アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

伝統の現在’(ダッシュ)1 あの大鴉、さえも

2006年06月13日 | 狂言・能・浪曲・雅楽


2003年10月23日  紀伊国屋サザンシアター

 『あの大鴉、さえも』なんと懐かしい響きだろう。
”戯曲があるはず”と、探してみたけど見つからず…
”観たことあるはず”と、記憶を溯ってみたけど思い出せず…
インターネットで検索!なんて思ったんだけど
「80年代の演劇情報なんて、詳細にあるわけないじゃ~ん」
と独りごち…。TVで観たのかな~。

『竹内銃一郎』なんと懐かしい名前だろう。
彼の劇団『秘法零番館』が私は好きだった。
“演劇ブーム”吹き荒れる80年代。
野田秀樹「夢の遊眠社」鴻上尚史の「第三舞台」が
圧倒的な人気を誇っていたっけ。
90年代後半から『静かな演劇』と称して「青年団」平田オリザが絶賛されちゃってさ。
「な~に言ちゃってんの。元祖は竹内銃一郎だったり、太田省吾「転形劇場」だろ~」
でも、今の演劇っ子って、彼らの存在知らないんだろうな。

それを、京都大蔵流の若手狂言師が知っていたとは!あ~ビックリ。
この21世紀に『あの大鴉、さえも』が、舞台に乗るとは思わなんだー。
しかも原作者の竹内自身が演出するとは!2度ビックリ。

今迄も新作狂言等、常に新しいものへ挑戦してきた大蔵流の若手達。
茂山一家は、80歳代の千作を筆頭に三世代が活躍中。
その中の20代~30代の3人組(正邦・宗彦・逸平)でユニットを組んだ。
その名は《伝統の現代’(ダッシュ)》
”狂言と現代演劇を結びつけ、伝統を現在に継承していく”
企画第1弾がこれなのだ。

客席は9割りの入り!4日間も公演があるんだから、もっとスカスカだと思ってた。
女性客の会話も“茂山家”の話だ…。
茂山家の人気って関西限定だと思ってたのにー。
なーる、”狂言といえば野村萬斎”。という人ばかりではないのだな。

じゃぁ、この中に竹内ファン、即ち演劇ファンはどれ程?。
御老人もチラホラいらっしゃいましたが、
ありゃ演劇ファンじゃなかろー。狂言ファンだろー。
OH!評論家の水落潔氏の姿も。

開演前から、スモークの匂いが…。イイ匂いだ~
舞台装置は、キュビズム系っちゅうかなんちゅうか、
壁に、派手目の色が何色も塗ってある。
水道の蛇口が両脇に一個づつ。
中央には「三条」と書かれた表札。


 あの大鴉、さえも

下手より、男達の足音がドスドス聞こえ、やがて大きくなる。
男は3人。
巨大なガラスを運んでいる。…らしい。透明だから見えないよ。
お届け先の「山田さん」家が見つからない~。
道に迷っているようで、既に体力も限界のようだ。
「白い壁に沿って行くと突当りを…右だ」
「直ぐ判るって、親方が言ってた」
「聞き間違えたんじゃないの?」
「足が痒い…」
「勝手に動くなよ!」

3人はガラスを手に立ち往生ならぬ中腰往生~。
「まさか、この家じゃないよな」
三条と書かれた表札を見て、またスッタモンダ。

この3人の服装が、まさに現代の若者。
労働者というよりフリーターって感じのラフな格好。
昔観た時は、繋ぎの上下だったような…
演者も、もっと中年だったから「ガラス運び」にリアリティがあったな。

若い3人は、『戯曲に忠実』に上演することにしたそうで
台詞に「婦人倶楽部」なんて言う雑誌名が出てくるんだけど、
客席に漂う「…」はどうしたもんだろうね…
言ってる本人達も知らないらしいし。
銭湯でパンツ洗う話もあった…。

台詞劇だから、台詞がたっぷりなんだけど…《演劇って生き物だ》と痛感。
何十年も昔の《今》は、現代の《今》と異なる事を頭では理解してる。
けど、ここまでリアリティが無いとは…。
こんな急速に、我らの感覚は変化しているのか…。
なんとも複雑な気持ち。
その時代を知らない人が「へぇそんな時もあったんだ」
知ってる人は「こんな若い子らがそんな話を!」
って異表をついたつもりらしい、でも面白さとして、あんまりこっちに届かなかった

京都の狂言師が、もうひとつチャレンジした事は「標準語」
本人達も後で言ってましたが「少し訛った標準語」になっとりました。
やっぱり腹の底から喋れないのだろうな。
こっちも耳障りが良いわけではなし…

「リアリズムとは違う質の芝居として成立させたいと思った時に、
若い狂言師と出会って、非常に面白いんじゃないかと思った」
「狂言をふまえてこういう世界が出来るんだ。
という風に芝居が最終的に出来ればいいな」(竹内銃一郎)
そう出来ていたら深みがあっただろうけど、残念ながら全く感じられなかった

彼らの持っている「大鴉(大ガラス)」は、観客の想像を膨らませ
人生感やら、悩みやら、未来やらに見えたり、
人間関係そのものを見せたり、人間の業にまで思いを馳せたり…
いわゆる『不条理劇』なのだけれども、私にはとてもそうは見えなかった~
ベケットの「ゴドーを待ちながら」の一説を演って
アナウンスで説明したのにもひっくり返ったけど。
舞台上の何物にも現実味を感じなかっらからだろうか。

『不条理劇』とは、難しいものよのぉ。
朝日新聞に『不条理喜劇』と書いてあったけど、
不条理の中に笑いは常に含まれているはずで、わざわざ『喜劇』と入れる事もなかろー。
『ナンセンス喜劇』とも書いてあって、…そりゃぁ違うべよぉ~。
というより、そうは見えなかった。
『前衛喜劇』と称していたのが日経新聞で、この言い方がBESTなのか…も。

彼らの父親達、茂山千五郎・七五三・千三郎が、あきらの演出で、
20年前に“当時流行の不条理劇を関西弁で狂言の色を損なわず”にやった事があるそう。
これの方が、十二分に面白かったことでしょう。

幕が降りた後、
余興として、冒頭の登場場面を《狂言風》に再現した。これが最高!
しかも、狂言らしく擬音語で!あっさりガラスを割っちゃうのであった。
やっぱり、言葉がナチュラルな感じがしたし、地に足が着いてた。
観てる方も安心するんだよね。自然と笑いも起こるし。不思議なもんだ。

最近の舞台は、《トークショー》なるものが流行ってまして、
劇場で終演後、日にち限定で開催されるのが常ですが、
こいつらは、毎日やる事に決めたそう。
「僕らは本当は狂言師なんです」って今更そんな事言うか~。
気さくに、関西弁で喋る彼ら
「2日目なのに足がパンパン」
「サロンパスの匂いが舞台に充満してる」

こいつら一応全国ツアーになってるのに最後まで出来るんかいな?

「全国」行っちゃうのが、狂言師茂山家の知名度の高さを示してるね。
東京・仙台・新潟・京都・大阪・福岡・広島・相模原~。驚きッ!
これを10月から来年2月にかけて廻るんだと。
その間、本職で年末は忙しいし、年始もまたまた稼ぎどころで神社や能楽堂、
劇場で演るのは当たり前!突っ走っるよ。こいつら~。
元旦は、若手が大阪の何たらっちゅうタワーの…OAPタワーの、
その38Fスカイプラザ特設舞台で「新春天空狂言」トーク付き!

《伝統の現代’(ダッシュ)》なんと!次回が既に決定しておる!
2004年6月の下北沢・本多劇場にて竹内銃一郎新作公演決定!!
早い!小劇場のメッカに登場しようとは~!
しかも竹内の書き下ろしっっ!!
こいつは、きっと面白くなる!行く!行く!
80年代の旗手と、21世紀の伝統芸能継承者がタッグを組む!
今度こそ何か新しい事件が起きそな。ワクワク。

竹内ばかりでなく、なんと太田省吾までも、ここに来て活動再開。
爺になった彼らが、今何をやろうとしているのか。
演劇界に、小波が立ちそうで嬉しい

その他のレポはこちら
  伝統の現在’(ダッシュ)
      2 BIRD★SHIT/梟
      4 「食卓秘法」+狂言蝸牛

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