ひねもすのしのし。

オタクおばさんの太平楽な日々

春よ来い

2017-03-21 02:43:15 | 

「鬼平」以外の感想を書こうと思ってたんだけど。

ちょっと、どうしても忘れたくない、書き留めておきたいことがあったので今日はそれを。

 

3週間くらい前かなー、凛の散歩中、その老犬とおばあさんに初めて会ったのは。

犬も人も本当に年老いていて、それはゆっくりゆっくり地に足を擦るように歩いていて。

その様子を見ていると、なんだか胸が締め付けられる思いがしたもんです。

 

ある日、その犬とおばあさんがともに道の端に座り込んでいるのに行き合って。

思わず「どうしました?」って声をかけていた。

「もう年寄りで足が悪いからね、休み休み行くの」

聞けば、犬の名はゴンちゃん。16歳を超えた大柄で立ち耳の雑種犬。

腰は痩せてるけれど、茶色の被毛は清潔で表情は穏やかそのもの。大事にされている事は一目でわかった。

 

無邪気さ丸出しでじゃれかかる凛にも、ほぼ無反応なその頭をしばし撫でてその日は別れた。

別れた後、なんだか無性に泣けちゃってねー。

ゴンちゃんの体型や表情は、3年前に死んだトムを彷彿とさせて、もう無性にトムが懐かしくて、その一方でゴンちゃんもトムのように…そんな色々でべそべそ泣きながら散歩を終えた。

 

その後も時々同じような状況に出くわして、その都度少しずつ話したりするようになって。

どうも最近、どこか田舎から近所のお子さんの家にゴンちゃんと共にやってきたらしい。

はしゃぎ回る凛に

「凛ちゃんはいいねえ、若くて元気だねえ」

「凛ちゃん見てると、こっちまで元気になるよ」

そんな風におばあさんに言われる度に、また鼻がツンとなってそれを隠すように私は「ゴンちゃんがんばれ」って言いながら、一生懸命頭を撫でるしかできなかった。

 

先週の火曜か水曜だったかな。

おばあさんの家から4、50メートルくらいの所でまた座り込んでるゴンちゃんたちに出くわした。

でもその時のゴンちゃんはいつもよりへたり込んでいて、おばあさんも不安そう。

聞けば昨日から、ほとんど何も食べなくなったらしい。

マズイと思った。動物はやっぱり食べなくなると途端に弱るんだ。

しばらく一緒にいたけど、ゴンちゃんは全く立つ気配がない。

小柄なおばあさんに、大きなゴンちゃんをどうこうできるわけもない。

このままじゃおばあさんも帰宅できないと思い、思い切ってゴンちゃんの腰を抱えて立たせ、そのまま腰を少し持ち上げるように前に押してみた。

お、歩いた。歩いた。

「ゴンちゃんもう少し、もう少し」

凛も、ゴンちゃんの顔を覗き込むようにしながら一緒に歩く。

そのままゴンちゃんを支えながら無事に家まで送り届け、お礼を言ってくれるおばあさんと別れた。

「ゴンちゃん、またね!」

 

そのあと数日会わずじまいで昨日、ゴンちゃんの家の前を通りかかったら、窓からおばあさんの顔が覗いた。

思わず「ゴンちゃんどうですか?」と声をかけたら、おばあさんが両手でバッテンを作ってみせる。

…え?

「ゴンちゃん、もういないの。昇天したの」

金曜のことらしい。静かに話すおばあさんは泣いてなかった。

代わりに私がその場で大泣きしてしまった。

そうか、おばあさんたちを見ていて胸が締め付けられたのは、ただの哀惜とかじゃなかったんだな。

彼らの心の有り様、「覚悟」というほど身構えたものではなく、「甘受」というほど投げやりでもない。

ありのまま全てを受け入れて「その日」を迎えようとする抗わぬ姿が、自然に胸に迫ったってことなんだろう。

「ゴンちゃんに優しくしてくれて有難うね」

「今日は寒いから外に出ないけど、あったかくなったらばあちゃんも外に行くからね」

「凛ちゃんも、またね」

なんだよ、もう。逆に気遣ってもらってるじゃん、私。

 

そうだな、早く暖かくなるといい。

ゴンちゃんはもういないけど、凛を連れて遊びに行こう。

 

でも…見たかったな。

桜の花咲く下、暖かな空気の中をゆっくり歩く一人と一匹の後ろ姿を。

 

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