少し前から公募公募と言っていたが、この度、トーキョーワンダーウォール、一次審査突破ならずでした。
人形のジャンルから離れて、立体インスタレーションの分野に殴り込みだ!!と思い立っての応募だったのだが、まあ、そう甘くはない。
サイズで見劣りしてはならぬと長大にしたし、ポートレートもなかなかの出来だった(イラストレーターの小林さゆりさん作成。笑)
作品としては、私自身やりきったし、自分の代表作としても良しな出来映え。
自分で言うのも何だが、面白いものを作ったという自身があるため、公募の意とするする事と違ったのだろうな、という程度。
特になんとも思わなかったが、展示場所が無くなったのが残念だ。
今のままだと、ただひたすらにでかい物。
なんとかお目見えする機会をと思っているのだが、でかくて重いので、気軽に運べないのが難点。
では、3月16日から31日までの惨事とも呼べる恐怖の制作風景を、遠い記憶から発掘したいと思う。

大きい龍。頭。他の人形とともに、少しずつ作っていた。これが惨事の始まり。

龍の胴体。
発泡スチロールを細長く整形し、粘土を巻く。
この段階ではまだ余裕。全体像がイメージのみで、現実として見えていないので余裕。

間接になる球を作成。
粘土の消費量の半端なさにおびえ始める。

胴体を切り、半球と繋ぎ、腹側の模様をつける。
この辺りで、つくってもつくっても終わらない恐怖に取憑かれ、情緒不安定。
寝ない。がモットー。

背びれ?背骨?を、一つのパーツにつき一個くっつける。
終わらない。終わらない。終わらない。

小さい方の龍頭。
何を思ったのか、対にしなくてはならぬ妄想に取憑かれ小さい龍を作り始める。
製法は同じ。小さいサイズで同時進行。終わらないが自乗する。
この辺りかもう少し前から、両親を巻き込み、粘土を練ってもらう。
自分一人で全部するのは無理。

背びれをつけたり、龍頭を作ったりしつつ、髭を作る。
全ては同時進行。あれをやりこれをやり。
そろそろシャレならないと、母に制作の手伝いを要請。
発砲スチロール球に粘土を巻き、くり抜いてもらう。
調子に乗って、髭の見本を一つ作り、作り方を見てもらい、髭の制作を母に任せる。
仕上がりのチェックでは『これ、あまり好きじゃないからやり直して。』等と言うようになる。我ながら怖い。
そして、父も強制参加をさせられる。
気の毒な夫婦は、ひたすら発砲スチロール球に粘土を巻き、くり抜き、穴を開ける。

並べてみる。
あまりの長さに間をいくつか外す。
もったいない根性が発生するが、バランスが悪くなるので泣く泣く外す。
並べたときの先の見えた感じは忘れられない。

両親の髭作りの横で、手足と手先足先の作成。
ここでも頭がおかしくなっていた。
玉を握らせるには指が動かなければならないという妄想に取憑かる。
私の作っている龍は皇帝の龍であるのだ。と言うわけで、思い立ったが吉日。指5本を決心。
馬鹿じゃなかろうか。もう一生終わらない。と思いながら、爪を作り指を作り模様を作る。
朝は前向きだが、夕飯を終えた辺りから時間が足りない恐怖に駆られる。
もう無理だ本当無理だ今度こそ無理。っていうか無理!!等と言った後ろ向きな発言を一通りこなし、奇声を発してみたり。

遺物の発掘現場。
嘘。
電気コンロで乾かしている様子。こういうのがもう一つあった。
髭、手足、胴体の先の方。
指はまだ作っていないのか、写っていない。

ホタテを乾燥させているわけではない。
大きい龍の髭。
この時点で、指の模様も仕上がり、ゴムを通す為のスリットを父に依頼。
間接は親指に2個、ほかには各3つづつで、片手につき14個あり、それ一つ一つにスリットがいる。
14×4(一体につき手が4つ)×2(龍二頭分)で112本のスリット。
更に胴のスリットも父の仕事として渡していた。
錐で指を突き、彫刻刀で指を切り、慣れない作業で親指が痺れ、肩が凝る両親に容赦なく渡される細かい仕事の数々。
家内制手工業が確立されしばらく。誰もが早期解体を望んでいたが先はまだまだ。息は絶え絶え。
もうやめたいと言う声を一切無視する娘(私だ!!)。酷い。本当に酷い。しかし、しょうがないんだ、一人じゃ無理。

本当に色々あり、とにかく寝ないで後少し。
万歳仮繋ぎ!!
とはいえ、髭と指、この時点ではまだ出来ていない。
しかし、2頭分繋いだときの爽快さったらなかった。
嬉しすぎて首に巻き。龍踊りを踊ってみる。
髪の毛やら首の肉やらを龍の胴体にちょっとだけ噛まれあまりの痛さに怒るもにやにや。

どーん!!
髭が出来ました。
髭仮繋ぎ。
ここに来て突如仕事が無くなる。
そうです。
粘土の仕事が終わったのです。
肩は常にしびれ、肩先から親指の先まで通る筋がとにかく痛い。
お箸を持つのも辛くなっていた。

さて。造形が済んだら急ピッチで着彩。
黒くしてー(これは小さい方の龍)

ゴールドかけてー

あなおそろしや、更にゴールドかけたら一気に成金趣味。
それか鯱。

指。
それぞれに繋がる先が決まっているため、母が試行錯誤。
間違いが無いように無いように。

ほい、出来たよ小さいパーツ。

こっちも出来てる頭二つ。

手のひらと指を繋いでみる。
そして重ねる悪ふざけ。
あれ、あたしおっそろしいもの作ってないか…?
胴体にも黒を塗り、白龍にはゴールド、青龍にはシルバーで着彩。
更に白をかけて一段落。
因に、胴体の下地を塗るのは両親の仕事。
仕上げは私。
父に至っては、夜は私の手伝い、昼間は勿論お仕事。おつかれさまでーす。

後は私一人の仕事。
鱗メーカーのTさんが前もって準備しておいてくれた大量の鱗を貼る。貼る。貼る。
とにかく貼る。
各種サイズを取り揃えてある鱗から、1枚ずつつまみながらやっぱり関心。
花弁のような繊細な物を龍に貼ったとたん、がっつり鱗に。
色が透けて見えるため、日本画の趣。
写真撮影当日二時間前程になって仕上がり、今に至る。
私の制作を手伝ってくれた両親やTさん、撮影をしてくださった松野さん。声をかけてくれたお友達。
今回の結果に落ち込みはしないが、申し訳なさで一杯になった。
制作していたら世間の反応は決して甘くは無いが、やりきってしまえば胸をはって落ちましたと言える。
自分一人だと出来なかったし、多大な迷惑をかけたけれど、諦めなくて良かった。
以上。
集中制作日数2週間。
毎日3時間寝れたら万歳。
寝込んだら終わり、寝床は床のホットカーペット。
しばらく残った肩と首と腕の痛みに、疲労。
もう二度としないぞこんな事!!
白龍:250センチ10キロ
青龍:170センチ3キロ
白龍青龍一対で瑞祥となる。