デンマーク原作小説の映画化。理不尽で過酷な旅を、深い瞳のベン少年が演じる社会派ドラマ。
2005年(公開) アメリカ ヒューマンドラマ
2006年2月20日 VTR(WOWOW)
監督 ポール・フェイグ
原作 アン・ホルム
出演 ベン・ティバー、ジム・カヴィーゼル(パッション)
第二次世界大戦直後のブルガリアは、自由のない国だった。政治的な理由で幼い頃から両親と引き離されて強制収容所で育ったデビッド少年は、自由を求めて脱出する。過酷な労働と看守の暴力から逃れ、人間として生きるためだった。彼はある男から「この手紙を持って自由の国デンマークへ行け」と指示を受ける。「誰も信じるな」との指示もあった。鞄にはわずかな食料と石鹸、ナイフとコンパスくらいしか入っていない。なんとかギリシャまでたどり着き、船に隠れ乗り込むがそこにも試練が待ち受けていた。
ブルガリアと言えば、私にはヨーグルトと安いピクルスの瓶詰めの印象しかない。当時共産圏の国の一つで農業国と言う事くらいは知っていても、こんな暗黒の歴史を抱えている国だったのか?デンマーク原作なので、デンマークが本当に自由の国かどうか別としても、政治犯の子どもが命の危険さえある強制収容所で送った生活は、まんざらフィクションではないだろう。
ベン君は可愛いというより、思慮深そうで悲しげな表情をしている。全編ほとんど笑う場面がない。しかも、笑うことを知らない彼が無理に口角を上げて笑おうとする場面さえある。この不自然な笑顔の上手い事!現代の子どもに、こんな理不尽な状況が分かるはずもないと思うのに、この演技力はどこからくるのだろうか?
ジム・カヴィーゼルは、この映画で演じた献身的なヨハンの役で注目され、「パッション」のイエス役を射止めたと言う。確かにまるでイエス・キリストが20世紀に降り立ったような役である。これも、強く優しく悲しげな表情が印象深い。
過酷な旅の割りに服や顔、髪が汚れて行かないのが不自然だが(肝心の手紙も水に濡れてインクがにじみ、読めなくなるという事もない)、そこにはあえてリアリティを追求しないことにしよう。
2005年(公開) アメリカ ヒューマンドラマ
2006年2月20日 VTR(WOWOW)
監督 ポール・フェイグ
原作 アン・ホルム
出演 ベン・ティバー、ジム・カヴィーゼル(パッション)
第二次世界大戦直後のブルガリアは、自由のない国だった。政治的な理由で幼い頃から両親と引き離されて強制収容所で育ったデビッド少年は、自由を求めて脱出する。過酷な労働と看守の暴力から逃れ、人間として生きるためだった。彼はある男から「この手紙を持って自由の国デンマークへ行け」と指示を受ける。「誰も信じるな」との指示もあった。鞄にはわずかな食料と石鹸、ナイフとコンパスくらいしか入っていない。なんとかギリシャまでたどり着き、船に隠れ乗り込むがそこにも試練が待ち受けていた。
ブルガリアと言えば、私にはヨーグルトと安いピクルスの瓶詰めの印象しかない。当時共産圏の国の一つで農業国と言う事くらいは知っていても、こんな暗黒の歴史を抱えている国だったのか?デンマーク原作なので、デンマークが本当に自由の国かどうか別としても、政治犯の子どもが命の危険さえある強制収容所で送った生活は、まんざらフィクションではないだろう。
ベン君は可愛いというより、思慮深そうで悲しげな表情をしている。全編ほとんど笑う場面がない。しかも、笑うことを知らない彼が無理に口角を上げて笑おうとする場面さえある。この不自然な笑顔の上手い事!現代の子どもに、こんな理不尽な状況が分かるはずもないと思うのに、この演技力はどこからくるのだろうか?
ジム・カヴィーゼルは、この映画で演じた献身的なヨハンの役で注目され、「パッション」のイエス役を射止めたと言う。確かにまるでイエス・キリストが20世紀に降り立ったような役である。これも、強く優しく悲しげな表情が印象深い。
過酷な旅の割りに服や顔、髪が汚れて行かないのが不自然だが(肝心の手紙も水に濡れてインクがにじみ、読めなくなるという事もない)、そこにはあえてリアリティを追求しないことにしよう。
収容所で親と分かれて育った笑いを知らない少年を、現代っこがよくここまで演じられたと感心しました。深い瞳は、セリフではあらわせない孤独の影があり、お見事!