ルーツな日記

フジロックが終わり、サマソニ ブログと化しておりますが、
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Preservation Hall Jazz Band @ビルボードライヴ東京

2017-08-13 10:31:53 | ニューオーリンズ
8月11日、ビルボードライヴ東京にてプリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンドのライヴを観てまいりました。

1960年代初頭、古き良きニューオーリンズ・ジャズの伝統を守るべく、プリザヴェーション・ホール専属バンドとして誕生したプリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンド。メンバー交代を繰り返しながらもトラディショナルを演奏し続け、50年に渡ってその指名を果たしてきた老舗バンドです。そんな彼らも近年は、コーチェラやボナルーなどのロック・フェスにも出演し、2014年にはフジロックのため38年ぶりの来日も果たすなど、その活動範囲を大きく広げてきました。アルバム制作でも、2014年には、まさかの全曲オリジナル曲による新作「THAT'S IT!」を、マイ・モーニング・ジャケットのジム・ジェームスのプロデュースによりリリース。そして2017年の最新作「SO IT IS」は、プロデューサーにTV・オン・ザ・レディオのデヴィッド・シーテックを招き、キューバ音楽からの影響を大胆に取り入れた意欲作。こちらは、バンドが2015年にキューバを訪れたことがきっかけに制作されたという、まさに”今”のプリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンドの姿。ニューオーリンズ・ジャズに新たな生命を吹き込むべく、果敢に飛躍を遂げ始めたプリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンド! 私が見たのはこの日の2ndショー。


開演予定時間を少し過ぎた頃、拍手喝采に迎えられステージに現れたメンバー達。ベン・ジャフィ(b)、ロネル・ジョンソン(tb)、クリント・メドゲン(sax)の3人は2014年の来日時から引き続きのメンバー達。そしてカイル・ルーセル(kbd)と、ブランデン・ルイス(tp)は最新作「SO IT IS」から加わった新メンバー。さらにベテラン・ドラマーのシャノン・パウエルは、助っ人的な立場でしょうか? そして本来は長老的存在のチャーリー・ガブリエル(sax)もここに加わる予定でしたが、健康上の理由により来れなくなってしまったそうです。これは流石に残念でしたね…。

ですが、ですが、若手ホーン隊が最高のプレイを聴かせてくれました。1曲目「Over In The Gloryland」は、挨拶代わりにトラディショナルな息吹横溢。テンポを落としたスローな演奏でしたが、愛らしく絡み合う管の音色はこれぞニューオーリンズ! そして歌うはロネル・ジョンソン。時おりゴスペル的な野太いシャウトを交えながら、ふくよかな美声を聴かせてくれました。そして特筆すべきはシャノン・パウエルのドラムス。タメを効かせた、酩酊感のあるビートがえも言えぬ味わいでした。

そしていよいよアップテンポの「Higher Ground」。最新作「SO IT IS」の日本盤にボーナストラックとして収録されている曲。インディアン・ファンク的な掛け声に否が応にも盛り上がる。ここからは”今”のプリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンドの本領発揮です! そして「So It Is」、「Santiago」、「Convergence」、「La Malanga」と、「SO IT IS」からの曲が続く。キューバからの影響をストレートに表しつつも、バンドの醸す雰囲気は流石にニューオーリンズそのもの。それはニューオーリンズの音楽とキューバ音楽の親和性を物語る以上に、音楽地図上におけるニューオーリンズの特異性を肌に感じさせてくれる。

とは言え、ステージはそういった小難しい話を忘れてしまうほどの楽しさに溢れています。何と言っても、丸い体型が印象的なトロンボーン奏者のロネル・ジョンソン。フジロックの時も愛されキャラ的に盛り上げていましたが、今回もとにかく陽気。トロンボーンを客席に向けてブオーン!ブオーン!吹いては満面の笑みを浮かべたり、ステージの端から端へと踊りながら移動したり、コミカルに足をバタバタさせながらソロを吹いたりと、愛嬌たっぷり。もちろん、彼に限らず、サックスのクリント・メドゲン、トランペットのブランデン・ルイスを含むフロントの3人は皆エンターテイナーでしたね。彼らが、立ち位置を変えながら、時に掛け合いしつつ、ソロを回していく様は、古き良きニューオーリンズ・ジャズ以上に、現行ブラス・バンド的な白熱を感じさせてくれました。一方、鍵盤奏者のカイル・ルーセルは終始クールでしたね。ニューオーリンズ・フレイバーなピアノはもちろん、ピッチベンドを用いたファンキーなプレイも印象的でした。彼は若くしてヘッドハンターズやダーティ・ダズンで腕を磨いてきたピアニストで、シャノン・パウエルのジャズバンドでの来日経験もあったりする人。ホーン隊の隙間を縫うように躍動するプレイが光ってましたね。そんなホーンと鍵盤の自由奔放な絡み合いこそ、ニューオーリンズ音楽の楽しさそのものですよ!

そして彼らが自由奔放に出来るのも、要となるリズムがあってこそ。黙々とダブル・ベースを操る、現バンドの頭脳と言われるベン・ジャフィもさることながら、今夜の主役は、シャノン・パウエルでしょう。ハリー・コニック,JR.を始め、数々のアーティストのバックを務めてきた、ニューオーリンズのレジェンド・ドラマーです。彼のタイトでありながら、人間的なおおらかさに溢れたドラミングが、変幻自在なバンド・グルーヴをカチッと締めてましたね〜。その叩き方がまたなんとも魅力的で、私もライヴの半分ぐらいは彼を見ていましたからね。

そのシャノン・パウエルによる観客との「エーメン」のコール&レスポンスから始まったゴスペル「Amen」。ここで一気にニューオーリンズ・トラディショナルな世界へ舞い戻ります。さらに「Down By the Riverside」へ続く黄金のメドレー。ゆったりとしたリズムに乗る、シャノン・パウエルの歌声がまた味わいがあっていいんですよ。終盤になってその歌が教会の説教のような様相を呈してくると、一気にリズムがテンポアップ。ゴスペルの白熱が会場を包み込んでいくと、居ても立っても居られなくなったように、シャノン・パウエルがタンバリンを叩きながらドラムセットから出てきてステージ中央へ踊りでる。もの凄いキレでタンバリンをバシバシ叩くシャノン・パウエルに観客達も大盛り上がり。しかもこのタンバリンのリズムがまた良いんですよ! いやはや、シャノン・パウエルに痺れまくりでしたね!

本編ラストは前作のタイトル曲「That's It!」。現バンドのテーマ・ソングとも言える曲ですね。ゴスペル・メドレーで気をはいたシャノン・パウエルがここでは長尺のドラム・ソロを披露して再度、観客を沸かせてくれました。ベン・ジャフィのベース・ソロも強力でしたね。ベース・ソロ中にメンバー達が「ウナネ〜」みたいな掛け声しているのが、なんともニューオーリンズ的で印象深かったですね。


そしてサプライズはアンコールに。なんと外山喜雄・恵子夫妻がステージへ。プリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンドを見に来るようなお客さんで外山喜雄さんを知らない人はいらっしゃらないのでは?と思いつつ、私の周りにも「あれ?日本人出てきちゃったよ?」みたいな反応している方もいらっしゃって、やっぱり客層はトラッド・ジャズより、現行のニューオーリンズ・グルーヴ好きの方達が多いのかな?なんて思ったり。そんな空気を察してか、外山さん自ら「外山喜雄と申します。日本のサッチモと言われたりしています」と自己紹介して喝采を受けたり。さらに外山さんがニューオーリンズ在住時代にベン・ジャフィのお父さんにお世話になり、プリザヴェーション・ホールに通い勉強したことなどを語る。とりわけ、プリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンド初来日時、ベン・ジャフィはまだ5歳だったという話で盛り上がりました。

そしてお待ちかねの「When The Saints Go Marching In」ですよ。まずはスローなマイナー調でロネル・ジョンソンが歌う。これも何とも味わい深かったですね。そしてアップテンポに華やかに転調すると、我らが外山喜雄さんが、まさしく「日本のサッチモ」な歌声で歌いだす。その本物な歌声に観客達も拍手喝采で応える。バンド・メンバーも嬉しそう。終始クールなカイル・ルーセルも恵子さんと連弾してましたし。外山さんが「ラ・ラ・ラ〜」で観客達とコール&レスポンス。バンドメンバー達も一緒に歌ってアット・ホームな盛り上がりは最高潮に。これぞニューオーリンズですよ。やっぱりニューオーリンズって最高だな!!

演奏が終わって、拍手と歓声の中、ステージを後にするメンバー達。ロネル・ジョンソンは最後までステージに残り、バックに流れるドクタージョンの「アイコ・アイコ」に合わせて、踊ったり、変なブレイク・ダンスしたり、最後の最後まで観客達を楽しませていました。

いや〜、冒険を続けるプリザヴェーション・ホール・ジャズ・バンドの”今”の姿をたっぷりと、古き良きトラディショナルな息吹も伝えながらのおよそ1時間半弱。ホント、笑顔の絶えない素晴らしいライズでした。ニューオーリンズ万歳!!!



この日のセットリスト↓

Over In The Gloryland
Higher Ground
So It Is
Santiago
Convergence
La Malanga
Amen / Down By the Riverside
That's It!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
When The Saints Go Marching In





ベン・ジャフィ / Ben Jaffe (Bass, Tuba)
クリント・メドゲン / Clint Maedgen (Saxophone)
ロネル・ジョンソン / Ronell Johnson (Trombone)
シャノン・パウエル / Shannon Powell (Drums)
カイル・ルーセル / Kyle Roussel (Piano)
ブランドン・ルイス / Branden Lewis (Trumpet)


ゲスト 外山 喜雄・恵子





シャノン・パウエルがプレイしたドラム・セット。バンドのロゴが格好良い!!



何処かでベン・ジャフィが使うことを楽しみにしていたスーザフォンでしたが、結局、この夜は使われることはありませんでした…。



メンバーの足下に貼られていたセットリスト。全然この通りじゃないし…。



チャーリー・ガブリエルのキャンセル告知。御高齢ですので、健康上の理由というのは心配ですね。早く元気になってもらいたいです。
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