ルーツな日記

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グラミー賞 ノミネート 『Best Americana Album』

2017-02-09 20:05:41 | カントリー
Kris Kristofferson / The Cedar Creek Sessions

「ルーツな日記」的グラミー特集、前回は『Best Folk Album』部門を取り上げましたが、今回はそちらといまいち線引きがよく分からない『Best Americana Album』部門です。気になるノミネート作は以下の5作品。

The Avett Brothers / True Sadness
William Bell / This Is Where I Live
Kris Kristofferson / The Cedar Creek Sessions
Lori McKenna / The Bird & The Rifle
The Time Jumpers (Vince Gill) / Kid Sister


注目は2016年6月22日に80歳になったクリス・クリストファーソン。そのバースデーを祝うかのようにリリースされたのが、まるで彼の長い活動歴の回顧録のような作品「The Cedar Creek Sessions」です。テキサス州のシーダークリーク・スタジオにて、2014年の6月23日、24日、25日の3日間に渡って録音されたという2枚組、25曲。 Tamara Saviano とShawn Camp のプロデュース。Tamara Saviano は、過去にスティーヴン・フォスターのトリビュート・アルバム「Beautiful Dreamer: The Songs of Stephen Foster」でグラミー賞を受賞しているプロデューサー。Shawn Camp は数々のカントリー/フォーク系の作品にギタリスト、ソングライターとして名を連ねる方で、個人的にはジェリー・ダグラスの The Earls Of Leicester でのギタリスト/シンガーとしての活躍が印象的。

そしてバックを務めるのは、その Shawn Camp(Guitar)を始め、Kevin Smith(Bass)、Michael Ramos(Keys)、Mike Meadows(Drums)という布陣。さらに Overdubs として Lloyd Mains(Steel, Slide and Mandolin) 、Fred Memmers (Keys) とのクレジットがあります。Lloyd Mains は、ディキシー・チックスのリードシンガー、ナタリー・メインズのお父さんですね。

何はともあれ、クリス・クリストファーソンの人間味溢れる歌声が素晴らしい。それはおよそ80年という年輪を感じさせる深くも渋い響きであり、柔らかくて、暖かくて、優しくもある味わい。リズムに付かず離れずの愛らしいフィーリングがまた、なんとも土臭さくて良いんでよ! もちろん楽曲も最高ですよ。全てクリス・クリストファーソン自身の作曲もしくは共作。

70年のデビュー作「Kristofferson」から「The Law Is For The Protection Of The People」、「Duvalier's Dream」、「Sunday Mornin' Comin' Down」、「To Beat The Devil」、「Me And Bobby McGee」、「Help Me Make It Through The Night」、「Casey's Last Ride」、「Darby's Castle」、「For The Good Times」と、9曲も選ばれているのが嬉しい。

特に彼を代表する楽曲「Me And Bobby McGee」の味わいは堪らないものがありますね。私が初めてクリス・クリストファーソンの曲を聴いたのはこの曲でして、もちろんそれはジャニス・ジョプリンが歌っていたんですけどね。そして私はジャニスの曲の中で「Me And Bobby McGee」が一番好きで、そこからオリジナルを探してという経緯だったので、ここで、新作として聴くクリス本人によるセルフ・カヴァーは、感慨深いものがありますね。

ジョニー・キャッシュで知られる「Sunday Mornin' Comin' Down」。幾人もに歌い継がれる名バラード「Help Me Make It Through The Night」。近年にノラ・ジョーンズがリトル・ウィリーズで歌ったのも素敵だった「For The Good Times」。名曲の数々が心に沁みる。

71年の2nd作「The Silver Tongued Devil And I」からの「Jody And The Kid」や「Loving Her Was Easier (Than Anything I'll Ever Do Again)」も良いですね。心地よいカントリーフレイバーでしっとりと寄り添うバックの演奏にも舌鼓。78年の「Easter Island」収録の「Lay Me Down And Love The World Away」は軽快なリズムにペダル・スティールが最高! ブルージーな味わいの「The Sabre And The Rose」は低く唸るようなクリスの歌声と、アコギとオルガンの絡みが秀逸。

ジョニー・キャッシュとジューン・カーター・キャッシュのデュエットで73年にヒットした「The Loving Gift」では、唯一のゲストとしてシェリル・クロウが参加し、クリスとスウィートなデュエットを披露。ちなみにこの曲、これまでクリスは公式には録音していない曲だとか。


2枚組というボリュームながら、聴けば聴く程に深みが増す作品。良い曲、良い歌。クリス・クリストファーソンにしか出せない味わいです。




さて、対抗は? それはウィリアム・ベルでしょう! ま、あまりメリカーナで語られる人じゃないですけどね…。





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