本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

あん

2017-02-12 10:38:12 | Weblog
■本
10 だから日本はズレている/古市 憲寿
11 サブカル・ニッポンの新自由主義/鈴木 謙介

10 タイトルに象徴的なように、相変わらずの挑発的な文体ですが、「『ソーシャル』に期待しすぎるな」(ソーシャルメディアと相性がいいのはせいぜい数千から数万の顧客を対象にする業界で、すみ分けはできてもマスメディアの代替とはなり得ない)、「『若者』に社会は変えられない」(社会を変える「権力」や「財力」を持っているのは老人だから)など、極めて正論な主張が多いです。「若者」と「おじさん」の世代間対立を煽るわけではなく、それぞれの固定観念を軽妙な語り口でロジカルに解きほぐしていく手腕も見事で地頭の良さを感じます。古市さんがいろんなメディアに重宝がられているのも納得の内容です。

11 引き続き私の中で社会学ブームが続いているため、古市さんの「古市くん、社会学を学び直しなさい!!」の中で紹介されていたこの本を読みました。サブタイトルの「既得権批判が若者を追い込む」にある通り、若者が正社員など既得権を批判することが、逆に自分がその既得権側(それは正社員といった経済的に明らかに優位な立場だけでなく、フリーターでも定職があるだけましとして、わずかな優位性だけでも既得権側になり得る)になった際に批判される側に回るという、批判の無限ループが生じることに警鐘を鳴らしている本だと私は読みました。そのための処方箋の一つとして、希少資源を奪いあうことのない、サブカルチャーを通じた交流に活路を見出しているように私は理解しました。私の読解力不足のため、どこまで正しく著者の主張を理解しているかは自信がありませんが、新自由主義の競争環境のため過酷な環境に置かれる若者に対して、過度な自己啓発や他者批判を超えた処方箋を提示しようとしている試みは評価されるべきだと思いますし、かすかながらも今後に対する希望に溢れた本だと思います。


■映画
10 あん/監督 河瀬 直美

 河瀬さんの作品はどちらかと言えば、日本の美しい自然描写で圧倒するタイプの難解な監督というイメージでしたが、この作品は郊外の桜並木など映像の美しさはもちろんのこと、脚本や俳優陣の演技もすばらしく、わかりやすくも奥深い素晴らしい作品です。時にクドく感じられる樹木希林さん独特の演技も、この作品では程度に抑制が効いた絶妙のさじ加減で、見事な演出だと思います。永瀬正敏さん演じるどら焼き屋店長や、そこで働く樹木希林さん演じるあん作り名人のミステリアスな過去で引っ張っていくストーリー展開も見事です。ハンセン病問題という難しい題材を、過度に感情的にならず、真摯な目線で描かれている点も好感が持てます。
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