菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

魔女はどっち?  『ウィッチ』

2017年07月31日 00時00分09秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1131回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

 

『ウィッチ』

 

 

 

 

 

低予算のインディーズ作品ながら、サンダンス映画祭監督賞受賞をはじめ各地の映画祭で評判を呼んだミステリアス・ダーク・ストーリー。

 

17世紀の実際の日記や伝承、昔話を元に描き出した闇の魔女話。

共同体を離れ、荒れ果てた原野で自給自足の生活を始めた敬虔な一家が、次々と不可解な現象に見舞われ、次第に崩壊していくさまを、不気味さを静かに漂わせる抑制の利いた巧みな恐怖演出で描き出していく。

 

主演は、本作の演技で一躍ハリウッド期待の新星として注目を集める存在となったアニヤ・テイラー=ジョイ。

 

監督(脚本も)は、長編デビューとなる本作で高い評価を受けた新鋭ロバート・エガース。元々は映画などのアート・ディレクターだったので、今作でもそれは発揮されています。

 

 

 

 

物語。

1630年、アメリカのニューイングランド。

信仰に篤いウィリアムは妻キャサリンと5人の子どもたちと入植地での生活を始めたばかりだったが、教会を批判し、住民と衝突し、共同体と村を追われる。

そのため一家は、森の近くの荒れ地に居を構え、厳しい自給自足生活を余儀なくされる。

ある日、長女トマシンが子守りをしていた末っ子の赤子サム(サミュエル)が忽然と消えてしまう。

その後も一家には説明のつかない不幸が次々と降りかかりはじめる。

 

 

 

出演。

アニヤ・テイラー=ジョイが、長女のトマシン。

不穏で不安な美しさが際立っています。日本では、成長後の『スプリット』(20歳頃に撮影。今作は17歳頃撮影)が先になったので感じが違いますね。すでに、数本の主演作が決まっていて、その内の一本は『XーMEN』シリーズでメジャー大作。

 

ラルフ・アイネソンが、父のウィリアム。

ケイト・ディッキーが、母のケイト。

ハーヴィー・スクリムショウが、弟のケイレブ。

エリー・グレインジャーが、妹で双子のマーシー。
ルーカス・ドーソンが、弟で双子のジョナス。

 

 

 

 

 

スタッフ。

製作は、ジェイ・ヴァン・ホイ、ラース・クヌードセン、ジョディ・レドモンド、ダニエル・ベーカーマン、ホドリゴ・テイシェイラ。
製作総指揮は、ロウレンソ・サンターナ、ソフィー・マス、マイケル・サックラー、ジュリア・ゴジンスカヤ、クリス・コロンバス、エレノア・コロンバス、アレックス・サガルチック、アレクサンドラ・ジョーンズ、ジョナサン・ブロンフマン、トーマス・ベンスキー、ルーカス・オチョア。

 


撮影は、ジェアリン・ブラシュケ。

ほぼ当時の照明だけで撮影してます。


プロダクションデザインは、クレイグ・レイスロップ。
衣装デザインは、リンダ・ミューア。


編集は、ルイーズ・フォード。

 

音楽は、マーク・コーヴェン。

独特の不穏な響きが時代を超えていて、よいです。 

一部で、アプリヘンション・エンジンという恐ろしい音を出す為に造られた魔楽器で演奏しているそうです。 

 

 

 

 

 

17世紀アメリカで森近くに暮らす家族が魔的な現象に惑う魔女民話ホラー。
時代劇でムード系オカルトを成立させた美術監督出身のロバート・エガースならではの圧倒的画力。
何をおいても、アニヤ・テイラー=ジョイの顔力。
映画の構成もドラマによらず、時代がからせた徹底。
音楽の不穏さが木々の間を走る冷たい風のよう。
ウィッチに魅入られたのはどっち?と推測しながら見るのオススメ。
絵画的な昼間さえ暗い画面は映画館こそな離作。

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ。
英語題は、『THE WITCH』、『THE VVITCH: A NEW-ENGLAND FOLKTALE』。

昔のWはVVを二つ続けて書いたそうです。

『魔女』、『魔女 ニュー・イングランドの民話』になります。

2015年の映画です。

 

 

 

 


上映時間は、93分。
製作国は、アメリカ。
映倫は、G。

 

 

 

受賞歴。

2016年のインディペンデント・スピリット賞にて、新人作品賞、新人脚本賞(ロバート・エガース)を受賞。

2016年のブラム・ストーカー・アワードにて、最優秀脚本賞をロバート・エガースが受賞。

2016年のブラッドガッツUKホラー・アワードにて、作品賞を、最優秀主演女優賞をアニヤ・テイラー=ジョイが受賞。

2016年のラス・ベガス映画批評家協会賞にて、衣裳賞(リンダ・ミューア)、最優秀ホラー/SF作品賞を、受賞。

 

 

 

 

 

キャッチコピーは、「貴方はまだ、本当に恐ろしい “魔女映画(ウィッチ)”を知らない…。」

これは、本当に気が利いてません。

まさか、「魔女、ふたたび」の『メアリと魔女の花』にぶつけたわけではないですよね?

なら、どうせだったら、「魔女、初めて」にしてもいいぐらいだ。

この映画は見方が難しいところもあるので、少し誘導してあげてもよかったと思う。

「誰が、悪魔と契約したのか?」とか「魔女に魅入られたのは誰だ?」など、父か母の視線に立たせたり。

「その森には魔女がいる」とか「魔女はお前を求めている」など、映画の内容的に魔女の気配を感じさたり。

手はいろいろあったと思うよ。

『ブレア・ウィッチ』シリーズ、『ロード・オブ・セイラム』でけっこう怖いとされる魔女映画があるけど、「よーし、それと比べて観るか」にはならんと思うのよ。

『デビルクエスト』は怖くないけどね。

 

 

 

 

アニヤ・テイラー=ジョイは『スプリット』の次の『Thoroughbred』(2017)というアントン・イェルチンとの共演作があるのですが、日本公開は未定。

2019年公開までの4作が準備中です。

ホラー作品ですでに目覚ましい成果(『ウィッチ』、『スプリット』、『モーガン』)を残しているため、すでに、新世代のホラー・クイーンと言われています。

 

 

ロバート・エガースの次回作はまだ発表されていません。

 

 

 

 

 

 

ややネタバレ。

低予算映画で、製作費はだいたい3億5千万円ぐらいのようです。

あちらの定番の商業低予算ホラーの平均が5億円なので、少し低いぐらいです。

で、興行成績は約40億円ほどで、10倍の稼ぎを叩き出してます。

 

 

何が凄まじいって、時代劇なので英語も当時の言葉を使ってます。

古英語、つまり、コエーゴ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

『哭声/コクソン』を連想しました。

 

最初の教会のシーンで、映画の全体が予見されている、アメリカン映画文法をきっちりとやっています。

みながは先に去り、トマシンが残る。

あそこで、トマシンは、教会に残りたいわけではなく、父や家族、女性を抑圧する考えに抗議しているともとれる。

それは、家族だけになったとき、父だけになったとき、ケイレブと二人きりになった時に現れてくる。

 

 

 

魔女映画には、どうやら、簡単に魔女は出てこないよーというルールがあるのかもしれない。

『ブレア・ウィッチ』シリーズ、『ロード・オブ・セイラム』、『ジョージ・A・ロメロ/悪魔の儀式』も魔女の姿はほとんど出てこないもの。(魔女っぽいのが出てくるけど、魔女扱いされないとかはある)

そう考えたら、悪魔教の儀式もののいくつかもなかなか出てこないのあるけど、そういうものなのかもしれない。

『キル・リスト』とか『インシディアス』シリーズとかも、なかなか姿見せないものね。

デウス・エクス・マキナ的な扱いなのかもしれない魔女って。

童話でバンバン出てくるから、勘違いしてたけど、あれはほとんどヨーロッパの話だものね。

『マレフィセント』とかも結構姿消して、別の話とかが進むのはその流れを汲んでるのか?

ここに、大きな文化的隔たりがあったのかも。

『エクソシスト』はそういう意味で姿は見せないけどを少女(魔女)にとり憑いて出てきたというルール破りの怖さがあったのかも。

現代魔女の『キャリー』もそう意味では、最後の最後に爆発してたのは、ジャンルを踏襲していたからかもしれない。

『HAXAN~魔女~』なんてのもがっつり魔女を見せるタイプじゃなかったしね。(これはヨーロッパの作品だけど)

日本の実話系怪談の気味が悪い話の最後に幽霊登場もそういうところがあるので、アメリカでは、魔女ってそういう存在なのかもしれない。

 

あと、狼が魔女の使い魔としては話に出てくるけど、姿は見せない。

逆に、現実には、狼が出てくることが魔女を表現してたのかもしれない。

自然現象だけでなく、宗教的な恐怖として、狼を怪物化してその奥に魔女を配置することで獣ではなく同じ人間格に上げたというか。(キリスト教的には、獣に人間が負けるわけにはいかないというのがあったはず)

『赤ずきんちゃん』で、狼が噛まずに飲み込んだのも、魔女の儀式のための確保としての行動だったりして。

(狼は群れで食べるので、巣に獲物を持ち帰るからその場で食べないこともあったからだとは思うけど)

日本だと妖怪や神様の場所だった森を、魔女の場所にしたんだろうね。

森ホラーって、アメリカに多いし。(最近だと、ガス・ヴァン・サントの『追憶の森』も森ホラーだし、『アンチ・クライスト』、『呪縛 -THE JUBAKU-』、『キャビン』、『死霊のはらわた』、『ヴィレッジ』・・・と枚挙に暇がないほどだ)

低予算で取れるからと言われていたけど、これが、日本だとジャンルというほどには多くない。

森対人の『もののけ姫』とかもしかするとアメリカ人には怖いのかも。

魔女映画=森ホラーなのかもしれない。

森自体を怪物に見えているという目で見るといいのかも。

でも、森のそばで暮らさなければならないこと、暮らさせられていることが 恐ろしい。

 

 

 

魔女と契約したのがどっちかは、トマシンか、双子のマーシーとジョナスか、ですね。

妹のマーシーだけでなく、ジョナスも。

トマシンにも名前に魔が入ってるし。

双子は魔ーシーと女ナスで魔女になるしね。ええ、冗談です。

 

 

 

 

 

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