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(マンガですぐわかる!)ピケティと21世紀の資本論

2015年05月07日 | ★☆☆☆☆
『 (マンガですぐわかる!)ピケティと21世紀の資本論(格差の本質とこれからの私たちがやるべきこと) 』
安部 徹也 (著), ユウリ (イラスト)


ソフトバンククリエイティブ (発行)
B6判、ソフトカバー、184ページ
2015/05/03発行
ISBN-13 978-4-7973-8361-4
NDC分類: 331.82

定価 :1,080円(税込み)


 内容(「TRC-MARC」の商品解説より)
格差問題を膨大なデータで実証し、解決策を提言した、ピケティの「21世紀の資本」。そのエッセンスと、格差の中で生きるヒントを、マンガを交えて解説します。

 内容(下記出版社の紹介ページより)
700ページを超える「21世紀の資本」のエッセンスをマンガで紹介。身近な話題とつなげながらの解説で、誰でも簡単にポイントがつかめます。


はじめに p.01
目次 p.04
1章 ピケティと『21世紀の資本』 p.05
(コミック) p.06
 ピケティとは何者か? p.23
 『21世紀の資本』とは何か? p.25
 どのようにして格差は生まれるのか ―リカード・マルクスの悲観論 p.28
 どのようにして格差は生まれるのか ―クズネッツの楽観論 p.31
2章 『21世紀の資本』を読み解くための基礎知識 p.33
(コミック) p.34
 Part1 資本と労働の分配問題 p.50
 Part2 経済成長 p.63
3章 世界における資本の重要性の変遷 p.73
(コミック) p.74
 Part1 21世紀の資本/所得比率 p.86
 Part2 21世紀における資本と労働の分配 p.95
4章 格差の構造とメカニズム p.107
(コミック) p.108
 Part1 労働の格差 p.121
 Part2 資本の格差 p.130
 Part3 2つの世界 p.136
5章 格差のマクロ的解決法 p.143
(コミック) p.144
 格差問題に関する解決策1 累進課税を課す p.151
 格差問題に関する解決策2 世界的な資本税を導入する p.157
6章 ピケティ教授の『21世紀の資本』を読んで私たちができること p.161
(コミック) p.162
 自らが資本家となる p.169
 高い成長率を実現する p.173
 格差を否定するのではなく 格差を肯定して自分らしく生きる p.181
奥付け p.184


萌え本分類:コミック本型。
ナビゲーター:コミック部分の登場人物。社会人大学院生の圭司と美憂、経済学者のCharles Piketty教授。

カバー表紙:タイトルは横書き。タイトルの字色は赤と白、黒。無地の背景に「21世紀の資本」を持つ少女のイラスト。
中表紙:タイトル、著者名のみを配す。
折込ポスター:なし。
本文:縦書き、一段組み。
構成・設定:  巻頭のコミック部分14ページはカラー、以下巻末まではモノクロ印刷。本文は6章からなり、各章は扉1頁、7~16頁のコミックおよび文書解説で構成される。章扉には横書きのタイトル、「r>g」を配したイメージイラスト、短文の緒言を配し、コミック部分は「社会人大学院で会議のファシリテーター(進行役)を努めることとなった男女の2人が、『Thomas Pikettyの従弟』との触れ込みのCharles Piketty教授から「21世紀の資本」についてのレクチャーを受ける」というストーリーに沿って進行。第1章では「Pikettyの経歴と格差に関する20世紀の主な思想論」を解説。第2章から第5章では、「ナビゲーター間の討論」とそれを補完する文書解説、という形式で「21世紀の資本」の解説が進行し、文書解説中には原著からの引用とおもわれる図表がおおく挿入される。第6章はPikettyの理論をふまえて、「格差社会たる21世紀に生きる我々が格差を解消するためにとるべき道は何か?」について、幾つかの例を上げて考案する。本章はあとがきを兼ねる。
 索引、参考文献などは附属しない。原著の引用部分の注もない。


評価:
萌え絵度:  本書のコミック部分は「3Dキャラによるマンガ作成ツール」コミPo! で作画されている。
展開は解説コミックに徹しておりお遊びの部分は皆無。カバーイラストの担当はユウリさんで、こちらのカバーキャラは本文中には全く登場せず、ある意味表紙サギ。ついでに細かい話をすると、カバーイラストの少女は「21世紀の資本」原書を開いて右手にもっている。700ページの洋書をこんな持ち方できるわけがない。
テーマ萌え度: T.ピケティの著書『21世紀の資本』のストレートな解説書。内容自体は簡便にして的確。図表の選択や解説も理にかなっており原著の紹介としては分かりやすい方。ただしコミック部分のストーリーが「本文解説のための解説」になっており、マンガでわかる」形式に乗っただけでコミック自体にほとんど魅力を感じないのはこの手の書籍としてどうかと思う。
萌え本的意義: SBクリエイティブ発行の萌え本としては確認できる範囲で、『 図解・速算の技術(一瞬で正確に計算するための極意)(サイエンスアイ新書) 』(15/04)に次ぐ23冊目、同社刊行の新書版「(まんがでわかる)- 」シリーズ等とは異なる新規の判型。
 ピケティ本としては、『 (まんがと図説)ピケティと資本論(マルクスから読み解く21世紀)(にちぶんMOOK) 』(日本文芸社刊、15/05)があげられる。発売日は同月だが発売ではこちらがほぼ1ヶ月先行する。
かなり大胆にピケティとマルクスを対比させたにちぶんMOOK版に対し、「21世紀の資本」そのものの解説に的を絞った本書の方がピケティ思想の入門書としては的を得ている。それだけに萌え本の体裁をとった割りに本書の構成にとりたてて創意工夫が感じられないのは残念。
 経済学関連の類書としては上記のほかに、
『(マンガ+講義でよくわかる)経済学超入門 』(東洋経済新報社刊 10/03)、
『(就活女子大生ミユキと読み進める)(マンガ)経済ニュースの裏を読め 』(TAC出版刊 10/12)、
(マンガ)行動経済学入門 』(PHP研究所刊、11/03)、
(まんがと図解でわかる)経済学のキホン(ケインズ理論、マネタリズム…日経新聞に出てくる用語が簡単に理解できる!)(別冊宝島 1876) 』(宝島社刊 12/07)、
『 (まんが図解)まるかじり! 資本論 』(青春出版社刊、14/11)などがあげられる。


総合萌え度 :★☆☆☆☆


紹介ブログ記事:

カバーイラスト担当、ユウリさんのBlog:
decoration ユウリのまったりブログ  2015年04月30日づけ記事より、
http://www.k5.dion.ne.jp/~rats-web/index2.html
「 表紙イラストを描かせていただきました。本日発売です。
ビジネス書の表紙のお仕事は初めてで緊張しました。 」
 カバーイラスト(アマゾンへのリンクあり)を掲載。

SBクリエイティブ紹介ページ
「 壮大なボリュームのピケティ「21世紀の資本」ですが、実は主旨をまとめると、そんなに難しいものではありません。
本書は、「21世紀の資本」のポイントをマンガでやさしく解説。最後に、著者による今後の提言を踏まえ、
普段経済に関心がない方にも読みやすい内容にまとめました。
社会構造を知り、今後どのように豊かになるべきか。さらっと知っておきたい方にお勧めの1冊です。 」
 概略目次、著者紹介の記述あり。


Amazon.co.jp         の紹介頁
honto               の紹介頁
楽天ブックス          の紹介頁
セブンネットショッピング   の紹介頁
紀伊国屋書店         の紹介頁


付記:
Amazonの発売日は04月30日、公式サイトの発売日は同29日。hontoの取り扱い開始日は04月25日。その他の発売日は05月との記載が主。
本書の発行と同時に電子書籍版の配信が開始されている。価格は紙書籍と同額。
 05月03日、郊外型書店で購入。


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