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がんよ さらば  ~ がん研究者のがん闘病記Ⅲ ~ 佐藤 徳光著

2012-05-04 22:06:17 | 


がんよ さらば  ~ がん研究者のがん闘病記Ⅲ ~
               佐藤 徳光著
連休中だけれど、少しお勉強をしようと読んだ本の著者のスタンスがわかりやすいので、続きの新しい本がとどいたので、今度はもう少しお勉強度合いを高めてよんでみた。

思った通り冷静な研究者の目を持つ方で、はじめにでその高い意志を示されている。

「自分に残された余命時間内で「何ができるだろう」との想いもつのり
・一つには、がん闘病記を残すこと、
・二つには、がんの本質を見つめ直すこと、
・三つ目には、がん医療の現況を患者のたちばから分析すること
・四つ目に、巷で遭遇する様々な民間療法に科学的視点から考察を加えること、
・五つ目に、がん撲滅へ向けて患者の立場から具体的な提言をおこなうこと
これら五点は実行すべきであると、私は強い使命感のようなものにかられた。

まずは強い意志で、活動を続けておられることに敬意を表し、存命を喜びたい。


ということで以下少し長くなります。私が書いたというよりか、読みながらメモをとったというか、抜書きになります。

で第1章から読み始めるも、さすが研究者、漏れがあってはいけないのか、丁寧な説明、ところが難しい言葉とメカニズムでこれは頭にはいらない、メカニズムがわかってもがんにはなるかと読むにはよんだけれど、ほんのうわべがわかった、いやわからない。
でわかるのはやはり4章の治療法からでした。
そちらに行く前に、今度の本には年譜が載っていました。私の作った年譜に以下が追加になります。(ラジオ波焼灼治療はREAと略されているようです。)
年譜 追加分
2010/3/1 ここまでに再発を繰り返し3~6ヶ月ごとにREAを追加、計7回となる。
2010/5/19 肝転移巣再発(3箇所)、REA(8回目)。
2010/5/19 腎門レベルの傍大動脈ピンパ節緩徐肥大。
2010/7/18 肝転移巣再発、傍大動脈から総肝動脈周囲ならびに左胃動脈周辺リンパ節が肥大傾向、肺にも転移(1箇所)ベバシズマブ注(3週に1度)+カペシタビン(内服)、ベバシズマブを計10回適用、効果は少々。
2011/3/9 パニツブマブ注(2週に1回)開始。1週間後から痤そう(ニキビ)様皮膚疹多発(全身性、重傷)
2011/5/10 パニツブマブx4回後CT:効果SC。
2011/8/10 以後投薬を中止、様子をみて緩和ケアへ移行予定。

さて4章は基本3大療法である外科手術、放射線治療、化学療法についての著者の見解です。(著者自身は後述のREAと化学療法を受けている。)
要約をきちんとすればよいのでしょうが、難しいところもあるので、抜き書きになります。

外科療法
素人目にも、限定したがんを完全に摘出できれば、これはやはり最も確実ながんの治療法であるいと、私もそう実感します。
問題なのは、肉眼で見えない小さながんの取り残しから再発する症例が多いこと、リンパ節や他の臓器へ遠隔転移した症例では外科手術による対応はもはや技術的に困難なこと、あるいは外科手術そのものによる肉体的負担は小さくはなく、などです。 
外科分野におけるがんの手術成績は是非公表していただきたい。
放射線治療
放射線療法を受けていないので最近までの放射線療法の発展にたいして、
現在のところ、私は具体的な治療成績の情報を目にしていませんが、肝心の保険適用はまだのようで、話によれば治療には3百万もかかるそうです。私の経済料では到底適いませんが、治療効果のほどは如何ばかりか気になっています。
又我が国の放射線治療施設は約600施設のものぼるそうですが、放射線治療専門医は400人に満たず、治療放射線技師および医学物理士・線量計算士など、北米の水準に達しているのは数施設にとどまるといわれています。
今後、がんの三大療法の一つとして、外科療法や化学療法との有効な連携治療が望まれるところです。
化学療法
過去の一般臨床治験データを基に抗がん剤の効果を判定すれば、およそ次のような結果に要約できるかと思います。

末期の大腸がんにたいする抗がん剤の効果
1 抗がん剤を使わないと→(余命およそ半年)
2 5-FU系列の第一世代薬を使うと→(余命およそ1年)
3 上にイリノテカン、オキサリプラチンなどの第二世代薬を上乗せ→(余命計約1.5年)
4 右に最新のキメラ抗体などの第三世代薬を追加→(余命計およそ1.8年)

これをどのように評価するかは人によってかなり違うと思いますが、私は正直いってこの程度ではがんの克服にはほど遠く、副作用とバランスに見合うものとは感じられませんでした。
総じて医学者の薬効評価は低すぎます。

第6章 その他のがん療法
1ラジオ波焼灼術
平一八年、東大病院における原発性肝がんの治療例はすでに4千に近づいており、この四年間に計8回の焼灼術を施してもらい、肝臓内に点在する径1~2センチメートルの転移がん六箇をほぼ焼き尽くせたかに思えるのです。しかしCT画像上では1~2カ所に再発像がなお疑われる様であり余談は許されませんが、東大病院消化器内科におけるラジオ焼灼術の成績は、五年生存率で見る限りほぼ外科手術のそれに匹敵すると実感しました。(身体への負担は軽いとおもわれる)
2免疫療法
がんに対する免疫療法ですが、これについてはことさら厳密な検証を加えなければならないと思っています。なぜならば、近年「免疫」という言葉だけが世間を一人歩きし、「免疫を高めればがんは治る」などと教宣され、一般の人々が踊らされているきらいもあるからです。
がん免疫への発想は、がん細胞に非自己を暗示する何らかの抗原があるに違いないとの期待に立脚していますから、その実在性については厳密に査定しておかなければなりません。
一般にがん細胞だけに存在する、いわゆる「がん抗体」は皆無だと思います。殆どが量的な違いによるものです。「腫瘍関連抗原」という呼び方もそのへんからきています。
これまでの成績を見る限り、いずれの方法においても効果は必ずしも芳しくはあいません。
それは先に指摘したごとく自然発生がんの性質に起因しているのです。
免疫療法の先駆けをつとめた「ペニシリン処理-溶連菌」が動物実験で確かにがんの増殖をおさえたのに、臨床では効かないのはなぜか、それは移植がんと人に於ける自然発生がんの相違に気がついたのです。動物の移植癌では少なからず宿主との間に組織不適合が存在するが、ヒトの自然発生がんではがん細胞は自己であり、免疫細胞ががんを非自己と認識できない点が違う。
現在日本で広く行われている免疫療法の効果については、健康食品のセールストークのようなものであると言いきる人もおるくらいです。これは正しい認識だと私も思います。
免疫療法には1クール数百万円もする場合もあり、がん免疫療法を受けようとする方は、ぜひ、事前によく検討し種々の意見を参考にして最終決断するようにお薦めします。
3温熱療法
こちらは具体的な評価が不能、治療を行っている患者が血液検査やCT検査のデータを開示するよう断じます。
だいぶ長くなってしまいましたがこのあと食事療法(食べたいものを食べたい)や病院食などについて書いた後今後の課題に移ります。
これまでの著者の研究からの挫折と希望がかかれます。

私は過去に、マウスの移植癌を対象に細胞性免疫を研究しましたが、常に移植癌細胞に対するT細胞の「自己/非自己」認識の壁にはばまれました。自己のがんを非自己認識できる「自己T細胞」を作成したかったのですが果たせませんでした。最近のヒト型抗体などの作成技法をヒントにもし将来、自己のがんを非自己認識できるヒト型T細胞の作成がなったと仮定すれば、そのときは劇的な効果が期待できるかもしれません。癌に対してはやはり細胞性免疫が本命だと思います。

このあとがん撲滅にむけての提言が、がん研究者、医学者、専門医、がん患者、統計学者、行政、マスコミになされます。

著者は化学療法につかれて、中止を希望しながら、主治医などとの相談で化学治療を続行しますが、緩和ケアも視野にいれ、とても冷静な判断をされています。

病院の帰り、74歳に近い著者が途中下車し恩師を訪ねます。
井上先生はもうすぐ米寿だというのに自ら車を運転されて迎えにきてくださった。
「最近、急に足がよわくなってね」
恩師は酒豪で会うがまだ衰えを知らぬといった感じで「焼酎のビール割り」をご馳走くださった。私にとっては初めての飲み方であったが口触りが良く味もなかなかであった。
翌朝、すっきりと目覚め悪酔いはなかった。
「佐藤君はがんであると言うが、さっぱりがん患者のように見えないね」と恩師はいう。
「そうなんですよ、今のところ体調も良く、時々、本当にかんですか?誤診じゃないですか?などとからかわれます」
「いや~、本当にそうだよな」と恩師は明るい表情になる。

どうぞ穏やかな日々が長く続きますように。

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