五高の歴史・落穂拾い

五高の六十年に亘る歴史のエピソードを集める。

熊本大学の習学寮

2008-12-09 | 五高の歴史
昭和25年五高は閉校になったが、五高は熊本師範、熊本工専、熊本薬専共々熊本医科大学を中心とした総合大学「熊本大学」へ鞍替えしたのであるが習学寮はこれまた工専の寄宿舎、師範の寄宿舎、共々同様に其の後も存在した。五高生の大半は熊本大学へ進学したが習学寮が閉寮になるまでの期間の記録を纏めた続々習学寮史というべき記録が、熊本大学習学寮史という名称でまとめられている、その中から当時の総代日誌等を転載し生みの苦しみと言おうか、熊本大学の成立当初を偲ぶことにした。 昭和二十三年二月当時の寮生日誌より「吾々は敗けた日本の現実の姿を凝視せねばならぬ。若き理性に強き情熱の意気にもえる学生のプライドを以って真剣に冷静に!吾々は理想への意気込みに燃え立っているが故に現実に対しては厳正である。世の中を正しく批判出来るのも吾々だ。軍閥に代わって私服を肥やさんとする徒党輩の堕落ぶり、国民を欺く代議士共、口に民主主義を唱えながら人民を苦しめる各界のダラ幹共、神聖たるべき教職を蔑にしている教育者達、アメリカのお先棒をかついで浮身をやつす売国奴共、加えて自覚の足らない町の伊達男に伊達女共、更に社会に超然としてどこ吹く風かとすました書生たち、純真たるべき子供らのすさみ汚れ行く様・・・之が日本の表面の一皮一皮脱いだ姿だ。全く滅亡の底へ踏み込んでいる。かくの如くして推移せんか。後は判っている。然し判ったような顔をして実際には判っていない。吾々はこのレプラ菌に妥協する事を否定するならばその中に飛び込んで自分の態度を積極的に前進させるのだ。・・・・(以下略)」 「よい下宿も親戚もないので差し当って寮に入って見た。先ず入寮式の時には上級生の咆哮するのを聞いていささか辟易の体という所であった。次に思うのは寮がやかましいのには今迄山の中で過ごしていた僕としては少々困ったが、これも寮と言う一社会に住む以上は詮方なき事と思うに至った。・・・」 「憧れの習学寮に入って二週間が過ぎたがこの間の生活の何と単調だった事か。十一日以来寮で飯を食うこと五十三回に及ぶが、自分の向上は此の回数に寧ろ逆否定している様に思われる。幻滅という程深刻なものではないが、初めの期待の大きさに比して幾分失望の感あることは否めない。・・・」 「実にくだらん。猛獣性の抜け切らぬ学校だ。二十世紀の今日、かかる野蛮な学校が未だに存在している事、それ自体が私にとっては実に大なる驚異である。かかる変てこな学校、奇妙なる存在がやがてなくなるという事も当然至極とうなずける。私は高校礼賛者に云わん。新しき時代は、かかる学校存在の必要を認めなくなったのである。と。」 「寮生活をする以上寮生活に同化する覚悟と自信がなくてはいけないと思う。我々の一人一人は寮生の一人一人であると共に又偽りのない自己でなければならないのであるから。どちらにしろ、寮生活が段々面白くなってきたことは事実である。入寮したてのはあんない呪わしかった寮生活、あんなに恥辱と虚偽に満ちていた寮生活が段々面白くなって来たのはどうした風の吹き廻しであろうか。」 「ストームとは何だ。気狂いめいた声をはり上げ真裸で廊下を踊り廻り他人の安眠を妨害する唯それだけの事ではないか。バンカラが何だ。他の一般人と異なる所を見せようとする虚栄心の現われにすぎないではないか。こんな考えが僕の胸にみちていた当時は何をすることも嫌だった。併し僕の如き小さな人間は到底自己の道を唯一人歩けるものではない。結局はその環境に訓化せずにはおれない。近頃では皆踊っているのをみるとつい飛び出したくなる。結局これも青春の血のさせる技だろう。理論的には説明し得ない力がそこにあるのだ。」以上は熊本大学習学寮史から転載したものであるが戦時中の日誌に比べて何でもいえるということか左翼的な言い回しで自分が一番偉いということが見え見えである。当時の日記帳は存在していない。
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