野々池周辺散策

野々池貯水池周辺をウォーキングしながら気がついた事や思い出した事柄をメモします。

トヨタの一つの戦い

2017-06-19 06:21:12 | モータースポーツ
18日、四輪のル・マン24時間耐久レースを「TOYOTA GAZOO Racing 2017年【ル・マン24時間 耐久レース】ライブ配信」でパソコン観戦している。実際は、FB「TOYOTA GAZOO Racing」やFB友達から逐次投稿される情報を見ながらレース動向を楽しんでいると言うのが正解だが、優勝候補の一角であった、トヨタのチームは8時間手前に2台がリタイヤし苦戦続きで、レースと言うのは本当に最後のゴールをきるまで何が起るか分からないだけに怖い戦いが続いている。
 「TOYOTA GAZOO Racing」

本番レースが開始される前の6月16日 の夜、「TOYOTA GAZOO Racing」のFBに、トヨタ社長がコメント(決勝前日である6月16日(金)、イタリアの日刊新聞「Il Messaggero 」が、Volkswagen AG CEOのMatthias Muller氏とともにトヨタ自動車株式会社 社長 豊田章男を特集でとりあげられた内容)を投稿している。世界自動車業界最高の位置にある 豊田社長が世界中のモータースポーツファンに、いや多くの自動車ユーザーに向けて発信した内容は自動車業界の歩む一つの道を示すものとして非常に面白い。かっての四輪、ましてやモータースポーツに最も近い位置にいる二輪業界の先駆者たちは、同じ思想や理念をもって活動し続け今の繁栄を得た。それから半世紀たち、モータースポーツ界とは一線を引く自動車企業が多い中、トヨタの原点回帰はトヨタの闘い方を示すものとして面白い。以下は「TOYOTA GAZOO Racing」のFBから引用。
私はルマンに行く機会に恵まれませんでした。毎年、トヨタの株主総会は決まってルマンの週に開催されるめ、現地に行くことができないんです。昨年も、やはりルマンには行けませんでした。日本時間で日曜の夜10時頃、トヨタが迎える、初めてのその瞬間を私は自宅のテレビの前で迎えようとしていました。スマートフォンを片手に、現地にいるスタッフとメッセンジャーでやりとりをしながら、正直に言えば、もうその瞬間を迎えるであろうことを確信していたと記憶しています。私も、幾度となく、レースやラリーの現場に行っていますし、ドライバーとしても、何度も競技に参加しています。なので、レースは、チェッカーを受けるまで、何があるか分からないということはよく分かっていたつもりでした。しかし、追い上げてきていたポルシェがピットに入り、マージンが1分半近くまで広がった時、勝利への安堵のようなものを感じていたと思います。しかし21時57分、トヨタのクルマは、ドライバーからの「No power I have no power」という交信とともにスローダウンし、そしてピット前のコース上で止まってしまいました。初めは、何が起きているか、よく分かりませんでした。現地にいるスタッフも混乱していて、確かなことはよく分かりませんでした。ただ、テレビの画面に映し出される「歓喜に満ちたポルシェのクルー達」をみて、やはりレースは、最後の最後まで何があるか分からないということを知ることになりました。私の心には、悔しさと残念な気持ちが溢れてきたことを覚えています。このクルマを走らせていたのはドライバーだけではありません。このクルマの開発に携わったエンジニア、メカニック、そしてパーツサプライヤーに至る多くのメンバーが、このクルマを走らせていました。そんな、私以上に深い悔しさに包まれている彼らに、私から、なんと声をかければよいか、あの時は、正直、分かりませんでた。トヨタは18回、この伝統あるルマンのレースに挑戦させていただいていますが、シルバーメダルしか手にしたことがありません。
本当に多くのファンがトヨタを応援し続けてくださっています。その皆さまが「今度こそはゴールドメダルを」と毎年、声援を送ってくださいます。言ってみれば、私も、その内の一人です。今度こそは、24時間で、他の誰より、トヨタのクルマが長い距離を走ってほしいと思い続けていました。なので、そうしたファンの皆様に対し、深い感謝の気持ちを抱いていますし、この瞬間を迎えた時は、彼らに、本当に申し訳ない気持ちになりました。昨年のレースには、会長の内山田が現地に行ってくれていました。彼は、プリウスの開発者であり、ハイブリッドの父とも呼ばれています。ハイブリッドカーで戦うルマンの戦いにおいても、彼は、チームの父のような存在であると思います。だから、昨年のルマンにおいて、レース後に、トヨタを代表するコメントは、テレビの前にいる私ではなく、彼にお願いをしていました。しかし、あの瞬間を目にし、「この悔しさは、クルマを作ってきたチームだけのものではなく、トヨタにいる全員、そして応援してくださっている全員の悔しさだ」と、私は感じました。そして、私は、内山田会長に、「今回は、トヨタの想いとして、私からコメントを出させてほしい」とお願いしました。そうして、発信したのが、このコメントです。
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このコメントが出来た時、最初に送った相手は、広報担当ではなく、レーシングハイブリッドプロジェクトのリーダーである村田でした。2015年、トヨタはルマン(そしてWECシリーズ)において、ポルシェやアウディに全く歯が立ちませんでした。「2016年は絶対に負けられない」トヨタのその想いを背負った村田は、今後2年かけてやる開発を前倒しして、2016年に向けたクルマを死にもの狂いで準備していました。私は、それを知っていたので、出来上がったメッセージをまず彼に読ませたいと思ったのです。「現場にいてやれなくてゴメン」「こういうメッセージを出すぞ」と言う言葉と共に、彼にメッセージをおくりました。後日、聞いたところ、彼は「社長が送ってくれた。あのメッセージに救われた。もう一度、2017年に向けて頑張ろうと気持ちを切り替えることができた」と語ってくれていました。彼と、そのチームは、今年のルマンに向けて、その前の年以上の努力を重ねてくれました。きっと期待に応えてくれているに違いない…と思います。トヨタが、モータースポーツに挑む理由はもっといいクルマをつくるためです。私の祖父で、トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎も、このような言葉を残していました。
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これから、乗用車製造を物にせねばならない日本の自動車製造事業にとって、耐久性や性能試験のため、オートレースにおいて、その自動車の性能のありったけを発揮してみて、その優劣を争う所に改良進歩が行われ、モーターファンの興味を沸かすのである・・・。単なる興味本位のレースではなく、日本の乗用車製造事業の発達に、必要欠くべからざるものである
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その想いは今も変わりません。競争という厳しい環境の中でこそ、新しいアイデアが生まれ、それを実現しようと皆が努力を重ねます。
その過程が、人は成長させ、クルマも更に良いものに成り続けていくのです。ですので、モータースポーツは、自動車産業にとってなくてはならない取り組みなのだと思っています。ルマンの話に戻せば、昨年味わった悔しさが、新たな技術への挑戦を生み、今年のクルマに繋がり、それは、未来のトヨタのクルマの進化にも繋がっているのだと確信しています。しかしながら、昨年の結果は、悔しいだけでは、ありませんでした。悔しさも大きかった一方で、トヨタは得たものもありました。レースの後に、ポルシェやアウディに、その戦いを讃えてもらえたことです。例えば、ポルシェは、レースの数時間後に、SNSで、「Competed together for 24 hours. Head to head for 24 hours. Gained our respect forever」と我々に向けたメッセージを発信してくださいました。それを見て、私は、伝統あるヨーロッパのモータースポーツ業界に初めてトヨタのことを認めてもらえたように感じ、とても嬉しく感じました。そして、その数週間後、私のもとに、ドクターポルシェからの手紙も届きました。とても感動しました。ポルシェは、とても素晴らしいクルマを作る“尊敬すべきスポーツカーメーカー”です。そのトップから手紙を頂けることは、大変光栄なことでした。私からも返事を出させていただき、そのコミュニケーションがきっかけでパリモーターショウの時、ドクターポルシェに直接会って、お話を聞くことが出来ました。このような出会いを昨年のルマンの戦いはトヨタに与えてくれました。このことに感謝したいと思います。パリで、ドクター ポルシェと「次は来年のルマンで会いましょう」と約束しました。この感謝の気持ちは、今年のルマンで、ドクターポルシェに改めて伝えたいと思います。そして、なにより、ポルシェと、再度、素晴らしい戦いをすることで応えていきたいと思います。一年の努力により、我々のクルマは、もっといいクルマになっています。ですので、ポルシェと、素晴らしい戦いをできると確信しています。その戦いが、人々を魅了し、I love carsと言ってくださるファンが1人でも増えればと思います。そして、やはり、今年は、トヨタが、24時間で一番長い距離を走るクルマであってほしいと思います。長く応援し続けてくださるファンの皆様に、心からの笑顔になってほしいと願っています。私も、そのファンの内の一人です。だから、今年は、日曜日の午後3時に、最高の笑顔をしたいと思っています。


★トヨタに並び、モータースポーツ界に参戦する理念を示したものとして、かってのホンダの考え方も面白い。
一流トップの学び方:本田技研工業 福井威夫社長
「レース参戦することによって・・(略) 重要なのはこの貪欲さが生まれる環境で、その極致が“修羅場体験”です。 想像を超える困難な状況の中で、自分で何とかしないとダイレクトに結果に表れる。誰も教えてくれない。失敗はしたくないが、失敗を恐れていたら何もできない。必要な情報や知識をどんどん吸収し、あらゆる力を一点に集中して突破する。そして、見事成功したときは達成感に浸る。こうした修羅場体験を経て、ひと皮も、ふた皮もむけて力をつける。ところが、組織が大きくなると、自分は何もしなくても業績に影響しないような状況が各所に生まれがちです。大企業病が蔓延する。そうならないよう、社員をいかに修羅場に追い込んでいくか。」

★世界の四輪業界と二輪業界のトップに君臨する企業、トヨタとホンダの、其々が考えるモータースポーツとはを読むと同じような文言が出てくるので、進む道や目標は全く同じ方向かなとか一見思えるが、しかし夫々が育った環境の違いもあって歩む道は大きく異なるようにも読める。それはレースに参戦する根っこの部分が全く異質だったことからくるのかも知れない。トヨタのモータースポーツの出発点が役所等から要請(指示)によるもので当初から役所の保護があったものと読んだことがある。一方、ホンダは、町工場の現場でミカン箱に立って自ら世界のレース参戦し勝つことを目標としたこと、つまり役所の保護もないまま単身世界に打って出たこと等を勘案すると進む道は大きく異なってきた。トヨタもそう、ホンダもそうだが、レース専用車はサーキットという専用のコースの中で如何に誰よりも早く走れるかを追求し、しかも24時間という耐久性もを追求する技術競争であり、そこにあるのはレース車に要求される技術力の極限の競争だとしている。市販車に要求される技術力とは当然異なる。また市販車の技術とレース専用車が追求する技術は同じでレース専用車の技術がそのまま市販車に活用できるからレース参戦を志すとも言ってない。だから、その点では市販車とレース専用車の技術は異なるとはその通りだが、彼らがレースに参戦する目的はそんな次元な話ではない。自動車業界のトップ企業は、企業の進む道を、何時も原点回帰しながら企業運営していることがよくわかる。モータースポーツに興味のない人達には、”レースを単に美化しているだけ”との声も聞こえてきそうだが、しかし、企業トップにとって、最も重要な競争力学を重視し、極限状態で戦うことで大企業病にかからぬ組織作りの責務があり、その戦略の一つがモータースポーツ活動なのかもしれない。戦いのなかで蓄積された人的・物的な知識・技能の伝承、いわゆる組織技術ソフトウェアの蓄積の重要性から言えば、レース運営組織が経験的に企業グループ内で運営し続けたいとの思いが、トヨタ、ホンダの経営トップからの市場に向けて、いや社内に向けての直接の声と取ることもできる。 

★で、結果は、「【ル・マン24h速報】2号車ポルシェ優勝。大波乱の24時間を制す。」に、こうある。
「ル・マン24時間レースの決勝が行われ、2号車ポルシェ919ハイブリッドがトップチェッカーを受けた。
 LMP1クラスで出走した計6台全てがトラブルに見舞われ、最後まで走りきったのは2号車ポルシェ919ハイブリッドと8号車トヨタTS050ハイブリッドの2台のみだった。 一時はLMP2クラスの38号車ジャッキー・チェンDCレーシングが首位を快走したが、残り1時間というところで2号車ポルシェが追いつき、奪首。結局そのまま最後の1時間を先頭で走り、トップチェッカーを受けた。 総合2位には38号車ジャッキー・チェンDCレーシング、3位には13号車ヴァイヨン・レベリオンと、LMP2クラスのマシンが上位に入った。 完走したLMP1クラスのもう1台、8号車トヨタTS050ハイブリッドは、総合9位でフィニッシュしている。1号車ポルシェ、7号車と9号車のトヨタはリタイアとなった」
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