悪意

アタシはアタシなのに

かわいそうと蔑まれて
愚かだと軽んじられ
小突かれてるうちに
どうしようもない欠陥品じゃないかって
怖くなる

特別なことはなにもないのに
誰かから
嘲笑われて
一緒に笑った時に
アタシが壊れちゃったのかもしれない

この世は悪意に満ちている

蹂躙されて、捨てられる

誰もが放っておいてはくれない
瞳の端っこが好奇に満ちてる
雑草を踏みにじるように
尊厳が壊される

どうしようもなく

アタシがアタシを
かわいそう
と思った時から
アタシの世界は消えてしまったのかもしれない

快楽

同じ場所を目指してるけど
勝手にのぼりつめてるだけ

いっそ　他人の方が

なにもわからなくして
今までも
先のことも
ぜんぶ　どうでもよくして

一瞬でいい　忘れさせて

ひとつかみあった羞恥心のかけらを放したとき
わたしは・・

自分の快楽だけ貪って
冷えた身体を包むあなたを感じた時
我に返る


愛情とは繋がっていないような気もする
愛情の上に成り立っている気もする

無題

苛立ってる
どうにでもなれって思ってる

気を引く素振りで誘ってみたり
甘い言葉や
わざと無視したり

あなたを試したり
あなたを赦したり

まわりみちをぐるぐるして

けっきょく



たださびしいだけ

距離

確かめてみたくなる

だからこうして距離をとって
猫みたいに
ぷいっとしてみる

どれくらい赦されるか

それでわたしはなにをはかっているのだろう

分かりきっていても
言って欲しい

その熱を感じたい

ほとほと嫌気がさして
また殻に閉じこもる

永遠に
おいかけっこをしてるだけなのかもしれない

果実

軽く指でなぞられただけで
崩れ落ちる果実のように
どうしようもなく　あふれてく

愛は
憎しみを孕んで
真っ黒なのかもしれない

飲み込んでも飲み込んでも
空虚

満たしても満たしても
からっぽ

望んでいることをぜんぶしてもらっても
望まれていることをぜんぶしても

奈落の底に落ちていくよう

ただ漂っていたい

すき

あたたかい毛布に包まれて
あなたに包まれて

わたしはその寝顔を
まつ毛を見ている

外がどんなに寒くても
ここは暖かい

ゆるゆると流れる時間に漂っていたい

ぴたっとくっつくだけで
不思議に満たされて
だいじょうぶ　って思える

わたしは
昨日よりも
あなたが好き

無題

ほとんどのことは
どうにもならないことで

いつもだったら
テレビの中や
他人事
ぼんやりと見ていた

無駄だとわかっていても
そのドアを叩き続けるだろう
永遠に開かないと知っていても

その手が腫れて
爪がはがれて
それでもきっとやめないだろう

今はただ、諦めたくない
まだ抗っていたい
泣いていたい