こんにちは。
名作『ブレイブハート』を観ながらタイピングです。
自分の部屋に居る時にBGM代わりに曲を流している方は多いと思うのですが、私は曲の代わりに映画(DVD)を付けっ放し?(流しっぱなし?)にしていることがよくあります。
普通にホラーでも付けっぱなしにしていることがあるので、何か作業をしている時は気になって仕方がありません。
BGM代わりにすることで、あまりに何度も観ることになってしまい細部まで記憶していることが多く、名場面になると無意味な熱さと魂をこめて役者と一緒に名台詞を言い切っています。
ここ最近では、
『ぶ~れ~い~ん』(笑)
とか言っていたような気がします。
皆さんは作品の名前が何かおわかりになるでしょうか???
さて、このブログをビジネス用に転用して依頼、何故か多い検索キーワードが『執行役員』です。
そこで、一体『執行役員』に存在するどのような要素がそれほど多くの人を検索に向かわせているのかなと考えを巡らしてみました。
考えた結果、恐らく…
①『執行役員』と『役員』の違い
②『執行役員』と『執行役』の違い
③役員就任時と同様に、一般の従業員が執行役員に就任する際の退職金の打切り支給は?
この辺ではないでしょうか?
結論から言うと、
①について
■『執行役員』は会社と雇用契約を結んでいる従業員(使用人)の最高位。法律に存在の明示なし。しかし、従業員は「役員」と呼んだりするのでややこしくなったりします。
■『役員』は会社と委任契約・準委任契約を結んでいる経営幹部。会社法329条に明示あり。取締役、会計参与、監査役。
②について
■『執行役員』は取締役の職責を意思決定と業務執行に分離し、業務執行の方を担当するも法的に根拠のない制度。
■『執行役』は会社法第2条に存在が明示される委員会設置会社(取締役会の中に置かれ、取締役会に意思決定を任せた上で、自身は業務執行を執り行うための機関)に存在する機関で、実際に業務の執行を執り行う。(同時に取締役は、意思決定はできるが業務執行ができなくなる。)
執行役は役員なので会社とは委任関係にあります。なお、取締役との兼任が可能なので意思決定と業務執行を分離できていないことがあり、単にコーポレートガバナンス(企業統治)の透明性・適法性を外資へアピールするための目的に使われていたりして効果は疑問視されています。
③について
打切り支給は不可能ではありません。
執行役員は契約上、役員の様に委任契約を締結しておらず、一般従業員の時からの雇用契約が継続しているので退職の事実がなく、そのままでは打切り支給が不可能なのですが、現時点の使用人としての雇用契約を一旦終了して、再度、執行役員として雇用契約等を締結する場合には一般の使用人時代の退職金を支払うことが可能で、退職給与として損金算入されます。
現時点の使用人としての雇用契約を終了させずに執行役員として雇用契約を継続した場合(つまり執行役員に任命されただけであれば)は、退職した事実がないので、支払った退職金は賞与として損金算入されます。
※賞与と退職金は税率が違うので注意です。
その昔、執行役員に関する制度を作った時に、『業務執行』という職務が、少数の取締役による意思決定の迅速化と責任範囲の軽減を目的として取締役から切り取られたものであるという本来の目的に立ち返り(笑)、執行役員が担うべき重責を前提としてその適格条件を取締役の欠格事由(『法人』、『成年被後見人・被保佐人』、『会社の秩序に関する罪で罰せられ、その執行から2年を経過しない者』、『会社の秩序に関すること以外の罪で罰せられ、その執行が終了していない者』)から準用していたのですが、それはそれ、世間では何てことはない長い社歴による功労者や融資先からの天下り組みの名誉職、単なる社長の手駒みたいな色合いが強いという日系企業が大半のような気がします。
責任範囲の軽減という面を逆手から考えると、名誉職扱いではなく『トカゲの尻尾切り』に使えとるも言えます。
『意思決定』と『業務執行』を切り離すという点では、『執行役員』と委員会設置会社の『執行役』は似ている様に感じますが、委員会設置会社(株主総会、取締役、執行役、三委員会(指名委員会、報酬委員会、監査委員会)、会計監査人で構成される)は、三委員会の過半数が社外取締役で構成され、代表権も取締役ではなく執行役に在ります。
また、社外取締役で構成される三委員会の内、
『指名委員会』は、株主総会に提出する取締役、会計参与の選任・解任を決定
『報酬委員会』は、執行役、会計参与、取締役の報酬の決定
『監査委員会』は、執行役、会計参与、取締役の職務の監査・報告書作成
を行うことになります。
つまり、委員会設置会社とは、取締役(取締役会)が意思決定および執行役等の監督を行い、執行役が意思決定を受けて業務執行を行い、過半数が外部の人間で構成される三委員会が外部ゆえの的確性を持って執行役や取締役の人事や報酬の決定や監査を行うという三角形の形になります。
米国企業を参考にしたこの委員会設置会社の制度は、詳細を視ていけば全然ちがうのですが、ニュアンスがなにやら立法(取締役)、行政(執行役)、司法(三委員会)という三権分立に似てなくもいません。
最も、前述のとおり取締役と執行役は兼任可能で、実際に兼任されていることが多く、執行役を監督するという機能が正確に働いているかとなると、疑問が残ってしまうワケです。
このように、『執行役員』と委員会設置会社を背景とする『執行役』は構造的に似て非なるものとなっています。
肩書きに期待される職務を全うするというのはとてつもなく難しいことで、どのような体制を用いても必ずと言っていいほどデメリットなるところや機能不全が生じることになります。
しかもその機能不全が、要職に在り、執拗に内部統制やコンプライアンスを唱える本人の職責の理解不足に起因したりします。
内部統制は、金融商品取引法(J-SOX)により、
①統制環境
②リスクの評価と対応
③統制活動
④情報と伝達
⑤監視活動
⑥ITへの対応
という⑥つを構成要素としており、企業のどこをどうするというよりは、事実上、法定の経営体制とでもいうべきものです。
つまり、例えば①に関しては、「~に関してはすぐに報告しろ。」と言って終わりではなく、報告に関する評価尺度を取り決め、的確・詳細で迅速な報連相には実際に具体的な賃金アップに繋がる仕組みを作り上げたりするというレベルまで必要になります。
「大企業での話でしょう」なんて思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
法は時代を反映するので、この内部統制の考え方が現在における全ての企業に対し求められる理想像なのです。
しかしながら、そういう考えは上層の要職の人々の間であっても、なんとなくの理解という段階から具体的な実行という段階には容易に移行しません。
こうなると、経営の効率化を意図しながらも名誉職の色合いが強い形で落ち着いてしまった執行役員という制度は既に斜陽なのかもしれません。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『法務屋経営大学院』
Intelligent beauty(知的美人)のための法と組織のビジネスマネジメントBlog!
管理人:法務屋(mailto:legal-affairs-shop@hotmail.co.jp)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
最新の画像[もっと見る]
-
2009年遠方初詣。 16年前
-
2009年遠方初詣。 16年前
-
2009年遠方初詣。 16年前
-
2009年遠方初詣。 16年前
-
宇治周囲物語。 17年前
-
宇治周囲物語。 17年前
-
宇治周囲物語。 17年前
-
宇治周囲物語。 17年前
-
労働契約法と就業規則。 17年前
-
労働契約法と就業規則。 17年前
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます