苦い物の代表のようなコーヒーだが、アイスコーヒーにすると若干酸味が強くなる。この食味は「少しすつぱく人を待つ」という心境にも掛かって、待つ心の切なさのようなものを紡ぎ出す。漆黒の苦味の中の酸味を思えば、重たくなってしまうところだが、「少し」が効いて、尊敬し、憧れを含んで心を寄せる人を待っているのだろうと想像される。小説ならば、『低くエアコンの音がしている・・・』などと、趣のある店内に、待つ時間と、心情が描写されるのでしょうね。感情を述べずに、物に託して伝える俳句の醍醐味を改めて素敵だと思った句。(博子)