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『あなたに褒められたくて』(読書メモ)

高倉健『あなたに褒められたくて』集英社文庫

健さんのエッセイは、不思議である。

肩の力が抜けた自然体の文章で、ポツリポツリと語りかけてくる。インパクトがあるわけでもないが、何か心に響くものがある。

いろいろな話が沁みてくるのだが、やはり表題にもあるお母さんの思い出が印象に残った。

映画『八甲田山』を観にいったお母さんのコメント。

「あんたも、もうこんだけ長い間やってるんだから、もうちょっといい役をやらしてもらいなさいよ」(p.197)

しかし健さんは、撮影のために、お母さんの葬式に出られなかったという。

お母さん。僕はあなたに褒められたくて、ただ、それだけで、あなたがいやがっていた背中に刺青(ホリモノ)を描(い)れて、返り血浴びて、さいはての『網走番外地』、『幸福の黄色いハンカチ』の夕張炭鉱、雪の『八甲田山』。北極、南極、アラスカ、アフリカまで、三十数年駆け続けてこれました」(p.203-204)

お母さんの力って、すごいな、と思った。





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