【俺は好きなんだよ】第689回は、『ギャンブラー ニコラス・ウィンディング・レフンの苦悩』(2006)
原題は、『GAMBLER』のみ。
上映時間:79分
製作国:デンマーク
スタッフ。
監督:フィー・アムボ
出演。
ニコラス・ウィンディング・レフン
リヴ・コーフィックセン
物語。
デビュー作『プッシャー』が批評的にも興行的に成果を収めたが、2作目の『ブリーダー』、3作目で英語作品『Fear X』に挑戦するも批評的には受け入れられるものの、興行は大失敗。
それにより、巨額の負債を抱え、ニコラス・ウィンディング・レフンと彼のプロデューサーは日本円にして1億円をはるかに超える1500万デンマーククローネもの負債を作り、彼らの会社は倒産。
新しく事務所を起こすものの、次の映画のための企画を立てる費用さえままならぬ状態に。
そこで思いついた逆転の企画は『プッシャー』の続編。
しかも、『2』、『3』を同時に作るというアイディアを出す。
それなら出資するという申し出があり、企画が成立するが、さまざまな契約のしがらみで、『2』を動かすのが精一杯の資金しか得られない。
『3』も作らねば、契約は成立しないというのに・・・。
悪いことは続き、新たなトラブルが彼らに襲いかかる・・・。
後に『ドライヴ』が世界的に評価されるデンマークの鬼才ニコラス・ウィンディング・レフン。
だが、ある時期は銀行口座の残高がゼロになるほど経済的に佳境にあり、その時の映画製作の状況を描くドキュメンタリー。
彼がどう復活したかを記録したという、監督のファンには見逃せない貴重な記録で、当時の監督の苦悩を、公私にわたって追い続けている。
監督のパートナーで(子供もいる)『ブリーダー』にも出演している女優リヴ・コーフィックセンも登場する。
『プッシャー』は、麻薬密売人の金と環境に追い詰められていくサスペンスだったが、これは映画監督が経済的、創作的に追い詰められていく様を描くサスペンスになっていて、ひとつのドラマとして、実に面白い物語になっている。
つまり、この状況がそのまま『プッシャー』トリロジーの『2』と『3』に反映されており、イギリスリメイクの『プッシャー』(2012)、イメージだけのボリウッド版『プッシャー』と合わせて、6作の『プッシャー』サーガとも言うべき作品群となっていると言える。
現在から見ると、すでに、『ブロンソン』と『ドライヴ』、『オンリー・ゴッド』、2015年公開予定の『I Walk with the Dead』で世界的かつ興行的にも成功しているので、過去の苦労話としてある種の安心感という伝記のように見れはする。
だとしても、借金を抱えての生活、創作への苦悩、成功しなければいけないプレッシャー、続編への期待と自分への挑戦、現場でのトラブル、マスコミ対応、出資者とのせめぎ合い、いつこの状態になってもおかしくない上、世界中にこうした戦いが続いているわけで、身につまされる。
しかも、このドキュメンタリーでは語られないが、そもそもレフンは失読症、色覚障害でもあり、有名な映画学校も出ていないので、かなり苦労をしてきた様子。
加えて、ネットの情報だが、下戸で、免許の試験に8回落ち、高校では、教室の壁に机を投げつけたことで放校処分になったりしているそうだ。
そんな映画が救いだった感じは、ドキュメンタリーの仲の事務所に飾られたスーパーヒーローやホラーモンスターのフィギュアやポスターの数からも伝わってくる。
そして、まだオイラは見れていないが、『ブリーダー』で描いている主要キャラの、かなり困った映画狂のビデオ店員(マッツ・ミケルセンが演じている)からもうかがいしれる。
(ちなみに、タランティーノも、高校中退でビデオ店員で俳優志望だったが、なかなか芽が出ない苦労人。そこで脚本を書き、自分で監督し始めた。だが、最初の監督作は完成せず。もう一本はyoutubeなどにあるが、あまり出て機とは言えないもの。お気に入りの脚本『トゥルー・ロマンス』を渋々売り、資金を作り、『レザボア・ドッグス』を製作した)
とにかく、苦労してきた男が一夜にして成功したが、一転して苦境に落ちたが、そこからなんとか抜け出そうとする様が、心に迫る。
できれば『プッシャー2』と『プッシャー3』を見てからと言いたいところだが、『プッシャー』のDVDの特典に入っているので・・・。
ただ、『プッシャー』後に見ても面白さは変わらないし、これを見たことで、『プッシャー2』と『プッシャー3』を見たくなること請け合い。
『ロスト・イン・ラ・マンチャ』、『ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録』、『ホドロフスキーのDUNE』、『デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー』、『マルサの女をマルサする』に並ぶ、映画制作裏話ドキュメンタリーの一本。
原題は、『GAMBLER』のみ。
上映時間:79分
製作国:デンマーク
スタッフ。
監督:フィー・アムボ
出演。
ニコラス・ウィンディング・レフン
リヴ・コーフィックセン
物語。
デビュー作『プッシャー』が批評的にも興行的に成果を収めたが、2作目の『ブリーダー』、3作目で英語作品『Fear X』に挑戦するも批評的には受け入れられるものの、興行は大失敗。
それにより、巨額の負債を抱え、ニコラス・ウィンディング・レフンと彼のプロデューサーは日本円にして1億円をはるかに超える1500万デンマーククローネもの負債を作り、彼らの会社は倒産。
新しく事務所を起こすものの、次の映画のための企画を立てる費用さえままならぬ状態に。
そこで思いついた逆転の企画は『プッシャー』の続編。
しかも、『2』、『3』を同時に作るというアイディアを出す。
それなら出資するという申し出があり、企画が成立するが、さまざまな契約のしがらみで、『2』を動かすのが精一杯の資金しか得られない。
『3』も作らねば、契約は成立しないというのに・・・。
悪いことは続き、新たなトラブルが彼らに襲いかかる・・・。
後に『ドライヴ』が世界的に評価されるデンマークの鬼才ニコラス・ウィンディング・レフン。
だが、ある時期は銀行口座の残高がゼロになるほど経済的に佳境にあり、その時の映画製作の状況を描くドキュメンタリー。
彼がどう復活したかを記録したという、監督のファンには見逃せない貴重な記録で、当時の監督の苦悩を、公私にわたって追い続けている。
監督のパートナーで(子供もいる)『ブリーダー』にも出演している女優リヴ・コーフィックセンも登場する。
『プッシャー』は、麻薬密売人の金と環境に追い詰められていくサスペンスだったが、これは映画監督が経済的、創作的に追い詰められていく様を描くサスペンスになっていて、ひとつのドラマとして、実に面白い物語になっている。
つまり、この状況がそのまま『プッシャー』トリロジーの『2』と『3』に反映されており、イギリスリメイクの『プッシャー』(2012)、イメージだけのボリウッド版『プッシャー』と合わせて、6作の『プッシャー』サーガとも言うべき作品群となっていると言える。
現在から見ると、すでに、『ブロンソン』と『ドライヴ』、『オンリー・ゴッド』、2015年公開予定の『I Walk with the Dead』で世界的かつ興行的にも成功しているので、過去の苦労話としてある種の安心感という伝記のように見れはする。
だとしても、借金を抱えての生活、創作への苦悩、成功しなければいけないプレッシャー、続編への期待と自分への挑戦、現場でのトラブル、マスコミ対応、出資者とのせめぎ合い、いつこの状態になってもおかしくない上、世界中にこうした戦いが続いているわけで、身につまされる。
しかも、このドキュメンタリーでは語られないが、そもそもレフンは失読症、色覚障害でもあり、有名な映画学校も出ていないので、かなり苦労をしてきた様子。
加えて、ネットの情報だが、下戸で、免許の試験に8回落ち、高校では、教室の壁に机を投げつけたことで放校処分になったりしているそうだ。
そんな映画が救いだった感じは、ドキュメンタリーの仲の事務所に飾られたスーパーヒーローやホラーモンスターのフィギュアやポスターの数からも伝わってくる。
そして、まだオイラは見れていないが、『ブリーダー』で描いている主要キャラの、かなり困った映画狂のビデオ店員(マッツ・ミケルセンが演じている)からもうかがいしれる。
(ちなみに、タランティーノも、高校中退でビデオ店員で俳優志望だったが、なかなか芽が出ない苦労人。そこで脚本を書き、自分で監督し始めた。だが、最初の監督作は完成せず。もう一本はyoutubeなどにあるが、あまり出て機とは言えないもの。お気に入りの脚本『トゥルー・ロマンス』を渋々売り、資金を作り、『レザボア・ドッグス』を製作した)
とにかく、苦労してきた男が一夜にして成功したが、一転して苦境に落ちたが、そこからなんとか抜け出そうとする様が、心に迫る。
できれば『プッシャー2』と『プッシャー3』を見てからと言いたいところだが、『プッシャー』のDVDの特典に入っているので・・・。
ただ、『プッシャー』後に見ても面白さは変わらないし、これを見たことで、『プッシャー2』と『プッシャー3』を見たくなること請け合い。
『ロスト・イン・ラ・マンチャ』、『ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録』、『ホドロフスキーのDUNE』、『デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー』、『マルサの女をマルサする』に並ぶ、映画制作裏話ドキュメンタリーの一本。