本、CD、映画日記

目標は年間読書100冊。その記録と目標管理をかねたブログです。

ロング・グッドバイ

2017-07-16 10:30:20 | Weblog
■本
53 ロング・グッドバイ/レイモンド・チャンドラー
54 知性の顚覆 日本人がバカになってしまう構造/橋本 治

53 村上春樹さんの翻訳版が出た直後に購入しましたが、その長さに何度か挫折していました。この春に「村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事」を読んだのを契機に、一念発起して読み遂げました。ロバート・アルトマン監督の映画版の印象がまだ強烈に残っていたので(エンディングとかは全然違っていて驚きました)、どうしてもフィリップ・マーロウがそのイメージに引っ張られましたが、権力に一切屈っさず、自分の信念に従う主人公の姿は魅力的です。村上春樹さんの翻訳は読みやすく、翻訳ものにありがちな登場人物の混乱もほとんどありませんでした。村上春樹さんご自身による巻末の解説で、この作品と「グレート・ギャツビー」との類似性が指摘されている点も興味深かったです。村上春樹さんの文体や作品の構造がいかにレイモンド・チャンドラーの影響を受けているか、そして、その影響下でいかに、村上さんがご自身の個性を作品に付加しているのか、ということがよく理解できたので楽しい読書体験でした。

54 数年前に橋本治さんの新書にはまったのですが、先日、新聞の書評でこの本が取り上げられていたので読んでみました。相変わらず、論理展開がトリッキーで、「ヤンキー」、「大学」、「東京の山の手」など次々に展開される関係なさそうな話題に、どのような結論になるのかドキドキしながら読みました。結局、豊富な歴史的知識や鋭い分析力に基づき、「ブレグジット」や「トランプ現象」の背景にある「反知性主義」や「経済発展の限界」に見事に着地します。自分の周囲の「均質なみんな」のことだけを考えるのではなく、もっと俯瞰的な視点で、「それぞれの立場を持つ多様性のあるみんな」を視野に入れて考えることが、「知性」であると啓蒙されている本だと私は読みました。実際はなかなかそのような知性を身に着けるのは難しいですが、考え続けることは必要なのだと思います。


■CD
34 Nashville Skyline/Bob Dylan

 村上春樹さんの「騎士団長殺し」の主人公が聴いていたので、私も手元に置いておきたくなり購入しました。ボブ・ディランの最高傑作は「Blood on the Tracks」だと個人的には思っていますし、客観的に見ても完成度は「Highway 61 Revisited」、「Bringing It All Back Home」や、中期のダニエル・レノアによるプロデュ―ス作品、そして、21世紀に入ってからの「Modern Times」あたりの方が高いと思いますが、ボブ・ディランという人物を理解する上では欠かせない作品です。ダミ声が代名詞のボブ・ディランが、美しい声で朗々とカントリーソングを歌いあげています。初期の地位を確立した、「Blonde on Blonde」、「John Wesley Harding」といった作品の流れで、このような地味で個人的な作品を作る肝の据わり方が恐ろしいです。それでいて、単なる美しい曲で終わらない、得体のしれない狂気というか不気味さが奥底にあるような気がして、聴くたびに新しい引っかかりを感じる奥深い作品です。


■映画
41 デンジャラス・デイズ メイキング・オブ・ブレードランナー/監督 チャールズ・デ・ラウジリカ

 先週に「ブレードランナー ファイナル・カット」を観た勢いで、そのメイキング・ドキュメンタリーを観ました。出資者、監督、キャスト、各スタッフなどのインタビューをベースに、映画の実際のシーンやメイキング映像を交えながら、いかにこの映画の制作が大変だったかがあぶり出されています。脚本家の突然の解任、監督のリドリー・スコットと制作スタッフのいざこざや、明確には語られていないものの、キャスト間の微妙な関係性が垣間見れて、およそ仕事をする上でベストとは程遠い環境にも関わらず、歴史に残る傑作が生み出されたということに驚かされます。リドリー・スコットの執念と、各スタッフのプロ意識の賜物だと思います。この映画の独特の雰囲気を醸し出している、煙漂う夜のシーンが、低予算の制約から生まれた苦肉の策であったことが興味深かったです。制約条件が、ときにクリエイティビティに良い影響を与えるという好事例だと思います。
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