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『八月の光』(読書メモ)

フォークナー(諏訪部浩一訳)『八月の光(上・下)』岩波文庫

あまり知りもしないで、アメリカ小説をバカにする傾向にあったが、久々に重厚な小説を読んだ

黒人差別が色濃いアメリカ南部を舞台に繰り広げられるストーリー。遊び人に逃げられた若い娘(妊娠中)、その娘に一目ぼれしてしまった不器用な中年男性、黒人の血が混じっているのではないかと悩む(一見)白人の男、妻に不倫されたあげく自殺されてしまった元牧師などが絡み合う複雑な小説である。

『八月の光』というタイトルとはほど遠い「陰鬱な」話しが続くのだが、フォークナーは当初『暗い家』(Dark House )と名づけようとしていたらしい(ちなみに『暗い家』のほうが内容とフィットする)。

一番惹きつけられたのは、ハイタワーという元牧師。

町の教会をクビになって隠遁生活をしているハイタワーが、小説の最後のほうで、意識下に押し込めていた自分の罪に気づく場面がある。このシーンは圧巻である。

全体を通して「輝かしい光」を実感できることは少ないが、どんなに暗い人生であっても、「一筋の光」は存在する。そんなことを示唆してくれる小説である。










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