マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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家の行事記録

2012年01月30日 06時44分39秒 | 山添村へ
県内のとある村に住む男性は家の行事のメモを残されている。

そのことを知ったのは田の虫送りを終えたときだった。

真っ暗な路上で話をしていた。

作法など、ことの詳細を聞きたくて訪ねていった。

記録はオコナイや弓初めなど村の行事も記されている。

数年前に取材させていただいたオコナイでは子供が樫の木の棒で縁を叩いていたようだ。

その叩き方は神主が教えていたのだった。

オコナイではごーさんが配られる。

それは春の社日の際に苗代へ挿す。

苗はJAで購入するようになってからは田んぼに変わった。



昨年同月にはこの地を訪れていた。

ひょいと見つかったのがオコナイのごーさんだった。

まさか、それを立てていたのがご主人だったとは思いもせんなんだ。

1月7日は山の神。

「カギヒキ」の際に唄われている歌詞があった。

「西の国のいとはた 東の国のいとばた 赤牛は米つけて うちの蔵へどっさりこ」の台詞を残したのは先代だそうだ。

1月11日は農耕の初めとして行われる「打ち初め」。

家の田畑を鍬で三回打つ所作をする。

年のはじめに五穀豊穣を願って田畑を耕すのだ。

その場には持っていった洗い米と小豆を供えて豊作を祈る。

同月14日はブトの口焼き。

ブトは蚋と書いてブヨとも呼ぶ身体を刺す虫だ。

その夜は火鉢に火を点ける。

餅をちぎっていろんな害虫の名前を言いながら火で焼く。

焼くモチはブトの変わり身であろう。

農耕の際に刺されないように、或いはハミ(ヘビ)に噛まれないようにとするまじないである。

それをしておけば一年中、虫に刺されないといって最後にモチを食べてしまう。

虫を退治したという意味があるのだろう。

現在は成人の日に行われているとんどの日。

同月15日は小豆粥を炊く。

モチを少し入れて神棚に供える。

その日の朝は各大字でとんどが行われる。

書き初めの書を燃やしているとんどだ。

その火でモチを焼いて持ち帰り一枚ずつ家人とともに食べる。

とんどで焼いた青竹は狐色になる。

その部分を削り取って持ち帰り、味噌桶の蓋の上に置く。

そうしておけば味噌の味が変わらないという。

植え初め、植え終いもあったが極めつけは「オツキヨウカ」だ。

前庭の塀に括りつけたオツキヨウカ。

長い竹を竿のようにして立てる。

その先には紅いベニツツジと黄色い花のヤマブキを十字に括っている。

それは毎年されており毎回写真を撮っている。

記念の一枚は「平成○年 お月八日」の看板をあげて撮っているのだ。

話だけではその大きさが判らなかったが写真で事実が見えた。

前日の7日午後に作っておいて夜に立てる。

お神酒などをおまして翌日はそのままにしておく。

そうして9日の午前中には倒してしまうという。

先月はイノコモチも作ったというご主人の話の様子はいつか確かめてみたい。

(H22.12.20 SB932SH撮影)
(H23.12.23 記)