菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

淡々と、大胆に。  『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』

2011年12月10日 00時00分04秒 | 映画(公開映画)
で、ロードショーでは、どうでしょう? 第258回。



「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」







『タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』





つに、スティーブン・スピルバーグ御大の手によるアニメ。
製作や総指揮では、『アメリカ物語』や『リトルフットの大冒険/謎の恐竜大陸』や『モンスターハウス』などを作っていますがね。
あと、実写とアニメの融合させた『ロジャーラビット』も。
でも、それは、ロバート・ゼメキスとの共同作業だからとも言える。
そのロバートゼメキスが、推し進めたモーション・キャプチャーによるアニメを取り入れた作品を作ったのは、その因果かも。
ロバート・ぜメキス自身は、あまり商業的な成功を収めきれず、技術の発展にはかなり貢献したのだけど。
しかし、そちらではなくジェームズ・キャメロンやピーター・ジャクソンの方へ行ったのは正しい選択なのかも。
なぜなら、それは、不気味の壁を感じているからではないか?

なにしろ、題材はあの世界的な名作『タンタン』シリーズであり、そのタッチこそが魅力の一つであり、それをそのアニメ化する試みは、すでにいくつもなされてきたから。
そこにスピルバーグが取り組むはずはなく、実写と見紛うアニメ化を挑んだ。
それは、マsナイゴラムやアバターの手法であったのだろう。


で、では、なぜ実写にしなかったのかというのは、タッチとは絵柄だけでなく、その物語のトーンを映像に取り込みたかったからだろう。
それは、まさに漫画的な世界をそのまま描き出そうとしたからではなかろうか。
ある世界をまるごとスクリーンに再現することは、映画作家のもっとも望んでいることの一つだから。




で、スピルバーグっぽさの薄さを指摘する向きもあるようだが、これはニッケルオデオンが製作している通り、これはファミリー向けの冒険活劇であり、のんきさや間抜けなドタバタを飽きやすい子供を引きつけ続ける形になっている。

だが、スピルバーグの特徴である見上げる視点は、相棒のスノーウィによってなされている。
犬の目線で見上げる世界を見せてくれる。
しかも、ちゅ版おスペクタクルアクションには、隼をおうという飛ぶものと地を這うものの追跡劇であり、それを1カットで見せるというアニメならではのシーンをつくりあげた。


同じ海賊映画のクrくりで言えば、ゴア・ヴァービンスキーとの比較は面白いかもしれない。
彼は実査hで海賊映画を撮り、『ランゴ』でジョニーデップらとモーション・キャプチャー・アニメに挑んだ。
その際に、カメラワークはレンズと速度と移動を実際では出来ないこととして、コンピューター上で使用した。

スピルバーグは、ほぼ移動とカメラの大きさ、物理的なカメラの存在を消し去るということにこだわって使用している。
もちろん、『ランゴ』は小さな動物の世界の話だが、カメラの大きさは特に問題にはならない撮り方をしている。
壁際や隙間、鏡やガラスを抜けるカメラ、犬の視点になるカメラなどに加え、空中を飛び続けるカメラなどでにそれが現れる。
ところが、カメラの物理的な存在そのものは消えているのに、カメラを強く意識させる。
1カットで撮り続けることが、逆にカメラがあることを意識させるのだ。
大変そうに思わせるのだ。
『ランゴ』は逆でカメラの存在がなくなってしまう。
ここにすいるバーグ映画の秘密のあるのだろう。
カメラの存在を意識させてしまうことで、徐々に忘れさせ、カメラの存在そのものが映画になる。
『プライベート・ライアン』での使用法が、まさにそれだった。



そして、3Dは、なめらかに世界を広げ、キャラクターの造形描写に新たな次元を持ち込んでいる。




たしかに、長らく愛されているキャラクターに乗っかりすぎて、薄くなってしまった部分も否定できない。
とはいえ、劇場で、わぁわぁ言いながら見るのに最適の一本になっている。

まさにスピルバーグからのクリスマスの贈り物。
遊園地の気分でどうぞ。



















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