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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山SDPは、ヨシと帰化植物の除去。昼は絶品手打ち肉味噌麺。海津城へ(妻女山里山通信)

2016-08-10 | アウトドア・ネイチャーフォト

 35度以上の猛暑日が続く信州ですが、最低気温が20度と低いのと、日中も湿度が低いのでなんとか凌げます。樹液バーでの4時間あまりの撮影も林下なので直射日光は遮られます。しかし、今年の樹液バーはオオスズメバチばかりなので神経が疲れます(左)。レンズフードの先端からハチまでは20センチもありません。撮影中に別のオオスズメバチが耳元に飛翔することもあります。写真の様にオオスズメバチの翅は非常に細く、また先端が傷んでいることがほとんどです。それでも飛翔には差し支えないのでしょう。そのためか羽ばたきのサイクルがカブトムシやカナブンより早く重低音の感じ。この音を見ずに認識できるかどうかが重要なのです。危険を感じたら即しゃがんで後退りします。
 同じ巣から来たハチは、口を合わせて情報交換をします(中)。他の巣から来たハチは強い方が排除することもあります。アオカナブンの脇から口吻を差し込んで吸汁するオオムラサキのオス(右)。出現するオオムラサキの数が減ってきたのが気掛かりです。

 車で樹液バーまで登ろうとすると、窓からミンミンゼミが飛び込んできて脚に留まりました(左)。動かないのでそのまま車を走らせました。樹液バーの上で車から降りるとしばらくして飛び立って行きました。
 樹液バーには、カブトムシのメスが上席を占拠中(中)。後からやってきたオオスズメバチが激しく頭突きで排除しようと試みますが、微動だにしません。別の樹液バーには、ミヤマクワガタが登場(右)。やや小型です。左のオオスズメバチを角でアッという間に排除しました。

 ふと足元を見ると、カブトムシの死骸にトゲアリが群がっていました。観察すると、カブトムシは綺麗で何かに襲われた様な形跡は見られません。中の肉も食べられていない様です。死因はおそらく餓死ではないでしょうか。タヌキやカラスなどに捕食された場合は、頭と胴がバラバラで中身が食べられていますから。今年は樹液の出があまりよくありません。また、カブトムシのオスは角が邪魔をして、狭い隙間の樹液を吸うことができないのです。
 トゲアリは社会寄生する習性をもっています。仲間のアリが獲物を解体する間、周りを兵隊アリが囲んで警戒しています。敵に襲われると蟻酸を吹き付けて撃退します。

 タテハチョウ科のゴマダラチョウ(胡麻斑蝶)が舞い降りました(左)。幼虫の食草は、オオムラサキと同じくエノキ。サトキマダラヒカゲ(里黄斑日陰蝶)タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科(中)。幼虫の食草はタケ・ササ類。暗いところを好み、花にはめったに訪れません。さらに標高が高いところに生息するヤマキマダラヒカゲがいますが、混棲することも珍しくないようです。なんとバンパーに留まりました。
 樹形バーをトゲアリの大群が占拠(右)。これには後からやってきたオオスズメバチも難儀していました。トゲアリも樹液を舐めているのでしょう。肉食もするし、カタクリの種に付くエライオソームを食べ、種を巣の外に蒔くアリ散布をします。日本にアリ散布植物は、200種以上あります。

 9時少し前に、木漏れ日の中を妻女山SDPのメンバーが登ってきました(左)。当日の最高気温は35度でしたが、ここの標高は520mほど。湿度も低く風も吹いていました。作業はまず謙信の陣城跡と伝わる陣馬平のヨシの根塊の除去(中)。ヨシの根は竹の地下茎に似ていますが。今回除去した大きな根塊を作るものはススキかもしれません。掘り出してひっくり返しました(右)。これで灼熱の太陽に晒せば枯れるでしょう。
「葦の根の ねもころ思ひて 結びてし 玉の緒といはば 人解かめやも」(詠人知らず 万葉集 巻七 一三二四)
(葦の根が絡み合うように、私たちの仲も強く結ばれていますと言えば、他の人がその仲を割くようなことがありましょうか)

妻女山SDPは、妻女山里山デザイン・プロジェクトの略です。今までの活動は、■MORI MORI KIDS Nature Photograph Galleryのトップページのインデックスの下の方にある妻女山SDPの番号をクリックしてご覧いただけます。

 続いて陣馬平と周辺のオオブタクサの除去作業(左)。蜂の巣に気をつけながらオオブタクサを抜いていきます(中)。草刈機で除草では根が残り、また出てくるのです。クサギ(臭木)が咲き始めました(右)。葉や茎を折るとピーナッツの香りが、花は白粉の匂いがします。ヨウシュヤマゴボウ(マルミノヤマゴボウ)も除去しました。

 長坂峠から芝山方面(左)。ヨウシュヤマゴボウも帰化植物(中)。ゴボウ根で、根はゴボウの様な匂いがしますが、毒草なので食べられません。オオブタクサはかなり厄介な帰化植物(右)。大きくなると茎の直径が5センチ、高さが3m以上になり、酷い花粉症の原因になります。しかも根から他の植物の成長を阻害する物質を出すので、刈るのではなく抜かないと駄目なのです。

 11時頃に作業が終了し昼餉の準備(左)。まず私が幻の天然ハナビラタケと畑で採れた金針菜のカキソース炒めを。S氏が作ってきた手作りのオイキムチと私のキュウリのラー油煮(中)。左手前がピーナツラー油に自家製ラー油を混ぜて私が作ってきたもの。あまりに激辛だったので濃いゴマ油で増量しました。N氏手作りのつくねのソテー(右)。美味しかったですが砂糖が余計でしたな。ラー油を垂らすとちょうど良い感じに。K氏が買ってきた小籠包も美味でした。
 いつも多彩な話題で盛り上がるのですが、今回は古代科野国や聖徳太子、徐福伝説など古代史の話で盛り上がりました。いわゆる学校で習う古代史がいかに出鱈目か。中国史や半島史との関連付けが重要にもかかわらず、世界史と日本史に分けて教える理由。記紀の如何わしさの理由。善光寺の秘仏の真贋。いやあ面白かったです。

 N氏のイカのぽっぽ焼きの後で、メインディッシュはK氏の超強力粉のユメチカラの手打ち麺(左)もちろん麦も自家製。これを茹でて氷水でしめます(中)。そしてS氏手製の肉味噌(甜麺醤・豆チ醤・豆板醤)と蒸し鶏、錦糸卵にキュウリの千切り、白髪ネギをトッピングして私のラー油をかけて混ぜていただきます。台湾混ぜソバの様な、ジャージャー麺の様な。これは絶品でした。ヒグラシとミンミンゼミの鳴き声がBGMです。すぐ横では樹液バーでオオスズメバチやアオカナブン、オオムラサキが吸汁しています。

 翌日は所要のついでに松代城(海津城)へ。櫓台から西を見ると斎場山(旧妻女山)。長野市の看板にもその記載がないため、多くの歴史マニアや観光客が現妻女山(旧赤坂山)を謙信本陣と勘違いして帰っていきます。地元で謙信本陣と伝わるのは斎場山です。更に上の陣馬平は、謙信陣城跡と伝わる台地で、『甲陽軍鑑』の編者の小幡景憲が描いた絵図が東北大学の狩野文庫に所蔵されネットで見ることができます。斎場山は妻女山と陣馬平の長い尾根上にあるのではなく、さらに400m西にあります。頂上は古代科野国の円墳です。『真田丸』効果で訪問者も激増しています。行き方は拙書で詳しく紹介していますが、右の林道を徒歩で20分。四駆ならば長坂峠まで車で登れます。

 櫓台から南を見ると、武田別働隊が越えたという戸神山脈が象山の続きに見えます。別働隊は、西条の入から戸神山の向こう森の平を超え、百瀬から倉科に下り、上の写真の二本松峠の向う側にある兵馬(ひょんば)で隊を整えて、天城山(てしろやま)を巻いて斎場山各地に布陣する上杉軍に攻め込んだといわれています。もぬけの殻でしたが…。拙書でも紹介していますが、妻女山を起点として鞍骨城跡から象山のループコース、鏡台山や五里ヶ峰を使うロングコースなど、歴史めぐりの色々なコースがあります。川中島合戦の武田別働隊の経路を歩いてみたいという方は、拙書をお買い上げいただいて、トレッキングの装備で巡ってください。不明な点がありましたら、左上のメッセージを送るからお問い合わせいただければ、お応えいたします。

この8月11日は、初めての国民の祝日「山の日」となります。それに先立ち、7月の第4日曜日(今年は24日)が「信州山の日」でした。私も関連でお仕事を頂きましたが、写真を使った記事や、講座・講演なども承ります。お気軽にお問い合わせ下さい。講演、講座も承ります。
 妻女山展望台の南にある大きな駐車場の奥には、清野氏の鞍骨城への地図や、登山ノート、拙書『信州の里山トレッキング 東北信編』の見本誌とパンフレットなどが置いてあります。お問い合わせやお仕事のお申し込みは、当ブログのメッセージを送るからお願いします。

妻女山の位置と名称について」妻女山と赤坂山と斎場山について。『真田丸』で訪問者が激増中。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。郷土史研究家でもあるので、その山の歴史も記しています。詳細は、『信州の里山トレッキング 東北信編』は、こんな楽しい本です(妻女山里山通信)をご覧ください。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。『真田丸』関連の山もたくさん収録。

本の概要は、こちらの記事を御覧ください

お問い合せや、仕事やインタビューなどのご依頼は、コメント欄ではなく、左のブックマークのお問い合わせからメールでお願い致します。コメント欄は頻繁にチェックしていないため、迅速な対応ができかねます。
 長野県シニア大学や自治体などで好評だったスライドを使用した自然と歴史を語る里山講座や講演も承ります。大学や市民大学などのフィールドワークを含んだ複数回の講座も可能です。左上のメッセージを送るからお問い合わせください。


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