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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

中尾山・茶臼山ハイキング2015。蒼天のもと紅葉の里山歩き(妻女山里山通信)

2015-10-27 | アウトドア・ネイチャーフォト
 10月25日(日)の、中尾山・茶臼山のハイキングでインストラクターをしました。前夜に猛烈な風雨があったため当日の天気を心配しましたが、明けてみると快晴でした。しかし、北東の風がかなり強く、思いがけず寒い日となりました。コースは、茶臼山トレッキング愛護会の方々が、倒木や落枝を片付け整備してくれたお陰で、危険な箇所もなく、安全なハイキングが楽しめました。このコースは、拙書でも紹介していますが、標高差が330m、共和の集落を周回しても400m足らずと、初心者向けです。距離は周回で約8キロですが、普段歩き慣れていれば、幼児でも登れます。トレッキング入門には、斎場山や髻山、三峯山、聖山のパノラマホテルコースと共に最適の山です。
 拙書では、今回上りに使った一本松コースと、下りに使った恐竜公園コースの二つに加えて、20分で登れる旗塚コースと、少し長い小松原コースも紹介しています。また、芝池コースは、地図上に破線で紹介しています。

 まず開会式。ゆるキャラの「モモピー」も登場。挨拶とストレッチの後、9時に出発。私は、一本松コースの先頭を歩きました。このコースの参加者は、100名ほどで、三班に別れて出発。
 中と右は、朝日を浴びる裾花凝灰岩の白い崖。白砂青松の趣。今から600-700万年ほど前に海底で起こった大噴火の際に噴き出した火山灰や、岩石などが降り積もってできたもの。なんでも海底噴火でできたものの様です。長石や石英が含まれるため、雨上がりの地面はキラキラと光っていました。黒雲母の粒も含まれるとか。厚さは最大で2000mもあるそうです。葡萄石、または仏頭石と呼ぶ球状体の石も産出。

 今回は、特別にゲートを開けていただいて、堰堤工事に使われた舗装路を登りました。通常はこの道は入れません(左)。新しく完成した堰堤。この下にもうひとつ大きな砂防ダムがあります。舗装路の峠で小休止。ここから細い山道に入ります(右)。赤く染まっているのは、ヤマザクラやヌルデなど。黄色はダンコウバイやコシアブラ。ハウチワカエデなどの紅葉も始まっています。

 一本松まであと半分の山の神を通過(左)。笹ヶ峰と呼ばれる非常に笹の多い尾根が前方に見えます。ここまで約1時間とかなりゆっくりなペースです。さらに約20分で一本松の峠。雪州神社の石祠があります(中)。ここで再び小休止。ほぼ平坦な尾根道を20分弱歩いて善光寺平展望所(右)。

 眼下に松泉閣や老人ホームの豊寿苑、車がたくさん見える出発地点の黒木学園、右上に共和小学校の校庭、奥には北陸新幹線の高架橋が見えます。

 遠くには、雲がかかった四阿山と根子岳が。笠ヶ岳や横手山など志賀高原方面の山々も見えました(左)。そこから約10分登って北アルプス展望所へ(中)。仁科三山や白馬三山が綺麗に見えました(右)。

 左から爺ヶ岳、北側の平家の落人が隠れ住んだという「かくね里」の氷河かもしれない雪渓の調査がされた鹿島槍ヶ岳、武田菱の雪形で有名な五竜岳と仁科三山の雄姿。手前は、山布施の集落。大寒波が来れば、一晩で真っ白になります。

 白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳と白馬三山の雄姿。やはり北なので仁科三山よりも雪が多めです。

 その右手前には、神話の山・虫倉山。神城断層地震で山頂が4割も崩壊してしまいましたが、その痛々しい跡は、茶臼山からもはっきりと見えます。鎖場が楽しいさるすべりコースは、未だ登山禁止のままです。この山も拙書では、その歴史とともに紹介していますが、コースの復旧は叶うのでしょうか。

 茶臼山山頂は、展望がないので小休止の後、茶臼山自然植物園へと下ります(左)。ガマズミが真っ赤な実をたくさん付けていました(中)。この実を焼酎に漬けると、真っ赤な薬酒ができます。抗酸化作用が強く、滋養強壮、老化防止に効きます。砂糖は入れずに、飲む時に蜂蜜を加えます。適度な酸味と甘みがあり、お湯割りにすると最高です。植物園は、来年の植樹祭に向けて大整備中だそうです(右)。階段の両側に、色々な植物が植えられています。

 途中の展望所から薄っすらと白雪をまとった四阿山と根子岳。手前は奇妙山。その左手前に重なるように尼巌山。いずれも拙書で紹介しています。今年は根子岳で、県の天然記念物のミヤマモンキチョウの撮影に成功しました。その手前には、AC長野パルセイロのホームスタジアムが見えます。

 植物園に咲く花にアサギマダラが吸蜜。海を渡る途中でしょうか。翅の透けた部分が浅葱色の、非常に美しい優雅な蝶です。夏の聖山では、この大群が見られました。

 お昼には、きのこ汁が出てのんびりと昼食後、インストラクターの話。私は本の紹介と、そこに記述されている内容などをお話しました。そして歌の時間。係の方々の歌とダンスも。
 川辺書林さんが出張販売をしてくれました(右)。拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』をたくさんお買い求めいただき、本当にありがとうございました。キノコは、ムキタケとムラサキシメジが少し採れたぐらいだった様ですが、けが人もなく遭難者もなく、無事にハイキングを終えることができました。係の皆さんも本当にご苦労様でした。 

★以下は、茶臼山関連の私のリンク集です。
2014年の中尾山・茶臼山トレッキング(茶臼山の名前の由来や歴史の記述があります)
10月26日(日)の中尾山・茶臼山ハイキングの下見に。黄金色の棚田で見つけた信州の秋:ワレモコウ、ノコンギク、アキアカネ
2013年の中尾山・茶臼山トレッキング
2011年の中尾山・茶臼山トレッキング
2010年の中尾山・茶臼山トレッキング
4月、満開の桜とショウジョウバカマの咲く中尾山--茶臼山:トレッキング・フォト・レポート
5月、リンゴの花とマルバアオダモの花が咲く中尾山--茶臼山:トレッキング・フォト・レポート
10月、旗塚から紅葉狩りとキノコ狩りの茶臼山:トレッキング・フォト・レポート
34度! 猛暑の茶臼山で真夏のキノコ狩り
早春の雪景色の茶臼山で地名考
★茶臼山や妻女山山系の自然については、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。


2:05のオオカサモチは誤りで、正しくは、トウキです。訂正します。シロヨメナも少し怪しい。ノコンギクの白花の可能性。

 この日の夜は、千曲市で「里山の歴史と自然」について、スライドをお見せしながらの講演会を行いました。地元の方々も知らないような山名や歴史と、豊かな自然。しかし、それが農薬の空中散布で脅かされ、市民に重大な健康被害が出る恐れなども具体的にお話しました。ネオニコチノイド系農薬は、金沢大学や群馬大学の研究で、もはやこれは農薬ではなく農毒というべきもので、即刻使用を中止すべきだと警告しています。欧州の先進国では、すでに製造販売使用が禁止されている国があります。信州の素晴らしい自然環境を守るためには、住民の方の勉強と意識改革が必要です。放射能汚染の問題も無関心でいてはいけません。長野県産の農産物を輸入規制している国もあります。
◉必見!新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間(要保存のPDFファイル)
千曲市森の杏が最盛期、朝採り杏で焼酎漬。松枯れ病が深刻。ネオニコは農薬でなく農毒!(妻女山里山通信)
妻女山山系のゼフィルスが壊滅状態なのは千曲市による農薬の空中散布だと断言するKさん(妻女山里山通信)
松枯れ病の原因は、本当にマツノマダラカミキリのセンチュウだけなのか!?(妻女山里山通信)
松枯れの原因は松くい虫じゃなかった。大気汚染で土壌が強酸性化したことによる(妻女山里山通信)


【要保存】浸透性農薬「ネオニコチノイド系殺虫剤」が生態系と人体に与える影響について
ネオニコチノイド殺虫剤の特徴「神経障害症状(手指の震え、うつろな眼、注意力散漫、うつ病のような症状、
協調運動障害、記憶障害、暴力行動、自殺、心電図の異常)、それから、免疫症状(アレルギー症状の悪化、ヘルペスや他のウィルスに対する抵抗力の低下)など

ネオニコチノイド系農薬は、ラウンドアップだけではない。こんなにも色々な果樹や野菜で使用。あなたも毎日食べている
殺虫剤の一覧と代表的な商品名 :害虫だけに効いて、人間には無害などというのは嘘。日本の残留基準は極めて高い

天敵を利用して、マツノマダラカミキリを駆除しようという研究長野県の例野鳥利用した松くい虫被害の防除。ネオニコ農毒の空中散布だけは、絶対に止めさせなければならない。これはあなたの近くの里山でも行われているかもしれない。あなたが使っているかもしれない殺虫剤やペットのノミ取りにも使われている。決して無縁のものではない。チェックを!

林野庁の、森林の放射能汚染に関するレポート。これは読んでおいた方がいい。杉はセシウムを溜めやすい
 基本的に高汚染された森林の除染は不可能だと分かる。

 中尾山・茶臼山ハイキングの下見の時に出遭った年配の方が、茶臼山自然植物園北の新田からキノコ狩りをしながら登ってきて、途中に石像や石祠がたくさんある不思議な場所があると聞きました。その方は、このハイキングにも参加されたのですが、友人の事務局長に聞くと、あるあるということで、行ってきました。下から登るのではなく、茶臼山山頂から下ってみました。どこかにあるという菱形基線測点も探したいと思ったのですが・・。

 尾根道はこんな感じで非常に快適です。山頂付近で不明瞭になりますが、50mほど下ると明瞭な尾根道が現れます。

下って行くと空堀がありその上に楕円形状の広い台地があります。地形図では671mと書かれた場所です。ここに石像や石祠がたくさん並んでいました。中央には塚があり、その上にも石像が。東側には2段の帯状の削平地があり、これは空堀と合わせて山城の構えだと分かります。この下には篠ノ城跡、茶臼山山頂は茶臼ケ城跡。その中間の城跡ということになります。

 石像や石祠は、見たところ割りと新しいもので、江戸後期と明治初期のものの様な気がします。菱形基線測点は、見つかりませんでした。妻女山奥の陣馬平の標高が530mということを考えると、もっと下の篠ノ城跡辺りにあるのかも知れません。これは次回に探索しましょう。この尾根道は非常に快適でした。整備してハイキングの下りのコースに設定しても面白いと思いました。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。その山の名前の由来や歴史をまず書いているので、歴史マニアにもお勧めします。もちろん茶臼山も載っています。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

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国分寺・国立70Sグラフィティ』村上春樹さんの国分寺「ピーター・キャット」の想い出。はてなブログに移動しました。順次アップしていきます。

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