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抗菌薬・殺菌剤

2017年07月16日 | 健康・病気

 妊娠中も使える抗菌薬」の前提が崩れたら

    毎日新聞「医療プレミア」2017年7月16日
       谷口恭 / 太融寺町谷口医院院長

 抗菌薬の過剰使用を考える【16】

   当連載はこれまで15回に及ぶ「抗菌薬の過剰使用を考える」シリーズなどで、抗菌薬の「使いすぎ」に警鐘を鳴らしてきました。その重大性に気付いてくれる人が一人でも増えてくれればうれしいのですが、実際はどうなのでしょう。最近開催されたある学会で、私は薬剤耐性菌に関する講演を行いました。その時、余談として「今日はフロモックス3日分でお願いします」とか「家にあったクラリスを2錠飲んできたから残りを処方してほしい」と平気で言う患者さんがいる、という話をすると、会場から苦笑いが……(フロモックスもクラリスも抗菌薬の商品名です)。多くの医師が同じような体験をしているのです。

  抗菌薬は自分の判断で飲んだり止めたりしてはいけない、抗菌薬が家にあること自体がおかしい、抗菌薬は患者さんが求めるものではない、ネットでの購入はNG……といったことをこれまで繰り返し述べてきました。それは、あまりにも気軽に抗菌薬を求める人が多いからです。

 普段は平気でも「妊娠中の抗菌薬使用は不安」

  しかし、妊娠中の女性の行動はまるで異なります。妊娠中に抗菌薬を気軽に飲む人はまずいません。それどころか「前の病院で妊娠の可能性があると言ったんだけど、この抗生剤(患者さんは「抗菌薬」ではなく「抗生剤」「抗生物質」と呼ぶことが多い)が処方されました。飲んでもいいですか」と、わざわざ私の診療所を受診したり、メールを送ってきたりして尋ねる人がいます。

   前医が処方したものを私が撤回するわけにはいきませんし、今のところ妊婦さんにあきらかな不適切処方が行われたと思われるケースには遭遇していませんから、そのような相談には「前医の指示に従ってください」と答えています。「難敵耐性菌を制圧した英国の“王道”政策」の回で紹介したように、「毎回風邪にクラビット」という安易に抗菌薬を処方する医師がいるのも事実なのですが、妊婦さんが相手の場合はそのような医師も慎重になるのかもしれません。

 基本は感染症にかからないこと

  妊娠中の抗菌薬使用については、どのように考えればいいのでしょうか。もちろん、最も大切なのは「(細菌)感染症に罹患(りかん)しない」ということです。妊娠中に高熱が出るようなことがあれば、胎児に影響が及ぶ可能性もあります。ですから、細菌感染に限らず感染症全般への十分な対策が必要です。まずうがい、手洗いは確実に行うべきです。私は「奥さん(や娘さん)が妊娠している(かもしれない)」という患者さんを診察した時、場合によっては「今日は家に帰らずに実家やホテルに泊まった方がいいのでは?」と助言することもあります。

  しかし風邪を含む飛沫(ひまつ)感染や空気感染をする感染症に対しては、うがい、手洗いだけで十分とは言えません。一般に、保育園、幼稚園のような幼児が集まる場所は「感染症の貯蔵庫」のようなものです。妊娠した時、終日自宅で過ごすことができればいいのですが、上の子供の保育園や幼稚園の送り迎えをしなければならないことがあります。この時に感染症をもらうのです。あるいは、上の子供が保育園などで感染し、その子供から自宅でお母さんが感染するケースもよく見られます。

  ですから、感染予防のことだけを考えるなら「妊娠すれば上の子と隔離」が最善となるのですが、これは非現実的です。ですが、子供から感染するリスクが高いことは知っておかねばなりません。その知識があると、妊娠前に、お母さんは少なくとも麻疹(はしか)、風疹、水痘(水ぼうそう)、おたふく風邪の抗体があるかどうかを調べなければならない、そして抗体価が低ければワクチンを接種しなければならない、ということがおのずから理解できます。「理解してから接種する--『ワクチン』の本当の意味と効果」シリーズで紹介してきたように、現在の日本では妊婦さんが風疹にかかると赤ちゃんに先天性障害が起きる可能性があることは周知されていますが、妊娠中に麻疹、水痘、おたくふく風邪に感染、罹患したときのリスクは、軽視されているように私には思えてなりません。

 それでもかかってしまったら…

  話題を、妊娠中の抗菌薬使用の是非に戻します。うがい、手洗いをしっかりする、カンピロバクターなどの食中毒に注意する、けがを防ぐ、といった注意をしていても、細菌感染を完全に防ぐことは困難です。では、運悪く妊娠中に細菌感染を起こした場合はどうすればいいのでしょうか。

  まず、大前提としてウイルス感染の可能性を排除すべきです。太融寺町谷口医院の例でいえば、季節にもよりますが、風邪症状で受診する人の8~9割はウイルス感染です。また、細菌感染であったとしても必ず抗菌薬が必要というわけではありません。グラム染色での炎症所見が軽度で、全身状態が良好であれば抗菌薬を処方しないケースがあります。食中毒の場合も、たとえカンピロバクターなどの細菌が検出されても軽症であれば抗菌薬は不要です。けが(外傷)の場合は、初期にしっかりと洗浄(水道水でOK)していれば抗菌薬を使わなくて済むことが多々あります。

  とは言っても、重症化している(しそうな)場合は抗菌薬を用いなければなりません。そんなときは「妊娠中でも使える抗菌薬」を選択することになります。それはペニシリン系、セフェム系、マクロライド系の3種の抗菌薬です。クラビットという商品名で有名なニューキノロン系や、商品名・ミノマイシンなどのテトラサイクリン系は、生まれてくる赤ちゃんに奇形のリスクが生じることなどから原則妊娠中の使用は「禁忌」です。他の種類のものも「禁忌」もしくは「禁忌に近い」と考えなければなりません。しかし、このような説明を聞くと「なーんだ。妊娠していても使える抗菌薬が3種類もあるなら、そんなに心配しなくてもいいんじゃないの」と思った人もいるでしょう。ですが、この「妊娠中も使える」という前提が崩れたとすればどうでしょう。実は、最近、そのような内容の研究が報告されたのです。

「安全」と言われた抗菌剤でも流産リスクが上昇?

  その研究は、医学誌「Canadian Medical Association Journal」2017年5月1日号(オンライン版)に掲載されました(注)。カナダ・ケベック州在住で1998年から2009年に自然流産した15~45歳の妊婦8702人を対象に調べたところ、マクロライド系抗菌薬のアジスロマイシン(先発品の商品名は「ジスロマック」)を妊娠中に服用した人の流産のリスクは服用していない人の1.65倍、クラリスロマイシン(同じく「クラリス」「クラリシッド」)なら2.35倍にもなる、という結果が出たというのです。

  これらのマクロライド系抗菌薬は、日本の使用量が他国より多いことが指摘されています。そして実際、妊娠中にもよく使われています。「マクロライド系が流産のリスクになるなら、ペニシリン系かセフェム系を使えばいいのでは?」と思うかもしれませんが、問題はペニシリンやセフェムがまったく効かない感染症に対処せねばならないケースです。特に、それが多くの妊婦さんが感染する感染症だった場合、どうすればいいのでしょうか。次回、考えてみたいと思います。

 

 

制汗デオドラント商品 危険な殺菌成分使うマンダム『ギャツビー』・ロート製薬 『リフレア』―― お勧めは『レセナ』『デオナチュレ』

 MyNewsJapan Tinyreportsimg_j20170701062454

 薬用化粧品や消臭剤に使用される殺菌成分。欧米では「トリクロサン」など使用が禁止される成分が増えるなか、代替成分として注目を浴びる「塩化ベンザルコニウム」の有害性を示す新しい研究が、この6月に発表された。皮膚や呼吸からの吸収で胎児の脳や脊髄の欠損が150倍も増える、というショッキングな内容だ。そこで市販の制汗デオドラント商品の成分を比較したところ、メーカーによって、こうした有害成分使用の有無に大きな差があることが判明した。海外で使用禁止されたトリクロサンをいまだに使い続けている最悪有害商品が、マンダムの『ギャツビー』。ロート製薬 『リフレア』をはじめ、代替成分として危険性の指摘される塩化ベンザルコニウムを使用する商品も多い。そんな中、そもそも殺菌成分を使わず制汗成分だけを使用するユニリーバ・ジャパン『レセナ』はお勧めできる。女性用と男性用のメーカー別主要商品について3段階評価を一覧にまとめたので、夏に向け購入の参考にされたい。(07/01 2017)

 制汗デオドラント商品に使われる殺菌剤(殺菌効果のある成分)は、直接ワキや足の指などに塗りこみ、皮膚の上で永く留まることで作用する。 薬用石けんなど、すぐ洗い流すものとは違い、殺菌剤が皮膚から浸透するリスクは高くなる。

  現在、制汗商品など薬用化粧品に使われる殺菌剤には、海外で禁止されているもの、禁止はされていないが動物実験で有害性が指摘されているもの、有害性が不明なもの、に分けられる。

 制汗商品に使用される主な殺菌剤を、この3種類に分けると、以下のようになる。

 海外で使用禁止となっているもの:トリクロサン
有害性を示すデータがあるもの:塩化ベンザルコニウム
有害性が不明なもの:イソプロピルメチルフェノール・βグリチルレチン酸

  殺菌剤などそもそも要らない、という立場の人から見たら、有害性が不明だから安全、とは素直には認めにくいだろう。 しかし、「制汗デオドラントは必須だが、より安全性の高いものを選びたい」という人にとっては、避けるべき順序からいえば、上から下の順番になる。

  今回、国内で市販されている大手メーカーの制汗剤商品の殺菌剤成分を調べたところ、メーカーによって対応が分かれていることが判明した。

 ◇欧米禁止殺菌成分トリクロサンを使うGATSBY

 トリクロサンは、薬用化粧品などに使用される殺菌剤の中で、長年有害性が指摘され続けてきた。皮膚から体内へ吸収されることがわかっており、一度体内に入ると分解されにくく蓄積する。

  アメリカやスウェーデンの調査では、75%の人の尿から検出、妊婦の血液や母乳からも検出されている。

  また毒性としては、体内のホルモンをかく乱するいわゆる環境ホルモン作用が問題にされている。妊娠中に胎児の発達の過程で、男性ホルモン・女性ホルモンがかく乱されることでの生殖毒性や、甲状腺ホルモンがかく乱されることでの神経発達毒性が懸念されている。

  海外の大手トイレタリーメーカーのP&G、ジョンソンアンドジョンソン、AVONなどは2014年の段階から自社商品への使用中止を発表した。

  日本でもMyNewsJapanの記事などを受け、花王をはじめ大企業は密かに薬用石けんの成分をトリクロサンからイソプロピルメチルフェノールへと変更するなど、代替化を進めてきた。

  そうした中で、行政側の規制措置として、EUでは2015年6月に衛生用品へのトリクロサンの使用を禁止する決定を下し、アメリカでは2016年9月に、家庭用抗菌石けんやボディウォッシュに限定ではあるがトリクロサンをはじめとする19の殺菌成分の使用禁止を決定した。

  アメリカの決定を受け、日本では.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。

なのです。

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