本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

中東から世界が崩れる

2016-12-10 11:47:17 | Weblog
■本
94 中東から世界が崩れる イランの復活、サウジアラビアの変貌/高橋 和夫
95 中国 目覚めた民衆―習近平体制と日中関係のゆくえ/興梠 一郎

94 複雑化している中東情勢を、歴史的な背景も含めわかりやすく解説してくれるよい本です。対立の背景としてわかりやすい、シーア派、スンニー派といった宗教的な違いや、アラブ人、ペルシャ人といった民族的な違いから説明するだけでなく、他の地域紛争の原因と同じく、地政学的な利害対立という軸から説明してくれている点が、この問題を過度に特殊なものとしてとらえることなく理解するのに役立ちます。権力者側(シリアのアサド大統領などは、敗北した時点で処刑されるのはほぼ確実でしょうから)も、虐げられる庶民側も結局は生き残るために必死に戦っている、というごく基本的なことへの理解は、どの世界情勢を見る上でも必要だと思いました。

95 世界情勢への関心が高まったので、続いて中国に関する本を読みました。94の本とは違い、こちらは周辺国家間の関係よりも、ネットの普及によって活発化した、中国の民衆デモの背景から、現代中国社会の矛盾を分析した本です。日本では、反日デモばかりがクローズアップされますが、官僚の腐敗や理不尽な地上げにより、格差が広がり厳しい生活を強いられる人々の怒りが生々しく伝わってきます。土地所有ができない共産主義国で、所有できないが故に、国側の都合で土地使用権がわずかな補償金で奪われるという矛盾を知らなかったので勉強になりました。政党、議会、軍隊、司法の独特の力関係についても解説してくれているので、中国という国を理解するための基本的な知識も得られます。ただ、個別のデモの人間関係など細部の解説に力が入りすぎるあまり、マクロ的な視点が若干欠けているところが残念でした。


■CD
72 Darkness & Light/John Legend

 前作「Love in the Future」に引き続き、重厚で落ち着いた雰囲気の作品となっています。前作に収録されていたバラード曲「All Of Me」の大ヒットで手ごたえを得たのか、ミドルテンポの朗々と歌い上げる壮大な楽曲が多いです。万人受けした大ヒットとはならないかもしれませんが、アップテンポな曲がなくても、飽きさせず最後まで聴かせられるという自信と円熟味が感じられる作品です。


■映画
82 ALWAYS 三丁目の夕日/監督 山崎貴

 ストーリー、映像、役者の演技(特に薬師丸ひろ子さんの母親役が秀逸です)とも完成度の高い映画ですが、作り手側の「泣かせてやろう」という意図があまりにも見えすぎて、個人的には少し興ざめでした。でも、この「わかりやすさ」が、普段映画を観ない人を映画館に引き寄せる力となっているのかもしれません。実際の昭和30年代の日本というよりも、美化された思い出としての過去を巧みに映像化したところも、志が高いかどうかは別として、この作品が興行的に成功した要因だと思います。
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