太田美和子の取材日記

食品流通業のライターが、取材を通して、知ったこと・感じたことを中心に記した日記です。

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テスコ・ニュース:イギリス事業の利益が20年ぶりにダウン

2012年04月26日 | ニュースから
テスコの会計年度末は2月末日です。先日、2011年度の業績が発表されました。グループ全体でみると、売上高・利益ともにアップしているものの、イギリス国内はやや厳しい状況でした。

グループ全体の売上高は前年度比で7.4%上昇し、720億ポンド。利益は1.3%増えて、38億ポンドでした。しかし、イギリス国内では第4期半期の既存店の売上が前年同期の実績を割り込むなど、思わしくありませんでした。結果、国内の利益は25億ポンドと前年度比で1%減少しました。今までの業績が華々しかったこともありますが、利益が前年割れをするのは、この20年で初めてのことだそうです。

早速、テスコでは改善計画を打ち出しています。CEOのフィリップ・クラークはこう語っています。「『充分いい』では充分ではない」と。
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あの日からのお母さんのしごと

2012年04月08日 | 読書記録
知り合いが編集に携わった『あの日からのお母さんのしごと 〜わが子を放射能から守る知恵と工夫〜 (ワニプラス)』が3月5日に出版されました。あの原発事故以降、原発や放射能関係の本がたくさん出版されています。この本は、原発事故の被害者でもあり、生活評論家でもあり、薬剤師でもり、料理研究家でもある境野米子さんが、専門家の立場から「わが子を放射能から守る知恵と工夫」を書いた本です。

いろいろな専門を持ち、しかも被害者でもある著者の本。その構成は少し変わっています。冒頭に、古民家での充実した境野さんの生活があの出来事で一変したことが書かれていて、それが胸をえぐります。長年かけて積み上げたものが一瞬にして、外からの力で崩されてしまう。たくさん見聞きして、悪い意味で私の感覚はマヒしてしまったかと思っていましたが、冒頭にグサリと心に突き刺さりました。

あの日からのお母さんのしごと 〜わが子を放射能から守る知恵と工夫〜 (ワニプラス)(境野米子著、ワニ・ブックス刊、1400円+税)
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明日を描く戦略

2012年04月05日 | ニュースから
 先月上梓した『世界のチェーンストアに学ぶ イギリス視察ハンドブック』に、イギリス大手食品小売業4社の戦略を表にまとめました。
 それらを見ていただければわかりますが、ビッグ4各社の戦略は非常に方向性が似通っています。しかし、大きく違う点があります。
 ひとつには、テスコが事業をすべて伸ばそうとしているのに対し、残り3社は足りない点を補おうとする部分が残っている点です。殊にモリソンズではそれが顕著です。
 ふたつ目には、アズダ、セインズベリーズ、モリソンズが自社の秀でた強みを認識し、それをさらに強化しようとしている。それに対し、テスコはすべてが強いからか、どれを「他社が絶対にまねできないレベルの強さ」としてさらに強化すべきか、見えなくなっているように感じます。

 モリソンズのチーフ・エグゼクティブであるダルトン・フィリップスがイギリスの流通誌『リテール・ウィーク』のインタビューに答えた特集が手元にあります。モリソンズが他社に秀でた強みと認識しているのは、対面と店内調理です。この記事を読むと、これをさらに強化していくために、どういう店舗を作り、どのようなサービスを提供すべきか。どのような教育をすべきか。明確な絵が描かれていることがわかります。
 モリソンズは、ビッグ4の中の第4位の企業です。他社が既に手掛けているネットスーパーもまだ開設していません。テスコやセインズベリーズが着々と店舗数を増やし、今や売上の重要な割合を占めているコンビニエンスストアや都市型小型スーパーもやっと着手したばかりです。大都市ロンドンでの店舗数も他社には遠く及びません。
 その中で、いかに売上を伸ばすか。明日のビジョンが非常に具体的に見えてきます。
 セインズベリーズも同様です。かつての栄光を再び取り戻すために何をすべきか。非常に明確に明日を描いているように、発表された戦略や経営計画を読むと感じます。
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「おひとりさま」はひとつではない

2012年04月04日 | 下見がてら見聞録
日曜日に「悠久の光彩 東洋陶磁の美」をサントリー美術館に観に行きました。ずっと前に前売り券を買っていたのに、結局行ったのは最終日でした。最終日の閉館ギリギリだからか、あるいはずっとこんな状態だったのか、中高年を中心に混んでいました。大阪の東洋陶磁美術館にある中国、韓国の陶磁器の名器が、東京に居ながらにして見れるというまたとないチャンスです。

この話は話せば長いので、割愛します。体系的に見る、比較して見る、そして時系列的に見ることができて、とってもよかったです。

そのあと、夕食の材料でも買って帰ろうと、東急プレッセの東京ミッドタウン店に久々に行きました。売場はすっかり春の装いでした。入口すぐの桜色に統一された商品陳列がおしゃれで、かわいかったです。なかなか買い手の心をくずぐる演出でした。

この日、夫が外出しているので、一人で夕食をとることになっていました。ひと通り食材を購入して、では、スパークリングワインのハーフボトルでも買って帰ろうかと思ったら、見当たりません。係の人に聞いたら、隅っこに4アイテムほどありました。フルボトルはかなり揃っているのになぜ? ここは、六本木のミッドタウン。「おひとりさま」がたくさん住んでいる場所のはず。ハーフボトルがこんなに端っこに、こんなに少しだけでいいのか、と不思議に思いました。しかし、よくよく考えれば、この店はもう出店して5年ほど経っています。購買動向は十分熟知しての、この品揃えのはず。このエリアには、きっとスパークリングワインのハーフボトルを求める人が多くはないのでしょう。

一人で家飲みで、チマチマとハーフボトルを空ける人がこのエリアには少ないのかも知れません。若いおひとりさまが多い地域ですしね。あるいは、商圏が広いと思われるこの店にやって来る人は、車でやってきて、フルボトルを買い求めるのかも知れません。違う地域に行ったら、固定概念はなるべく捨てて店を見ようと思います。しかし、どうしても「おひとりさま」の消費行動を、ステレオタイプにはめて見てしまいがちです。それも、内食化や家飲みなどがクローズアップされる昨今、なおさら「おひとりさま」をそういう人ばかりと決めつけてしまいがちです。また、都心=単身者が多い、という決めつけも危険かもしれません。

そんなこんなで、少し反省をしながら家にたどり着きました。すると、『販売革新』4月号が届いていました。この号の特集「お1人さまMD大集合」のイトーヨーカドー食品館阿佐谷店の記事は、私が書いています。老若男女、いろいろなタイプの「おひとりさま」がやってくるこの店は、それぞれのニーズを拾い上げ、業績好調だそうです。極めて先入観を持たずに書いたつもりです。ご一読ください。
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ルミネ有楽町で「非日常」を見る

2012年04月02日 | 下見がてら見聞録
先週の木曜日、所用で有楽町へ出かけました。その帰り、久々にルミネ有楽町に行ってみようと思い立ちました。昨年10月に有楽町マリオンにオープンした、ルミネ初の駅外店舗。オープン当初は押すな押すなの賑わいで、見には行ったものの、実は心を落ち着けて見ることができませんでした。今回はさすがにゆっくりと心穏やかに見ることができました。もちろん仕事柄、そして個人的な興味としても、フードフロアをじっくり歩きました。

まず、感じたこと。デパ地下とも総合スーパーの食品売り場とも、スーパーマーケットとも違う機能をルミネは持っていたのだなぁと感じました。今までのルミネはエキナカや駅ビルだったので、何の違和感もなく受け取っていました。しかし、駅外に出てくると、それがとてもよくわかります。商品構成とか、販売方法だけのことを言っているのではありません。私たち生活者のどのようなニーズを満たそうとしているのかが根本的に違うのだということです。

たとえば、デパ地下、総合スーパー、スーパーマーケットでは「ハレ」と「ケ」の食という言い方をします。なぜそういう言い方をするのかといえば、提供する食がどっぷりと生活に根付いているものだから。ごく普通の日の食、お祝いの日の食。いずれも生活に根付いた食です。一方のルミネ。ハレとケという切り分けではなく、日常と非日常という切り分けに近いのではと感じました。

エキナカで食品を買う場面を想定してみると、故郷へのお土産であったり、来訪先への手土産であったり、新幹線の車中で食べる弁当であったり…。いずれも非日常です。帰宅途中で夕食のおかずを購入しようとすると、なぜだかとても買いにくいと感じます。夕食をトータルで考えることができにくい空間です。デパ地下は、財布を出したり、ひっこめたりの面倒臭さはあっても、アレにコレを組み合わせて…と、比較的思い描きやすい。その点が一見、エキナカとデパ地下は似ているけれど、大きく違う点だと今回感じました。

決して非難しているわけではなく、競技が違うのです。エキナカや駅ビルのルミネは、非日常で発生する食のニーズを満足させています。プラス、駅外のルミネで日常的な用途をも満足させているのが、成城石井やフードコートの存在だと感じました。

ここの成城石井。通路が広い。買いやすくていいのですが、成城石井の「ぎゅっと」感がなくて、新鮮でした。

日常を提供する成城石井で調味料と食器洗いのスポンジを買い、非日常空間のオリーブ専門店でオリーブを買って帰りました。
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記事が掲載されます

2012年03月29日 | 取材にでかけて
 チェーンストアエイジの4月1日号の「現代のゲームチェンジャー」という特集に、ヤオコーの川野幸夫氏がゲームチェンジャーの一人として紹介されます。川野氏の記事を書かせていただきました。

 この記事を書くにあたって、ヤオコーの中期経営計画と沿革を見直しました。そして強く確認したのは、ヤオコーは計画したことを実行するための土台の整え方がすごいことでした。そういう想いを持って記事を書きました。

 ぜひ、川野氏を含めた10人のゲームチェンジャーの話を読んでみてください。4月1日発売です。
 
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英国グロサリー市場のマーケットシェアが発表されました

2012年03月28日 | ニュースから
3月27日、カンター・ワールドパネル社からイギリスのグロサリー市場のマーケットシェアが発表されました。2012年3月18日までの12週間の結果です。

アズダが買収したハードディスカウンター「ネット(Netto)」の店舗をアズダのスーパーマーケットに転換完了したことで、マーケットシェアがぐぐっと上昇しました。価格政策が奏功しているというよりも、ネット買収により、小型スーパーマーケットの店舗数が急増したことが、シェアアップの直接の要因です。テスコはこのところ不調ですね、30%割れも近い30.2%でした。

逆に絶好調は、ハードディスカウンターのアルディ。続いて、リドル。フリーザーフードセンター(いわば冷凍食品専門スーパーマーケット)のアイスランド、そして高級スーパーマーケットのウェイトローズです。このところ、ずっと調子いいですね。この4社とも購買層のすそ野が広がっている感じです。

世界のチェーンストアに学ぶ イギリス視察ハンドブック』(商業界・1500円)を書く準備をしていたころから、毎月発表されるカンター・ワールドパネル社のマーケットシェアのデータを蓄積しているのですが、時系列でみるときに、経済状況などと合わせて見ると、非常におもしろいです。

今も毎日、イギリス食品小売業のニュースをウォッチしているので、またおもしろいニュースがあったら、このブログでご紹介します。
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視察セミナー募集中です

2012年03月26日 | その他雑記
世界のチェーンストアに学ぶ イギリス視察ハンドブック』の出版を記念して、イギリスの視察セミナーを商業界で企画してくださいました。現在、参加者募集中です。

ぜひご検討くださいませ。イギリスの大手4社とザ・コープ、マークス&スペンサー、ウェイトローズなどを視察します。エコストアにご興味のある方、レディミールを研究中の方にも最適なセミナーです。
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『選択の科学』を読みました

2012年03月25日 | 読書記録
選択の科学』を読みました。

著者のシーナ・アイエンガー氏はコロンビア大学ビジネススクールの教授です。スーパーマーケットでジャムの品ぞろえが豊富な場合と、品数を絞り込んだ場合と、どちらがよく売れたかの「ジャムの実験」で有名です。ビジネスで役立つ「選択」についてだけでなく、人間の行為や考え方そのものを広く網羅していて、読み応えがあります。しかも、教授自身もインド系アメリカ人。日本で研究をされたこともあり、アジア人と西洋人の選択におけるメンタリティの差などもわかり、いろいろな意味でおもしろく読めました。

選択の科学(文藝春秋・1700円)
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新しい本が出ました

2012年03月24日 | その他雑記
ご無沙汰しております。いやはや、本当にご無沙汰しております。皆さま、お元気のことと存じます。

私はというと、相変わらず、記事を書くことをベースに、その他いろいろなお仕事をさせていただいております。我々フリーランスにとって、お仕事のオファーが、自分たちがやっている仕事への数少ない評価です。有り難いの一言です。

3月9日に、新しい本を出しました。

商業界の「世界のチェーンストアに学ぶ」というシリーズから、『イギリス視察ハンドブック』という本です。今年はロンドン・オリンピックが開催されます。それに合わせて、ロンドンに視察に行かれる際にお役立ていただきたく、上梓しました。

世界のチェーンストアに学ぶ イギリス視察ハンドブック』(商業界・1500円)

ココをクリックしていただくと、アマゾンのページに飛びます。そこで、中身を少し閲覧していただけますので、ぜひぜひのぞいてみてください。

イギリスの食品小売業は調べれば、調べるほど面白く。仕組みや発想を学ぶのにアメリカはとても勉強になりますが、イギリスにも学ぶ点がとてもたくさんあると思います。特に最も私が興味を持ったのは、寡占化の中での大手チェーンの戦略。そして、寡占化の中での中小小売企業の生き残り策でした。

2年以上前にイギリスの流通視察をされているとすれば、今のイギリスの食品小売業には大きな変化が訪れています。テスコにも減速化傾向が訪れています。ドイツからのハードディスカウンターが顧客層を広げています。質を追求してきた企業が価格に目を向け、シェアを伸ばしています。
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