マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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福住町別所の正月イタダキとカンマツリ

2011年02月03日 08時27分14秒 | 天理市へ
正月を家族で迎えるイタダキは家の行事だ。

福住町別所にはテラ垣内、ナカ垣内、オモテ垣内とマルオ垣内がある。

それぞれは4軒ずつぐらいしか居ないという。

そのマルオ垣内の数軒だけに残されている大切な家の行事。

今でもそれをしていると拝見させていただいた。

雑煮を食べる前に行う家の儀式がイタダキ。

それは5段重ねのモチが一際目立つ。

30日ころに搗いたモチだ。

コンブを敷いて垂らす。

その上には葉付きのダイダイ。

前にはお手製の干しカキが10個。

串に挿してあるからクシガキだと呼ぶ。

藁で枝部を挟んで吊した状態ならそれはツルシガキと呼ぶ。

腰にはウラジロの葉が広がる。

その膳には伊勢さんから授かったアマテラス大神宮のお札と今年の暦の本が添えられている。

何も喋らずにイタダキの膳を頭の上に掲げる。

「イタダキしいやー」と言って家族一人一人がその行為をする。

家長がしなければ正月が始まらないイタダキの儀式なのだ。

その日の朝は玄関に藁で作った棒のような長いものをぶら下げる。

その棒の下部は折り曲げている。

藁紐で結び外れないようにしている。

手の形というか、杓子の形か判らないが、その内部にクシガキを2個、モチも2個、コウジミカンは1個を供える。



「外の神さんが来やはんので供える」という昭和2年生まれのNさん。

これをカンマツリと呼んでいるが充てる漢字は判らないという。

大晦日から降った雪は山間部を雪景色にかえた。

なにもかもが真っ白だ。

カンは素直に考えれば「寒」という字だろう。

が、だ。

カンはカミ(神)が訛ったものと考えたらご主人がいう外の神さんに一致する。

外の神さんは家に入らないのだろうか。

歳神さんとも違う神さんのようではないかと思っていた1ヶ月後。

大和郡山市番条町の住民が書き残した「我が家の年中行事とその食べもの」には形式が異なるものの同じような作法をしている内容が見つかった。

大晦日に当主が作られた「ドウガン」を玄関や門に飾る。

それは注連縄と同じ様式でウラジロ、ユズリハ、ダイダイ、スミが括りつけてある。

このユズリハにカンマツリとの類似性がみられるのだ。

正月三が日は葉を丸くしたユズリハに炊きたてのゴハンを入れる。

ユズリハはお皿のような具合なのだ。

当時取材させていただいた当主は歳神さんに食べてもらうのだと言っていた。

その当主の奥さんが書かれた家の年中行事には夕ご飯の炊きたてゴハンを丸箸で木の皿に取ってユズリハに供えたとある。

その数は多く50カ所も。

輪っかの七五三注連縄のユズリハにも供え廻ったそうだ。

番条町ではこれを「神祭り」と呼んでいた。

この文からも見てとれるように別所で言う「カンマツリ」と似ている。

祭る道具は違えども番条町の「神祭り」と同じ様そうであることから、歳神さん若しくは「外の神さん」と呼ばれる神さんに供えたのではと思われる。

(H23. 1. 1 EOS40D撮影)
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