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太陽風が火星を不毛な環境にした? 大気喪失メカニズムによる気候変動

2015年11月13日 | 火星の探査
かつて大気があり温暖で水が存在していた… っと考えられている火星。

太陽風が、この火星の大気を吹き飛ばし、
冷たく乾燥した不毛の惑星に変化させてしまったということが、
NASAの研究から分かってきました。
太陽風によって流出する火星の上層大気中のイオン(イメージ図)。


太陽風による大気の喪失

NASAの火星探査機“メイブン”の観測データから、
火星の大気は、太陽からのプラズマ風(太陽風)によって浸食され、
宇宙空間へ放出されているそうです。

その量は毎秒約100グラム。

たった100グラムと思うかもしれませんが、
長い年月が経てば相当な量になるんですねー

“メイブン”が調べているのは、太陽風と紫外線によって、
火星の上層大気から、どのようにガスがはぎ取られるのかということ。

最新の調査結果によると、
喪失は3つの異なる領域で起こることが示されています。

その割合をイオンの量で測ると、
太陽風の尾の下手(火星の夜の側)からは約75%、火星両極の上方から25%。
さらに、火星を取り巻いて広がるガス雲からも微量な喪失が起こっているんですねー

そして、今年の3月に複数の太陽風が火星に衝突した際、
大気の喪失が加速したことも明らかになります。

こうした大気の喪失により、火星の気候変動が引き起こされたようです。

太陽が若く、もっと活発に活動していた数十億年前には、
大気喪失の割合は、はるかに大きかったと考えることができます。


気候変動の主な要因

火星には、河川によって削られて出来たように見える谷のような特徴や、
液体の水の存在なしには作られない堆積した鉱物など、
過去に水が豊富に存在していたと思われる跡が発見されています。

こうした特徴から、
数十億年前の火星は現在より、はるかに厚い大気を持ち、河川や湖、
さらには液体の海ができるほど温暖であったと考えられています。

最近では、季節変化と共に現れる水和鉱物(含水鉱物、含水塩)が、
NASAの探査機“マーズ・リコナサンス・オービター”によって観測され、
液体の塩水の存在を示す強力な証拠として考えられています。

でも、現在の火星の大気は、
表面に液体の水を長く保つには温度が低く薄すぎるんですねー

このように火星の環境を変化させたのは何か?

それが太陽風による大気喪失メカニズムになり、
火星の著しい気候変動の主な要因として重要になるわけです。

そして、2013年11月に打ち上げられた“メイブン”の主目的が、
「どのようにして太陽が火星の大気に変化をもたらしたか?」
を明らかにすることでした。

目指すゴールは、
「火星の大気と水が、どのくらい宇宙空間へ放出され失われたのか?」
を解明すること。

“メイブン”は観測開始からちょうど1年が経ち、
11月16日で初期ミッションを完了となります。

ちなみに、地球の中心部には鉄でできた核があるので磁場が発生し、
その磁場が地球を守っているそうです。


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