書第1章においても、その後に続く部分においてその内容と性質を決定する要素を含んでいるからです。預言の内容の性質と範囲と問題点を示しています。これによってイザヤ書第Ⅰ部の全体像を知ることが出来ます。
 イザヤ書 第1章
 1章の冒頭には「幻」と云う言葉が出てきます。2章には「先見のことば」云う表現が出てきます。「幻」とは見ることの出来ない内部の世界を現しており、「先見のことば」とは聞くことの出来る現実の世界を現しています。預言が内部から出たものか、それとも外部から与えられたものかを区別していると云われています。
イザヤ書1章2節の言葉に「天よ、聞け、地も耳を傾けよ、主が語られるからだ『子らは、わたしが大きくし育てた。しかし、彼らはわたしに逆らった。』」とあります。この言葉は第1部を貫く思想です。創造神に対するイスラエルの民の謀反の罪を描いています。3節では「牛はその飼い主を、ろばは、持ち主の飼い葉桶を知っている。それなのにイスラエルは知らない。わたしの民は悟らない」と、主はイスラエルの無知と不信仰を嘆いています。4節では「ああ、罪を犯す国、咎重き民、悪を行う者どもの子孫、堕落した子ら。イスラエルの聖なる方を侮り、背を向けて離れ去った。」と怒ります。「知らない」は「堕落した子ら」となり、「悟らない」は「背を向けて離れ去った」と、その罪の重さは増します。イスラエルの民は、その後も主に逆らい、悔い改めはありません。それ故に神の怒りは増し、病が彼らを襲います。更に、アッシリアなどの大国の侵略に会い、国は荒れ果て滅びの運命だけが残されたのです。このままで行けばソドムとゴモラの運命になる事は必至でした。しかし、神は一人でも自分に義なる者がいれば、これを滅ぼしません。穢れに染まったイスラエルの中に「残されたもの(後述)」がいたのです。神はそれらの者のために、イスラエルを救おうとしたのです。
 苦しい時の神たのみ、イスラエルの民は神に祈ります。全焼の生贄を捧げます。しかし、神は、その欺瞞性と偽りの宗教性を知り、これを拒否します。悔い改めと信仰の無い生贄は神にとっては迷惑でしかなかったのです。イスラエルの民は表面では主に祈りを捧げながら、裏では異教の神を拝んでいたのです。面従腹背だったのです。これは主の最も嫌われる行為だったのです。16節と17節では、悔い改めとその証としての善行を勧めています。主はイスラエルの民に論戦を挑みます。悔い改め、御許に来るようにと誘います。来れば、恵みを、逆らえば、剣を持って滅ぼすと脅します。主は自分に逆らい続けるイスラエルの民を愛しているのです。まさに悪女の深情けです。裁きの後には、回復が、堕落に対しては愛が、滅びに対しては贖いが必ず用意されています。
 主はかつては公正で正義であったエルサレムが何故、遊女のように穢れ、堕落したのかと嘆きます。主の心の痛みを感じることが出来ます。主は救いの御手を差し伸べます。万軍の主がエルサレムの民の罪を取り除こうと宣言します。もし、あなたが主の御許に立ち返るならば、と条件をつけます。
 イザヤは、云います「救いは主の贖いの、み業によるが、しかし滅びは不信仰と不義による」と。
 イザヤ書においては、世界の背後にあって歴史を導かれる神、忍耐と燃えるような愛を持って、神の選民イスラエルの民を導かれる神と、それを裏切り続けるイスラエルの民の姿があります。神と人との葛藤。神は人を愛しながら憎む。憎みながら愛す。この矛盾はどこから来るのか。それはアダムとエバの創世記の物語まで戻らねばならない。2人はエデンの園を追われた時、人となった。この時から神と人との葛藤が始まります。旧約聖書の段階では両者の和解は成立していません。新約聖書のイエス・キリストの登場まで待たねばならないのです。
言 葉
 万軍の主:イザヤが好んで用いる神の呼び名。神の統治の権威を象徴しています。
 シリア・エフライム戦争:アハズ王の時代、アッシリアに抵抗する為にシリア(ダマスコ)やエフラエム(北イスラエル)が同盟を結び、ユダ王国にも加盟を呼びかけたが、アハズ王はこれを拒否。その為、両王国より攻撃を受ける。これをシリア・エフライム戦争と云う。アハズ王はアッシリアに救いを求め、敗北を免れる。
 残されたもの:エルサレムは神に対して不信仰な人間によって満たされていたが、その中に僅かであるが神に対し義なるものが存在した。その者を言う。
平成28年9月13日(火)報告者 守武 戢 楽庵会

イザヤの略歴
前740年前  イザヤの召命。
前740年    ①ウジヤ王の死。
        ②イザヤ再召命(6章)
        ③ヨタムの即位
        ④イザヤの長男「シェアル・ヤシュブ」誕生
前735年   ヨタムの死、アハズの即位
前734年    ①アラム(シリア)とイスラエル連合軍ユダ侵入(シリア・アフライム戦争)
        ②インマヌエル預言(7章)
前733年    ①イザヤの次男「マヘル・シャラル・ハシュ・ハズ」誕生
        ②アッシリアのティグラテ・ピレセル王がイスラエルの北を占領
        ③アッシリアが、ギルアデ、メギド、ドルの3州が属領に編入(9:1)。
前724年    ①イスラエルの王ホセア、アッシリアに謀反
        ②ホセア、シャヌマルエセルの捕虜になる
前722年   シャヌマルエセルの死。サルゴンの即位
前721年   3年の包囲の後、サマリア陥落
前715年    ①アハズの死
        ②ヒゼキヤの即位。宗教改革
前717年   ユーフラテス川上流の町カルケミシュがサルゴンによって占領される。
前712年    ①サルゴン、ペリシテの5大都市の1つアシュドデを滅ぼす。
        ②イザヤ、3年間裸となる(20章)
前701年    ①ヒゼキヤ病にかかる。イザヤの祈りによる癒し(38章)。
        ②バビロンの王メロダク・バルアダンの見舞い(39章)。
        ③セナケブリの侵略と無条件降伏を命令。ユダこれを拒否。
前688年   神による救いによりアッシリア軍撤退(36~37章)。奇跡的勝利。
前686年   ヒゼキアの死と、その子マナセ即位。
前681年   セナケレブその子によって暗殺される。



南ユダ王国 歴代統治者一覧
在位には諸説あるが、ここでは最も広く受け入れられているウィリアム・オルブライトの説による。年号はすべて紀元前である。
•922年 - 915年 レハブアム
•915年 - 913年 アビヤム
•913年 - 873年 アサ
•873年 - 849年 ヨシャファト
•849年 - 842年 ヨラム 暗殺される。
•842年     アハズヤ 北イスラエル王国のイエフによって殺害される。
722年 北イスラエル滅亡
•842年 - 837年 アタルヤ 先王アハズヤの母、唯一の女王。ヨアシュを擁立した大祭司ヨヤドに暗殺される。
•837年 - 800年 ヨアシュ 配下に暗殺される。
•800年 - 783年 アマツヤ 暗殺される。
•783年 - 742年 ウジヤ
•742年 - 735年 ヨタム
•735年 - 715年 アハズ アッシリア王ティグラト・ピレセル3世に臣従。
•715年 - 687年 ヒゼキヤ このころアッシリア王センナケリブ活躍。
•687年 - 642年 マナセ
•642年 - 640年 アモン 地の民に暗殺される。
•640年 - 609年 ヨシヤ 申命記改革行われる。エジプト王ネコ2世とのメギドの戦いで戦死。
•609年     ヨアハズ(エホアハズ)
•609年 - 598年 エホヤキム カルケミシュの戦い起こる。
•598年     エホヤキン 次王ゼデキヤと共にバビロニアへ連行され、37年間にわたって拘禁される。その後開放。
•597年 - 587年 ゼデキヤ 目を刳り出されてバビロニアへ連行された。
586年 ユダ王国滅亡

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