森田宏幸です。
今日は2011年2月27日です。
もし今日の午後、落選したら、こういう立場で持論を読んでもらえることもないだろうと思って、後悔のないように、多少無理して書いています。
すでに、読みにくくなっているかも知れませんがご勘弁下さい。
さて、前回、前々回に続いて、最後に、何かと議論されている、「若手アニメーター育成プロジェクト」、観客向けには、”PROJECT A”と宣伝されている、この素晴らしい事業について、書かせて下さい。
この事業の目的が、情報の足りない会員たちの間で、大きく、はき違えられていることが、大変残念です。
手っ取り早くは、この事業のことは、
「文化庁委託事業 平成22年度若手アニメーター等人材育成事業 “若手アニメーター育成プロジェクト” 募集案内」
という公開されている文書を読むとすべて分かります。
http://www.janica.jp/events/h22wakate/h22bosyu.pdf
実は、大変恥ずかしながら、私ははこのような文書が、このアドレスに公開されていることを、今日の昼、初めて知りました。「募集案内」という題なので、数枚のペラ紙サイズかと今まで無視していたのです。これが、全部で31ページ。ざっと目を通しただけで、分かりました。これはもう、アニメーターの立場からの戦略論文です。(ちょっと大袈裟か。ま、ノリで許してください)
これを読めば、どれだけ綿密に練りあげられているかが、よく分かります。
これを書いたのは、神村幸子 前理事と、桶田大介 監査理事だと、私は人づてに聞きました。(正式に確認はしていません。もっといろいろ複雑かも知れないし、桶田さんがほとんど一人でまとめたのかも知れないですが)おそらく、神村幸子さんの研究と経験に、JAniCAの調査データが加えられ、他の理事たちや運営委員たちの意見がさらに載せられて、法的な筋道と、体裁が、企業法務の経験豊かな桶田大介弁護士によって、与えられ形になったのだと思います。(あくまで推測ですが)
このような、高度な計画を生み出したJAniCAを、会員の皆さんは誇りにして良いと思うのです。
私がこの事業を初めて知ったのは、去年の6月の定時総会で、桶田氏の短い説明を通じてのものでした。それでもすぐに私は、この事業のすばらしさが理解できて、直後にブログに書いています。(http://blog.goo.ne.jp/moriphy/e/376bd715589e6f3dc3a07bd69567ddb6)
しかし、私のその時点での理解も、不十分なものだったのでしょう。ここ2か月、いろんなアニメーターの知人たちに、説明してまわっても、なかなか理解されずに苦労していたのです。これはもう、ひとえに、私の理解力、言語能力、説明能力の未熟さゆえです。
もう一度、時間を戻して、知人たちに会って、この「募集案内」をプリントアウトして見せたいです。質問に対しては、「それは、ここに、こういう風に説明されているよ」と、示せば、すべて間に合ったでしょう。あ〜あ。
ですから、この事業に疑問を持っている皆さんには、是非、これに目を通していただきたいです。ただし、PDFファイルは、携帯では見られません。また、31ページにも及び、難しい言葉で書かれているので、ある程度の知識と時間と読み砕く根気がないと分からないでしょう。
明日の総会でも、この膨大な資料は用意されません。明日の総会は、芦田前代表辞任の経緯を説明するためだけに開かれるものではないので、時間も限られるのです。
(なみきたかし氏の臨時総会開催を求める申し立ても、会員の5分の1の定数の賛成を集められなかった。なので、今回の総会は、あくまで、混乱の収拾のために、6月に開かれる定期総会を、スライドさせているだけです。そんな、頻繁に総会を開く力は、ボランティアベースの今の事務局にはないから、仕方ありません)
しかし、こうした文書を、自分で探し出して読み砕くぐらいの努力は、会員の皆さんがやらないと、JAniCAの運営は立ちゆかなくなってしまうということなんですね。
ただ、かくいう私でさえ、まだ一部分しか読んでいませんので、偉そうなことは言えません。本当なら、重要な箇所を引用して、皆さんに説明したいのですが、、、、
すでに今日書いた文章が、1万字を超えて、私も少々、ラリっています。所詮私も、素人のブロガーに過ぎないわけです。はい。
なので、この文書のことは、横に置いて、前回までの論説に筋を戻し、自分の言葉、理解で残りを書きます。
________________________________________
よく聞かれるのは、なぜ、これが「事業」なのか、ということです。
若手育成が目的なら、そんな大袈裟な事業に無駄なお金を使わずに、若手に直接金を渡して支援すればいいじゃないかと。それをやらない、ということは、制作会社を儲けさせる利権誘導が目的なのだろう、というわけです。(目的の勝手な捏造)
きっと、制作会社は、予算を搾取しているに違いない、安いお金で固定給の制作進行さんに、その事業だけはと、高い賃金が払われること自体が想像しにくい。などなどなど。疑いは尽きません。
会社が組織が、ウラで何でもズルが出来ると思っている。こうした、勝手な、疑いをカゲでこそこそと(2ちゃんねるあたりで)ばらまくアニメーターたちのメンタリティが、実は、私は少し分かります。そういう人たちは、自分がもらっているお金が安いと思っても、文句を言えずにこれまで生きてきた人たちでしょう。その鬱憤を、ここぞと晴らしている。。
もっとおぞましいのは、桶田氏や神村氏が、この事業の仕事を通じて受け取った仕事の対価を公にし、「こんなにもらってやがる」とやった人がいる。外野のデマではありません。実は、芦田前代表が、前回リンクを張ったインタビューで述べています。桶田氏が1千万円受け取ったと、述べている。しかし、それがいったいどうしたというのでしょう?
実はこの数字もおそらく、正確ではありません。いろんな細かい、たくさんの細目を足し合わせた合計が、それぐらいだろうということでしょう。文化庁が、厳しい会計監査をかけた上で、承認した、まったく正当な労働対価なのに、です。
事業はまだ、終わっていないし、本当はまだ、いくらか分からないはずなのです。それを、こうやって公にするとは、不謹慎でしょう。
ただ、この1千万円という額は、私の頭の中では象徴的です。アイジーの石川光久社長が、イノセンスの公開時、朝日新聞のインタビューで、アニメーターの報酬額として、この額を口にしました。2004年2月28日b2面です。アイジーの歴史を溯って話すなかで、
(転載始め)
インタビュアー:で、著作権ビジネスをはじめました。
石川:うちには年収1千万円がごろごろいる。でも最初は下請けばかり。10年目で赤字になりそうだった。
(転載終わり)
と、このように、言いました、さらっと、「1千万円がごろごろいる」と。
するとこれに、私の友人たちが、見事に浮き足立ちました。「そんなに?」「ごろごろ?」私もへ〜、と思ったけど。
世の中的には、アニメーターが自分は貧乏だと言って良いことになっているけれど、雇っている経営者にしてみればプライドがありますから、こうした牽制のような反論も出ます。当たり前です。
エピソードをもうひとつ。ある社長が、
「うちでは、どんなに高くても、アニメーターに月90万円以上は払わないよ」
と言うのです。90万を超えると税率が変わるから、とも言っていましたが、ただ、あくまで、私の主観ですが、アニメーターが100万を超えると何かが変わってしまう、といったような、経営者としての勘が、どこか働いているのではないかと、その社長の顔に感じたものです。
前述の石川社長も、そのへんの勘所を押さえておいでだ。
ニッポンのアニメーターは、1千万とか100万とか、数字が一桁増える瞬間に弱い人種なのでしょうか? 金銭感覚にリミッターでもついているのか。そのへんの体質を、どこかの大学の文化人類学とか、被差別民族研究とかのゼミで、研究してもらえないですか。冗談抜きで、私からデータをとってくださってもいい。芸術系の大学の研究なんかより、よほど財産になりませんか。悪いクセを直す良い方策が見つかるかもしれません。
どうか、皆さん。自分たちの職域のトップクラスが、年収1千万円ぐらいもらうのは当たり前だと、言えるようになりましょう。人がもらっているお金をうらやましがることが、どれだけ恥ずかしいことか、目を覚ましましょう。(すでに言える人は、ごめんなさい。失礼しました。)
いや、だって、1千万円なんて、想像もつかないから、びっくりしちゃうんです、という気持ちが、実は私はすごくよく分かります。でも、弁護士だけでなく、専門分野、専門知識を糧に仕事をしている人たちの報酬としては、そんな法外な、すごい額とは言えないのです。
いやらしい話ばかり書いてしまいましたが、若手育成プロジェクトの何が素晴らしいかというと、その予算の額に根拠があることです。
去年の総会で、この予算のことについて説明があった時、小さな、議論のようなことが、芦田代表と、桶田監事のあいだで、交わされていたのを憶えています。
たしか演出か何かの仕事の対価が、時給数千円とかいう話が出たとき、芦田氏が
「でも、普通そんなにもらわないですよね」
と言ったら、桶田氏が
「アニメの仕事ではそうかも知れませんが、そういう(演出のような)人が、学校で講師をやったら、講師料は○千円ぐらいです。だから、適正です」
とたしか切り返した。
(私の記憶なので、あくまで言葉は不正確。論旨だけ読み取ってください)
桶田氏が筋道を立てて、高い予算をつけているのに、代表が下げようとしている。変だな、というやりとりでしたが、予算に根拠がある、とはこういうことなのです。
一番問題のアニメーターの単価の設定については、JAniCAで大規模アンケート調査を行い、東京大学の浜野保樹教授の研究室にデータを分析してもらいました。その研究結果が、今回の事業の単価の設定の根拠として利用されています。
その結果を受けたシンポジウムが2009年5月に開かれて、私もたまたま聞きつけて見に行きましたが、記事にもなっていて、内容が見られます。
「Business Media誠 JAniCAシンポジウム2009」
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0905/28/news016.html
この中のアニメーターの報酬に対する浜野先生の発言を、私は自分のブログでやんわり批判してますが、その私の理解も、浅かったことが今分かります。
アニメーターが低賃金といっても、インディペンデントの演劇の役者の待遇にくらべれば遙かにましだという見解は、浜野先生に限らず、よく聞く意見です。私としては、これはまったく間違っている理解だと思っているのですが。なぜなら、日本の制作会社は、出版や放送などの独立系ではない、大手の企業群で形成された産業に組み込まれていて、アニメーターたちはそこで雇われています。ですから、独立系の演劇の待遇と並べるのはおかしいです。しかしながら、そういう声に配慮して、敢えて取り込むことで、社会とのコンセンサスを得ようという、その現実的な進め方は優れていると言えるでしょう。報酬は高い方がいいに決まってますが、周囲との合意を得るために、バランスを取った。それでも、あくまでそこに根拠があるということが大事です。
あとで、やっぱり安かった、と思ったら、その根拠を見直せばいいのですから。
そうやって、調査し、その結果が、たしかなものであることを内外に認めさせた上で、では、いくらなら、適正なのかという結論を出し、それを丸ごと事業計画にして、文化庁に認めさせて、事業をスタートさせた、とそういうことだと思います。
もう今週、完成した4本の試写が行われています。ちらちらと、良い評判も聞こえてくる。
要するにJAniCAは、お手本になる事業モデルを実践しました。
人を育てると言っても、若手育成の難しさは現場の人間なら誰しも知るところです。人は現場で育つもの、しかも、作品スタイルごと、会社ごとに育て方はちがいます。だから、事業なわけです。そして、それは長期にわたって続けられなければならない。付け焼き刃の支援をしても、簡単に人は育たない、割高なだけだと分かったら、長くは続きません。
なので、決して割高ではないと。事業として成立するのだということを、やって見せる。そして、育成の成果については、ヒアリングなどを通じて調査し、方法論とその成果をサンプリングし、そのデータを納品することも含めた時はじめて、この計画は文化庁のコンセンサスを得られたのでしょう。
文化庁を通して預かった国民の血税を、付け焼き刃の支援に終わらせないためにこそ、このような大規模な計画になったのでした。
作品作り以外にも、講習をやったり、ヒアリングをやったり、たくさんの仕事があります。税金を無駄に使っているのではありません。
しかも、これはあくまで私の見立てですが、これがうまくいけば、低い水準で硬直化していた商業アニメーションの賃金体系に一石を投じられることは確実です。極端な話、他の会社は、前述の文書の理論を真似て、企画を立てていけばいい。(と、私は見立てた。私の意見)
繰り返しますが、予算の決め方に根拠がある事が大事です。根拠を積み重ねて、1本3800万円という予算を決めました。重ねて書きますが、もしもこれでも足りないとなれば、その根拠になった理論を見直せばいいのです。そういう当たり前なことが、今まで出来ずにいた。安いのは、鉄腕アトムの予算が安かったからだ、などと言っている。ちがいます、新たな予算の枠組みの根拠を理論構成出来ずにいたから、安いままなのです。
だから、この事業の仕事を引きうけてくれている、弁護士さんの報酬を根拠なく、もらい過ぎだと文句をつけてはいけない理由が、もうお分かりですね。その弁護士さんの報酬も、きちんと根拠に基づいているからです。それを、気分が悪いからと言って崩したら、予算の枠組み全体の根拠が崩壊してしまうからです。
芦田さんは、インタビューの中で、弁護士の時給3万は高いと言ってますが、私の知り合いに聞いてもらったら、弁護士の相場は時給5万でした。
ネットでどこでもいいから弁護士事務所を調べてみてください。報酬を公開しているところが結構見つかります。
あと、気にすることがあるとしたら、お金を払った分の仕事を、ちゃんとやってくれているかどうかです。そこは、私の聞く限り、ほとんどすべて順調に運んだようです。
さて、そろそろ、私も書きたい放題書くのは終わりにします。他にも、くだらない、根拠のない、言いがかり、疑いに、反論したかったし、ヤマサキさんや井上さんが書いていることなどを引用したかったですが、日が変わってしまった。やめときます。
前に、皆さんの見識が試されますなどと、偉そうなことを書きましたが、もちろんその前に試されるのは、私自身の見識です。分かっています。いつも何かちょっと足りない人間なので、オチても何も驚きはしません。私なりに出来ることがあれば、やりたいと思ったまででした。どのような結果になろうと、皆様の判断は信じています。
今日はこれで終わりです。
森田宏幸 拝
今日は2011年2月27日です。
もし今日の午後、落選したら、こういう立場で持論を読んでもらえることもないだろうと思って、後悔のないように、多少無理して書いています。
すでに、読みにくくなっているかも知れませんがご勘弁下さい。
さて、前回、前々回に続いて、最後に、何かと議論されている、「若手アニメーター育成プロジェクト」、観客向けには、”PROJECT A”と宣伝されている、この素晴らしい事業について、書かせて下さい。
この事業の目的が、情報の足りない会員たちの間で、大きく、はき違えられていることが、大変残念です。
手っ取り早くは、この事業のことは、
「文化庁委託事業 平成22年度若手アニメーター等人材育成事業 “若手アニメーター育成プロジェクト” 募集案内」
という公開されている文書を読むとすべて分かります。
http://www.janica.jp/events/h22wakate/h22bosyu.pdf
実は、大変恥ずかしながら、私ははこのような文書が、このアドレスに公開されていることを、今日の昼、初めて知りました。「募集案内」という題なので、数枚のペラ紙サイズかと今まで無視していたのです。これが、全部で31ページ。ざっと目を通しただけで、分かりました。これはもう、アニメーターの立場からの戦略論文です。(ちょっと大袈裟か。ま、ノリで許してください)
これを読めば、どれだけ綿密に練りあげられているかが、よく分かります。
これを書いたのは、神村幸子 前理事と、桶田大介 監査理事だと、私は人づてに聞きました。(正式に確認はしていません。もっといろいろ複雑かも知れないし、桶田さんがほとんど一人でまとめたのかも知れないですが)おそらく、神村幸子さんの研究と経験に、JAniCAの調査データが加えられ、他の理事たちや運営委員たちの意見がさらに載せられて、法的な筋道と、体裁が、企業法務の経験豊かな桶田大介弁護士によって、与えられ形になったのだと思います。(あくまで推測ですが)
このような、高度な計画を生み出したJAniCAを、会員の皆さんは誇りにして良いと思うのです。
私がこの事業を初めて知ったのは、去年の6月の定時総会で、桶田氏の短い説明を通じてのものでした。それでもすぐに私は、この事業のすばらしさが理解できて、直後にブログに書いています。(http://blog.goo.ne.jp/moriphy/e/376bd715589e6f3dc3a07bd69567ddb6)
しかし、私のその時点での理解も、不十分なものだったのでしょう。ここ2か月、いろんなアニメーターの知人たちに、説明してまわっても、なかなか理解されずに苦労していたのです。これはもう、ひとえに、私の理解力、言語能力、説明能力の未熟さゆえです。
もう一度、時間を戻して、知人たちに会って、この「募集案内」をプリントアウトして見せたいです。質問に対しては、「それは、ここに、こういう風に説明されているよ」と、示せば、すべて間に合ったでしょう。あ〜あ。
ですから、この事業に疑問を持っている皆さんには、是非、これに目を通していただきたいです。ただし、PDFファイルは、携帯では見られません。また、31ページにも及び、難しい言葉で書かれているので、ある程度の知識と時間と読み砕く根気がないと分からないでしょう。
明日の総会でも、この膨大な資料は用意されません。明日の総会は、芦田前代表辞任の経緯を説明するためだけに開かれるものではないので、時間も限られるのです。
(なみきたかし氏の臨時総会開催を求める申し立ても、会員の5分の1の定数の賛成を集められなかった。なので、今回の総会は、あくまで、混乱の収拾のために、6月に開かれる定期総会を、スライドさせているだけです。そんな、頻繁に総会を開く力は、ボランティアベースの今の事務局にはないから、仕方ありません)
しかし、こうした文書を、自分で探し出して読み砕くぐらいの努力は、会員の皆さんがやらないと、JAniCAの運営は立ちゆかなくなってしまうということなんですね。
ただ、かくいう私でさえ、まだ一部分しか読んでいませんので、偉そうなことは言えません。本当なら、重要な箇所を引用して、皆さんに説明したいのですが、、、、
すでに今日書いた文章が、1万字を超えて、私も少々、ラリっています。所詮私も、素人のブロガーに過ぎないわけです。はい。
なので、この文書のことは、横に置いて、前回までの論説に筋を戻し、自分の言葉、理解で残りを書きます。
________________________________________
よく聞かれるのは、なぜ、これが「事業」なのか、ということです。
若手育成が目的なら、そんな大袈裟な事業に無駄なお金を使わずに、若手に直接金を渡して支援すればいいじゃないかと。それをやらない、ということは、制作会社を儲けさせる利権誘導が目的なのだろう、というわけです。(目的の勝手な捏造)
きっと、制作会社は、予算を搾取しているに違いない、安いお金で固定給の制作進行さんに、その事業だけはと、高い賃金が払われること自体が想像しにくい。などなどなど。疑いは尽きません。
会社が組織が、ウラで何でもズルが出来ると思っている。こうした、勝手な、疑いをカゲでこそこそと(2ちゃんねるあたりで)ばらまくアニメーターたちのメンタリティが、実は、私は少し分かります。そういう人たちは、自分がもらっているお金が安いと思っても、文句を言えずにこれまで生きてきた人たちでしょう。その鬱憤を、ここぞと晴らしている。。
もっとおぞましいのは、桶田氏や神村氏が、この事業の仕事を通じて受け取った仕事の対価を公にし、「こんなにもらってやがる」とやった人がいる。外野のデマではありません。実は、芦田前代表が、前回リンクを張ったインタビューで述べています。桶田氏が1千万円受け取ったと、述べている。しかし、それがいったいどうしたというのでしょう?
実はこの数字もおそらく、正確ではありません。いろんな細かい、たくさんの細目を足し合わせた合計が、それぐらいだろうということでしょう。文化庁が、厳しい会計監査をかけた上で、承認した、まったく正当な労働対価なのに、です。
事業はまだ、終わっていないし、本当はまだ、いくらか分からないはずなのです。それを、こうやって公にするとは、不謹慎でしょう。
ただ、この1千万円という額は、私の頭の中では象徴的です。アイジーの石川光久社長が、イノセンスの公開時、朝日新聞のインタビューで、アニメーターの報酬額として、この額を口にしました。2004年2月28日b2面です。アイジーの歴史を溯って話すなかで、
(転載始め)
インタビュアー:で、著作権ビジネスをはじめました。
石川:うちには年収1千万円がごろごろいる。でも最初は下請けばかり。10年目で赤字になりそうだった。
(転載終わり)
と、このように、言いました、さらっと、「1千万円がごろごろいる」と。
するとこれに、私の友人たちが、見事に浮き足立ちました。「そんなに?」「ごろごろ?」私もへ〜、と思ったけど。
世の中的には、アニメーターが自分は貧乏だと言って良いことになっているけれど、雇っている経営者にしてみればプライドがありますから、こうした牽制のような反論も出ます。当たり前です。
エピソードをもうひとつ。ある社長が、
「うちでは、どんなに高くても、アニメーターに月90万円以上は払わないよ」
と言うのです。90万を超えると税率が変わるから、とも言っていましたが、ただ、あくまで、私の主観ですが、アニメーターが100万を超えると何かが変わってしまう、といったような、経営者としての勘が、どこか働いているのではないかと、その社長の顔に感じたものです。
前述の石川社長も、そのへんの勘所を押さえておいでだ。
ニッポンのアニメーターは、1千万とか100万とか、数字が一桁増える瞬間に弱い人種なのでしょうか? 金銭感覚にリミッターでもついているのか。そのへんの体質を、どこかの大学の文化人類学とか、被差別民族研究とかのゼミで、研究してもらえないですか。冗談抜きで、私からデータをとってくださってもいい。芸術系の大学の研究なんかより、よほど財産になりませんか。悪いクセを直す良い方策が見つかるかもしれません。
どうか、皆さん。自分たちの職域のトップクラスが、年収1千万円ぐらいもらうのは当たり前だと、言えるようになりましょう。人がもらっているお金をうらやましがることが、どれだけ恥ずかしいことか、目を覚ましましょう。(すでに言える人は、ごめんなさい。失礼しました。)
いや、だって、1千万円なんて、想像もつかないから、びっくりしちゃうんです、という気持ちが、実は私はすごくよく分かります。でも、弁護士だけでなく、専門分野、専門知識を糧に仕事をしている人たちの報酬としては、そんな法外な、すごい額とは言えないのです。
いやらしい話ばかり書いてしまいましたが、若手育成プロジェクトの何が素晴らしいかというと、その予算の額に根拠があることです。
去年の総会で、この予算のことについて説明があった時、小さな、議論のようなことが、芦田代表と、桶田監事のあいだで、交わされていたのを憶えています。
たしか演出か何かの仕事の対価が、時給数千円とかいう話が出たとき、芦田氏が
「でも、普通そんなにもらわないですよね」
と言ったら、桶田氏が
「アニメの仕事ではそうかも知れませんが、そういう(演出のような)人が、学校で講師をやったら、講師料は○千円ぐらいです。だから、適正です」
とたしか切り返した。
(私の記憶なので、あくまで言葉は不正確。論旨だけ読み取ってください)
桶田氏が筋道を立てて、高い予算をつけているのに、代表が下げようとしている。変だな、というやりとりでしたが、予算に根拠がある、とはこういうことなのです。
一番問題のアニメーターの単価の設定については、JAniCAで大規模アンケート調査を行い、東京大学の浜野保樹教授の研究室にデータを分析してもらいました。その研究結果が、今回の事業の単価の設定の根拠として利用されています。
その結果を受けたシンポジウムが2009年5月に開かれて、私もたまたま聞きつけて見に行きましたが、記事にもなっていて、内容が見られます。
「Business Media誠 JAniCAシンポジウム2009」
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0905/28/news016.html
この中のアニメーターの報酬に対する浜野先生の発言を、私は自分のブログでやんわり批判してますが、その私の理解も、浅かったことが今分かります。
アニメーターが低賃金といっても、インディペンデントの演劇の役者の待遇にくらべれば遙かにましだという見解は、浜野先生に限らず、よく聞く意見です。私としては、これはまったく間違っている理解だと思っているのですが。なぜなら、日本の制作会社は、出版や放送などの独立系ではない、大手の企業群で形成された産業に組み込まれていて、アニメーターたちはそこで雇われています。ですから、独立系の演劇の待遇と並べるのはおかしいです。しかしながら、そういう声に配慮して、敢えて取り込むことで、社会とのコンセンサスを得ようという、その現実的な進め方は優れていると言えるでしょう。報酬は高い方がいいに決まってますが、周囲との合意を得るために、バランスを取った。それでも、あくまでそこに根拠があるということが大事です。
あとで、やっぱり安かった、と思ったら、その根拠を見直せばいいのですから。
そうやって、調査し、その結果が、たしかなものであることを内外に認めさせた上で、では、いくらなら、適正なのかという結論を出し、それを丸ごと事業計画にして、文化庁に認めさせて、事業をスタートさせた、とそういうことだと思います。
もう今週、完成した4本の試写が行われています。ちらちらと、良い評判も聞こえてくる。
要するにJAniCAは、お手本になる事業モデルを実践しました。
人を育てると言っても、若手育成の難しさは現場の人間なら誰しも知るところです。人は現場で育つもの、しかも、作品スタイルごと、会社ごとに育て方はちがいます。だから、事業なわけです。そして、それは長期にわたって続けられなければならない。付け焼き刃の支援をしても、簡単に人は育たない、割高なだけだと分かったら、長くは続きません。
なので、決して割高ではないと。事業として成立するのだということを、やって見せる。そして、育成の成果については、ヒアリングなどを通じて調査し、方法論とその成果をサンプリングし、そのデータを納品することも含めた時はじめて、この計画は文化庁のコンセンサスを得られたのでしょう。
文化庁を通して預かった国民の血税を、付け焼き刃の支援に終わらせないためにこそ、このような大規模な計画になったのでした。
作品作り以外にも、講習をやったり、ヒアリングをやったり、たくさんの仕事があります。税金を無駄に使っているのではありません。
しかも、これはあくまで私の見立てですが、これがうまくいけば、低い水準で硬直化していた商業アニメーションの賃金体系に一石を投じられることは確実です。極端な話、他の会社は、前述の文書の理論を真似て、企画を立てていけばいい。(と、私は見立てた。私の意見)
繰り返しますが、予算の決め方に根拠がある事が大事です。根拠を積み重ねて、1本3800万円という予算を決めました。重ねて書きますが、もしもこれでも足りないとなれば、その根拠になった理論を見直せばいいのです。そういう当たり前なことが、今まで出来ずにいた。安いのは、鉄腕アトムの予算が安かったからだ、などと言っている。ちがいます、新たな予算の枠組みの根拠を理論構成出来ずにいたから、安いままなのです。
だから、この事業の仕事を引きうけてくれている、弁護士さんの報酬を根拠なく、もらい過ぎだと文句をつけてはいけない理由が、もうお分かりですね。その弁護士さんの報酬も、きちんと根拠に基づいているからです。それを、気分が悪いからと言って崩したら、予算の枠組み全体の根拠が崩壊してしまうからです。
芦田さんは、インタビューの中で、弁護士の時給3万は高いと言ってますが、私の知り合いに聞いてもらったら、弁護士の相場は時給5万でした。
ネットでどこでもいいから弁護士事務所を調べてみてください。報酬を公開しているところが結構見つかります。
あと、気にすることがあるとしたら、お金を払った分の仕事を、ちゃんとやってくれているかどうかです。そこは、私の聞く限り、ほとんどすべて順調に運んだようです。
さて、そろそろ、私も書きたい放題書くのは終わりにします。他にも、くだらない、根拠のない、言いがかり、疑いに、反論したかったし、ヤマサキさんや井上さんが書いていることなどを引用したかったですが、日が変わってしまった。やめときます。
前に、皆さんの見識が試されますなどと、偉そうなことを書きましたが、もちろんその前に試されるのは、私自身の見識です。分かっています。いつも何かちょっと足りない人間なので、オチても何も驚きはしません。私なりに出来ることがあれば、やりたいと思ったまででした。どのような結果になろうと、皆様の判断は信じています。
今日はこれで終わりです。
森田宏幸 拝











明日、あ、今日は全力でがんばってください!
応援しています。
http://www.janica.jp/events/h22wakate/h22bosyu.pdf
森田さま、これを最後まで読みとおせる方はあまりいないと思います。多少事情を知っている(というか教わった)自分でさえ目を通しながら「で要するに何を言いたいわけ?」と思ってしまいました。
誤解しないでほしいのですが、狙いは理解しているつもりです。現実から遊離しないで事態を変える(明確化する)高度な企画であると評価しています。が、この書類では100人中90人は最後まで読まずに投げて終わりです。
ルポルタージュ的な書籍にまとめなおせないでしょうか。先月『パチンコがアニメだらけになった訳』というルポ本が出て、AMAZONで注文してもなかなか配達されないくらい売れています。内容は題の通り。パチンコ無知の著者があの手この手でアニメ業界、パチンコ業界の人間に取材ね重ね、次第に両業界のウラ構造をあぶり出していくという構成です。著者のキャラ立ちがいいので最後まで飽きず読みとおせるのです。
やっぱり難しいですか。
KKさんがおっしゃるなら、そうでしょう。
(私はKKさんと面識がある)
いずれ、プリントアウトして、手に持って、説明にあがりましょう。
貴重な助言をありがとうございました。
上の方、他にも、
応援のメッセージ、ありがとうございました。
ですが、それをリクープする手段が現在、映像作品だけではかなり厳しい。
育成事業は国から出ている予算ですから、1本3800万円でも良いのかもしれませんが(リクープしなくても良い上にその後は4つの制作した団体任せ。その4企業にとっては売れなくてもダメージ無し)、実際に商売となるとそうは行きません。
出せる企業がほとんど無い場合、1本3800万円の根拠としては弱くなると思うのですが、その辺はどうお考えですか?
この事業の根拠を持ち出せば、企業もお金を出してくれるでしょうか・・。
だもんでまず品質っすよ。
若手事業の4作品はかなり高品質だと私は思う。
だから純粋にみたいから映画館に料金払ってみにいきます。
それから作品内容です。
どのアニメも誰もが楽しめる作品です。
顧客満足重視の立派な商品に仕上げていると私は思います。
「ヒトサマにお見せできる代物じゃないが、とりあえずでっち上げてそれっきり」
というもんでは断じてないです。
『JAniCAシンポジウム2009』で提起された問題に対する立派なソリューションじゃないでしょうか。
いうまでもないけど、ソリューションを考えるのって滅茶苦茶難しいです。
『JAniCAシンポジウム2009』議事録
http://www.janica.jp/survey/2009symposium_record.pdf
若手アニメーター育成プロジェクト募集要項
http://www.janica.jp/events/h22wakate/h22bosyu.pdf
理事ご就任おめでとうございます。
今後とも宜しくお願い申し上げます。
そのうまくやっているI.Gに税金投入して3作品作って(BloodC含む)金が無く関係ない会社の若手には廻って来ないのでは、協会で収入を得る立場の関係者以外は支持しませんわ。
旧執行部は食えている人は後回しで、会社を超えて食えない若手に広く回したかったんでしょ?