ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

コンパクトでも中身ぎっしり・鶴二の寝床~ 第496回・田辺寄席

2009-05-17 22:01:53 | 田辺寄席
なんと、二年前の田辺寄席で出逢った「馬の田楽」が、
鶴二さんとごまめの最初の出合いでおました。
記念すべき落語会に、今夜、鶴二さん登場、なんと「寝床」。

トリは、師匠仁鶴さんの得意ネタ「人形買い」を提げての
仁嬌さん・・・・ネタの選びにも、田辺寄席の良さがでてますな。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

80名の入り、雨が降ってきたのか、少なめ、
せっかくの鶴二さんの出番なのに、残念。

開口0番・・・・・・・「り」・・・・「竜宮界龍都」(リュウグウカイタツノミヤコ)

上方落語には、旅ネタがある。

東の旅は、発端、昭和の日演った、軽業から七度狐そして伊勢から
桑名船、矢橋船、宿屋町、瘤弁慶そして三十石。

西の旅は、明石名所から兵庫船。

北の旅は、お馴染みの、池田の猪買い。

南は、あまりされませんが、紀州飛脚。

あの世の旅は、地獄八景亡者戯れ。

天の旅は、月宮殿星の都。

異国の旅は、万国島巡り。

海の旅は、今日のテーマ、小倉船に続いての、竜宮界龍の都。

フレスコに入って、降りて奇天烈な様子を詳しく説明。
このまえ、雀松さんで、聴いたとこなので、よく解る。

まあ、昔の人にとって落語は、JTBの旅行ガイドの役目も
果たしていたんですなぁ。

地獄八景だけは、真実なのかどうかは、丹波哲郎あたりしか
分りませんな、丹波さんもう逝かれたのか。・・・・。


一、笑福亭鉄瓶・・・・・・・・・・・・・・・・・「ちりとてちん」

いまや、吉弥さんの代名詞になってしまったようなネタですが、
よろしおましたで、鉄瓶さんの「ちりとてちん」

とんとんと、ファーストフードのように、待たせる事もなく
スムーズに流れる。それでいて、パンチの効いた若者風の味付け。

ちりとてちん、ほんとは、どんな味、
案外発酵して、チーズ風で美味しかったりして。

今年の一月、ある処で食べて美味しかった、「豆腐の味噌漬け」。
珍味で、酒のあてにピッタリ。
有りそうな百貨店、食品店など探しているが、未だ見つからず。

誰か、入手方法、教えてくださいな。


二、笑福亭右喬・・・・・・・・・・・・・・・・・「米揚げ笊」

大きな拍手頂きましたが、そんな期待されても、
落語終わると、きっとガッカリされますよ、と。

シャレなのか、真実なのか笑えぬ一言でスタート。

噺は、米揚げ笊、笑える。
それも、丼池の甚兵衛さんの声に、笑える。
きばった、ダミ声に、そんなつぶした声で喋らんでも・・・ええのに。

笊屋に出かけるまで、甚兵衛さんの頭の上から押さえつけた声に、
肩の凝ること、甚だしい。・・・でも・・可笑しかったですが。

声のトーンを上げる、下げるは、
この噺では、やっぱり上げるのが正解ちがいまっか。

なんとも言えぬ別世界ヘ、進化していく
落語家、右喬さんでした。


三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「胴切り」

これも、竜宮界龍の都にひってきするぐらい。
奇天烈な噺、あの「さくらんぼ」と双璧ですな。

辻切りにおうた、胴と足が、逞しく生きていく。
NHKドキュメンタリーみたいな、話し。

私は、無口で健気な、兄に寄り添うてる、弟分のアンヨが好き。

文太さんの、こんな風な(実は難しいと思うが)噺を演じると
絶妙で、なんとも言えぬ軽さのある笑い、よろしおますな。

仲入り

四、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「寝床」

「すると、なにかい、長屋の方は誰一人とお越しにならんと
言うのかいな」と、頭の部分をすっくり飛ばして、
久七に、今日はお店の者に語って聞かせましょうと・・スタート。

通常、鶴二さんたっぷりやれば、30~35分はやれる「寝床」を
後半中心に、25分のコンパクト版。

各所、へし折る、ダイジェスト版より
後半手抜きなしの、じっくり型の方が好きですな。

サゲもお題目どおり、「寝床」のところまで演って、完璧。

表情も豊か、動きも大きく、枝雀師匠が乗り移ったような
パワー全開の、楽しい鶴二さんの「寝床」でおました。

鳴物なしでは、「高津の富」に続くお薦めでございます。


五、笑福亭仁嬌・・・・・・・・・・・・・・・・・「人形買い」

初孫の祝いとかで、チマキが出てきて、
五月に相応しい、そして珍しい噺。

長屋の二人が、人形を買いに行くのだが、
「延陽伯」のくだり、「土風、激しゅうして、小砂眼入す」とか
人形屋の品定めして回る、壷算のところなど、
普段聞き慣れた処が、あちらこちら出てくる。

それだけでも楽しい噺。
でも、中身は、講釈師と八卦見の先生に、
神功皇后と太閤秀吉、どちらの人形を買うたら良いのか相談。

講釈師、「くしゃみ講釈」に出てくる後藤一山みたい。
まあ、仁鶴師匠の正統派を受け継ぐ、仁嬌さん、
ほんと、珍しい、「人形買い」、ありがとうございました。

次は、私にとって、ルーツである、「池田の猪買い」。
仁鶴師匠を彷彿させる、仁嬌さんで是非聴いてみたいですな。




落語会、終わってからは、鶴二さんを囲んでファンの方々と打ち上げ。
気心しった人ばかりで、和気藹々と、美味しい料理、旨い酒
そして、良き落語で、楽しい、ほんと良き一日でおましたなぁ。

その時の写真、掲載致します。



第496回・田辺寄席
2009年5月16日(土)午後6:00開演
阿倍野青少年センター

一、笑福亭鉄瓶・・・・・・・・・・・・・・・・・「ちりとてちん」
二、笑福亭右喬・・・・・・・・・・・・・・・・・「米揚げ笊」
三、桂文太・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「胴切り」
仲入り
四、笑福亭鶴二・・・・・・・・・・・・・・・・・「寝床」
五、笑福亭仁嬌・・・・・・・・・・・・・・・・・「人形買い」

09-36-162
コメント
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