日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

企業の運命を考える

2015年07月01日 10時10分28秒 | 日々雑感
 2014年度の電機大手各社は決算が好調とのことであった。しかし、好調の中身を見ると、三菱電機や日立は発電機や鉄道車両の大型機械が円安効果で、パナソニックは電気自動車用電池や自動車用部品が、ソニーはスマートフォン用高性能画像センサーが好調であるとのことであり、かって日本が得意としていた家電製品はすっかり影を潜めてしまった。また、テレビ等の家電製品を支えていた半導体も目につくのは高性能画像センサー位であろうか。
 企業の寿命30年、1つの会社が繁栄を謳歌できる期間は30年だと言う。その最大の原因は、一つの技術が商品価値を有するのは30年程度であることである。
 先述の大手電気メーカは、テレビやパソコンで有名であったが、今では別の商品が会社を支えているのだ。シャープは液晶テレビで一世を風靡したが今では虫の息である。技術の変革は早い。企業は、現状に甘んじているとすぐに時代に後れる。社会がグローバル化すると、この傾向は益々強まる。
 一方、トヨタ自動車は30年を越えて、今なお栄華を極めている。自動車産業は、節々で技術革新があったのが幸いしている。この技術革新は、企業の努力と言うより、時代の流れであった。最初の技術革新は電子化であった。エンジンの始動時にチョーク弁の調整等の面倒な操作が必要であったが、今では何も考えずにスイッチオンで済む。これも電子化のお陰だ。
 次の技術革新はガソリンエンジンから電気モータへの移行だ。当初蓄電池の性能が飛躍的に向上したため、そのうち自動車は家電化すると言われた。複雑なガソリンエンジンは不要になり、電気モータのみで動かせるようになれば、誰でも自動車を作れるようになるからである。
 しかし、蓄電池の性能は予想したほどには伸びなかった。日産自動車のゴーン社長は電気自動車に社運をかけたが当てが外れた。トヨタは、ガソリン車から電気自動車への急激な変化を疑ったのか、技術的には中途半端なハイブリッド自動車を選択した。ガソリンエンジンと電気モータの両方を持てば当然コストは上がる。しかし、電気自動車の技術的な低迷もあって、爆発的に売れ、日産とトヨタの差は大きく開いた。
 技術の変化は激しい。しかし、この変革を受け入れていかないと会社の存続が怪しくなる。常にアンテナを張り巡らし、変革についていかなくてはならない。政府はこのほど、いわゆる「残業代ゼロ制度」を盛り込んだ労働基準法改正案を閣議決定した。年収1075万円以上の専門職の1日8時間、週40時間などの労働基準法の時間規制から除外し、休日、深夜の労働手当を支払わないようにするとした法律だ。変革について行かなくてはならないとの厳しい企業環境も伺い知れる。しかし、このような法律が無くても、実質このような状況におかれている人はかなりいることも事実である。
 企業にとって、このような状況を正当化するために、この法律は大歓迎のようである。これも世界の中で生き残るためか。働かされる立場の人は大変であるが、年収1000万以上であれば、まだ我慢できるであろう。派遣法の改定に比べれば、罪は軽い。しかし、1000万の条件を下げようとする要望も強いと言われ、いずれその方向に向かうであろう。
 技術の変化は益々激しくなる。経済は変化によってのみしか成長できないのであろうか。(犬賀 大好-142)

コメントを投稿