「もうすぐ鈴鹿8時間耐久レース」
7月24日から8耐ウイークが始まり、本番は7月27日午前11:30スタート。
今年はカワサキの販社チームも参戦するとかで、これで日本4社のワークス系チームが出場することになり、おおいに盛り上がるのではなかろうか。
なんだかんだと言っても、鈴鹿8耐は日本最大級の二輪モータースポーツイベントに間違いなく、近年盛り上がるに欠けると言っても今年の出場台数は71台。
全盛期でも80台前後ぐらいだったから、台数だけみるとそんなに悲観するほどの事もない。しかも、6万人以上/日も集客する二輪モータースポーツは他になく
二輪業界や二輪ファンにとっても興味を引き付ける最大のイベントである。 最近、熟年層の購買層が増えて二輪業界は活況にあるときくが、
かってそうであったように、二輪文化の頂点に位置するモータースポーツが最大の購買層である若者を引き寄せねば、これからの二輪業界の発展は無い。
何故なら、熟年層だけでは次の二輪はないからだ。ややもすると、二輪レース等に元々興味など無い人たちにとっては、全盛期に比べ低下した鈴鹿8耐を
見て然もありなんと思うだろうけど、鈴鹿8耐、これが日本最大級の二輪イベントに変りは無く、無視して通り過ぎようとしても横を向いては通れない。
8耐は二輪文化の頂点の一つであることに疑いはなく、要は二輪業界や企業が鈴鹿8耐をどう捉え、どう活用するかだ。
日本の4大メーカー系チームがそろって8耐に参加し覇を争うシーンは、多くの若者の目を8耐に向けさせてくれるはずだと信じている。
(最近気がついたが、数年前から日本4社は、いわゆるワークスチームを8耐に出場させていない。かってはホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキから
計11~12チームのワークスチームを出場させ、それこそ激しい火花を散らす強烈なインパクトがあったが、最近はワークスサポートと称し、本社が
ワークスマシン等を系列の支援チームに貸与する形式に変わったようだ)
ところで、先日まで、8耐の事前合同テストとタイヤメーカーテストが行われ、各チームとも8耐に備えてのサーキットコースでの最終テストは終了したとあった。
各チームの動向は、「Racing Heroes」や「ホンダ合同テストレポート」に概略記載されているので、各チームのまとまり具合は大方わかる。
鈴鹿8耐は8時間内に多くの周回数を重ねることができるかの勝負なので、一義的には鈴鹿サーキットの周回タイムが競争相手より速ければ圧倒的に有利だ。
だから、合同テストではラップタイム(周回タイム)を短縮できる仕様を見つけるのに各チームとも苦心する。しかし、8耐は個人のタイムが速いから勝てるかと言うと
必ずしもそうではない。最終的には各チームの総合力の争いとなり、組織対組織の争い、組織の完成度によって勝敗は決する。そうは言ってもラップタイムが速い
方が有利であることに変わりはない。今回の合同テスト結果をみると、ヤマハ系とホンダ系チームが7秒台、スズキ系のヨシムラが8秒でカワサキは9秒台だった。
このタイム差を実際の耐久レースにどのように織り込んでいくか、残り2週間、各チームの作戦の悩みどころだろう。いよいよ面白くなった。
このように、鈴鹿8耐は二輪企業にとって参加すべき価値は十二分にある。
そして、閉塞した日本の二輪業界をもっと明るく照らす指標になるに十分な価値もあると思うし、要は二輪業界が8耐をどのように活用するかであろう。
モータースポーツに参戦したから、その効用(販売)が直ぐに出るものでは決してない。国会議員等の選挙運動と一緒で、地道な活動こそ有権者は評価するのであって、
目先の派手さでは決してない。一方、レース好きな人達が単に参加しているだけという声を聞こえぬでもないが、鈴鹿8耐はそんな低次元の話ではない。
★ところで、本日(11日)の日経Web刊に「トヨタ社長、社員メカニックと戦った耐久レース 」と言う記事があった。
これは、日経の記者がトヨタの「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」を取材した際、レース参戦の隠れた目的である若手社員の育成の様子を取材したもの。
メカニックは多くが生粋のトヨタマンで、何が起きるか分からないレースの場で修羅場を経験し、車づくりの腕を磨き、ピット裏で繰り広げられる“ひとづくり”の
現場の様子を取材した記事だ。各社のレース参戦目的は異るので、必ずしも勝つための最適な方法だとは言えないが、面白かったので要点を抜き取ってみたい。
■将来のリーダー候補を招集
レースで使う交換用タイヤを拭く社員メカニックたち。 対象は25歳から30歳の技術部に属する社員。
今年のチームは車両の試作課や電子技術の試験課などから人を呼んだ。「将来のリーダー育成の観点に照らして人望のある人や、
車づくりで強い情熱を持った人を選んでいる」。担当期間は原則2年。8人を1チームとし、毎年4人を入れ替えながら順次人を回転させていく仕組みだ。
まずはコミュニケーションの重要性だ。
■「10秒目をつぶればなんとかなる」
レース中はどのメカニックも手を休めない。ただ、よかれと思った手助けも重複があれば事故のもとだ。
会社の中ではなかなか体験する機会がない職場を超えた意思疎通の仕方を、知らず知らずのうちに学んでいるのだ。
もう一つは不測の事態への対応。今回は大きなトラブルはなかったが、「何が起きても動じなくなる」と精神面での成長を語る。
24時間を走りきるには車の性能もその時間だけ最高レベルを維持しなければならない。ゴールまであと8時間と迫った朝8時。
眠くないのかと問う記者に、充血した目の担当者はただ一言。「10秒立って目をつぶれば何とかなります」。24時間を耐え抜くタフさも必要だ。
■助けない上司
さらにはぎりぎりまで上司が助けない、という緊張感もあった。ピット内にはベテランのメカニックも先生役で控えている。
だが彼らは、基本的には何もしない。「こちらが助ければ『いずれ助けが来る』という甘えが生じる」。
自ら考えさせるというのはトヨタ生産方式にもつながる同社の人づくりの哲学だ。あるベテランは「時間を考えすばやく仕事をする感覚を磨く」と言う。
こうしたレースでの経験は職場に戻ってこそ生きる。雇われメカニックと違い、8人はレースに出る車の組み立て作業に実際に関わっている。
出身部署は部品ごとに細分化されているが、2年の担当中は車のすべてに触れることができ、各地のテストコースでの走り込みも経験する。
レースがある6月でなく1月1日に人事を発令し、2年の年月を費やすのはそのためだ。
■社長のレース参加に賛否両輪だが・・・
ゴールを喜ぶ社員メカニックたち。
長くレースでの若手育成に関わってきた担当理事は「若手が車を軸にものを考えるいい機会になる」と話す。
車づくりが分業化し人の育成が追いついていない――。販売急拡大、リーマン・ショック、大規模リコールとジェットコースターのような
激動の2000年代後半を通じ、身にしみたトヨタの苦い教訓だ。非効率は承知のうえで「社員メカニック制度」を続けるのは、
豊田が繰り返し訴える「もっといいクルマづくりを目指す」という基本方針の延長線上にある。
7月24日から8耐ウイークが始まり、本番は7月27日午前11:30スタート。
今年はカワサキの販社チームも参戦するとかで、これで日本4社のワークス系チームが出場することになり、おおいに盛り上がるのではなかろうか。
なんだかんだと言っても、鈴鹿8耐は日本最大級の二輪モータースポーツイベントに間違いなく、近年盛り上がるに欠けると言っても今年の出場台数は71台。
全盛期でも80台前後ぐらいだったから、台数だけみるとそんなに悲観するほどの事もない。しかも、6万人以上/日も集客する二輪モータースポーツは他になく
二輪業界や二輪ファンにとっても興味を引き付ける最大のイベントである。 最近、熟年層の購買層が増えて二輪業界は活況にあるときくが、
かってそうであったように、二輪文化の頂点に位置するモータースポーツが最大の購買層である若者を引き寄せねば、これからの二輪業界の発展は無い。
何故なら、熟年層だけでは次の二輪はないからだ。ややもすると、二輪レース等に元々興味など無い人たちにとっては、全盛期に比べ低下した鈴鹿8耐を
見て然もありなんと思うだろうけど、鈴鹿8耐、これが日本最大級の二輪イベントに変りは無く、無視して通り過ぎようとしても横を向いては通れない。
8耐は二輪文化の頂点の一つであることに疑いはなく、要は二輪業界や企業が鈴鹿8耐をどう捉え、どう活用するかだ。
日本の4大メーカー系チームがそろって8耐に参加し覇を争うシーンは、多くの若者の目を8耐に向けさせてくれるはずだと信じている。
(最近気がついたが、数年前から日本4社は、いわゆるワークスチームを8耐に出場させていない。かってはホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキから
計11~12チームのワークスチームを出場させ、それこそ激しい火花を散らす強烈なインパクトがあったが、最近はワークスサポートと称し、本社が
ワークスマシン等を系列の支援チームに貸与する形式に変わったようだ)
ところで、先日まで、8耐の事前合同テストとタイヤメーカーテストが行われ、各チームとも8耐に備えてのサーキットコースでの最終テストは終了したとあった。
各チームの動向は、「Racing Heroes」や「ホンダ合同テストレポート」に概略記載されているので、各チームのまとまり具合は大方わかる。
鈴鹿8耐は8時間内に多くの周回数を重ねることができるかの勝負なので、一義的には鈴鹿サーキットの周回タイムが競争相手より速ければ圧倒的に有利だ。
だから、合同テストではラップタイム(周回タイム)を短縮できる仕様を見つけるのに各チームとも苦心する。しかし、8耐は個人のタイムが速いから勝てるかと言うと
必ずしもそうではない。最終的には各チームの総合力の争いとなり、組織対組織の争い、組織の完成度によって勝敗は決する。そうは言ってもラップタイムが速い
方が有利であることに変わりはない。今回の合同テスト結果をみると、ヤマハ系とホンダ系チームが7秒台、スズキ系のヨシムラが8秒でカワサキは9秒台だった。
このタイム差を実際の耐久レースにどのように織り込んでいくか、残り2週間、各チームの作戦の悩みどころだろう。いよいよ面白くなった。
このように、鈴鹿8耐は二輪企業にとって参加すべき価値は十二分にある。
そして、閉塞した日本の二輪業界をもっと明るく照らす指標になるに十分な価値もあると思うし、要は二輪業界が8耐をどのように活用するかであろう。
モータースポーツに参戦したから、その効用(販売)が直ぐに出るものでは決してない。国会議員等の選挙運動と一緒で、地道な活動こそ有権者は評価するのであって、
目先の派手さでは決してない。一方、レース好きな人達が単に参加しているだけという声を聞こえぬでもないが、鈴鹿8耐はそんな低次元の話ではない。
★ところで、本日(11日)の日経Web刊に「トヨタ社長、社員メカニックと戦った耐久レース 」と言う記事があった。
これは、日経の記者がトヨタの「ニュルブルクリンク24時間耐久レース」を取材した際、レース参戦の隠れた目的である若手社員の育成の様子を取材したもの。
メカニックは多くが生粋のトヨタマンで、何が起きるか分からないレースの場で修羅場を経験し、車づくりの腕を磨き、ピット裏で繰り広げられる“ひとづくり”の
現場の様子を取材した記事だ。各社のレース参戦目的は異るので、必ずしも勝つための最適な方法だとは言えないが、面白かったので要点を抜き取ってみたい。
■将来のリーダー候補を招集
レースで使う交換用タイヤを拭く社員メカニックたち。 対象は25歳から30歳の技術部に属する社員。
今年のチームは車両の試作課や電子技術の試験課などから人を呼んだ。「将来のリーダー育成の観点に照らして人望のある人や、
車づくりで強い情熱を持った人を選んでいる」。担当期間は原則2年。8人を1チームとし、毎年4人を入れ替えながら順次人を回転させていく仕組みだ。
まずはコミュニケーションの重要性だ。
■「10秒目をつぶればなんとかなる」
レース中はどのメカニックも手を休めない。ただ、よかれと思った手助けも重複があれば事故のもとだ。
会社の中ではなかなか体験する機会がない職場を超えた意思疎通の仕方を、知らず知らずのうちに学んでいるのだ。
もう一つは不測の事態への対応。今回は大きなトラブルはなかったが、「何が起きても動じなくなる」と精神面での成長を語る。
24時間を走りきるには車の性能もその時間だけ最高レベルを維持しなければならない。ゴールまであと8時間と迫った朝8時。
眠くないのかと問う記者に、充血した目の担当者はただ一言。「10秒立って目をつぶれば何とかなります」。24時間を耐え抜くタフさも必要だ。
■助けない上司
さらにはぎりぎりまで上司が助けない、という緊張感もあった。ピット内にはベテランのメカニックも先生役で控えている。
だが彼らは、基本的には何もしない。「こちらが助ければ『いずれ助けが来る』という甘えが生じる」。
自ら考えさせるというのはトヨタ生産方式にもつながる同社の人づくりの哲学だ。あるベテランは「時間を考えすばやく仕事をする感覚を磨く」と言う。
こうしたレースでの経験は職場に戻ってこそ生きる。雇われメカニックと違い、8人はレースに出る車の組み立て作業に実際に関わっている。
出身部署は部品ごとに細分化されているが、2年の担当中は車のすべてに触れることができ、各地のテストコースでの走り込みも経験する。
レースがある6月でなく1月1日に人事を発令し、2年の年月を費やすのはそのためだ。
■社長のレース参加に賛否両輪だが・・・
ゴールを喜ぶ社員メカニックたち。
長くレースでの若手育成に関わってきた担当理事は「若手が車を軸にものを考えるいい機会になる」と話す。
車づくりが分業化し人の育成が追いついていない――。販売急拡大、リーマン・ショック、大規模リコールとジェットコースターのような
激動の2000年代後半を通じ、身にしみたトヨタの苦い教訓だ。非効率は承知のうえで「社員メカニック制度」を続けるのは、
豊田が繰り返し訴える「もっといいクルマづくりを目指す」という基本方針の延長線上にある。