Masayukiの独り言・・・

老いの手習い日記です。

S劇場で観劇する

2016-10-08 22:08:26 | Weblog

 静岡には演劇を支える舞台芸術センター(SPAC)がある。地方都市にこのような劇場があるのは珍しいとのこと。それだけ本県は芸術に力を入れているのかもしれない。しかし私自身演劇にはあまり興味はなかった。しかし昨年ひょんなことから寺の本堂で、動劇なるものを見た。これは一人の演者が、本を朗読し演技するもので、体をいっぱいに動かし抑揚がある声での朗読は臨場感が伝わってきた。そんなことから静岡のSPACに関心がうまれ演劇を見に行くことにした。静岡芸術劇場はグランシップの一角にあり400人ほどを収容できる劇場である。

 今回の出し物は「東海道四谷怪談」であった。これは文政8年(1825年)原作者 鶴屋南北が、当時の実際にあった様々な事件や噂をもとに一本の作品に仕上げたものである。概要は≪父に先立たれたお岩は、夫・伊右衛門は一人を頼りとするが、出産してからはその夫からも冷たく当たられる毎日であった。孤立感をつのらせるお岩をよそに、伊右衛門は出世に目がくらみ、隣家 伊藤家の孫娘との再婚を決める。伊藤の企みによって毒薬を飲まされ顔が醜く崩れたお岩は、夫の裏切りを知る・・・・・・。苦悩するお岩は、忍従から復讐にいたる心のありようは、時代をと問わず共感を生んできた。恐ろしくも切ない女のさがにゾクとする怪談物の傑作である。≫

 当日券を買い劇場に入ると、7割ぐらいの席が埋まっていた。前列から6番目の中央付近に座ったが、客層は中高年の女性が多いように感じた。始めは、数名の出演者が暗い舞台で10分ほどかけパントマイムのような動きをし何か異様な感じであった。これは今から始まる怪談物を表現する演出なのかと思った。私自身四谷怪談の詳細は知らないので場面の展開を予断できないが、内容的には恐ろしい怪談話でゾクゾクするような期待感をもって見ていた。しかし何人かが殺されるなどの残忍さはあったが、それに勝る、おかしみを感ずる演出があり、そうした場面を和らげてくれた。1時間45分ほどの劇は、江戸庶民の様子も伝わってきたが、因果応報は今も通ずることであると思った。

 役者の立振る舞いは、オーバーアクションに感じたが、舞台ではこれくらいのアクションがあって全体を引き締めることもあってストーリーが見ているだけで正確に伝わってきた。これは演出のすばらしさと共に役に徹した役者たちの日頃の努力が分かる内容であった。また長いセリフがスムースに出ることにも感心した。これから春にかけ幾つかの演劇が予定しているが、私のとって楽しみが増えた。

 


最新の画像もっと見る