旧「ミドリ十字」の血液製剤「フィブリノゲン」の投与を受けてC型肝炎ウイルスに感染したとみられる418人のリストを厚生労働省と製薬会社が持っていながら告知せずに放置していたことが、明らかになりました。
厚労省は、これまで「個人を特定できる資料は持っていない」と説明し、製薬会社に告知を指示するなどの対策も取ってきませんでした。また、リストの中に国と製薬会社を訴えている裁判の原告とみられる人が9人含まれ、このうち2人について、厚労省は「血液製剤が投与された事実を認めるには不十分」と主張していたといいます。
1996年に和解した薬害エイズの際にも、非加熱製剤による感染の危険性を認識していた研究資料を隠していて、対策の遅れが被害の拡大を招きました。厚労省はその教訓を全く生かしていませんでした。大臣が代わり、新しい資料が出てくるという構図は依然として変わっていません。
『<ぱさぱさに乾いてゆく心を/ひとのせいにはするな/みずから水やりを怠っておいて>。詩人の故茨木のり子さんの『自分の感受性くらい』はこう始まり、次の一節で締めくくられている。<自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ>。しかられていると感じる人は、まだ感受性がある方なのだろう▼
何も感じない人が「官」の世界で増えているのでは、との思いをこの数日深くする。厚生労働省では薬害肝炎の問題について、患者個人の特定につながる情報を把握しながら、本人に伝える努力を怠っていた。早く知ることで、症状の悪化を防げた患者もいたに違いない▼(中略)茨木さんの先の作品には<初心消えかかるのを/暮しのせいにはするな>とのくだりもある。初心を思い出してみよう。おそらく感受性を守ることにつながる』(2007.10.23 東京・筆洗)。
『中でも、相変わらずなのは中央省庁。日ごろ広聴や広報活動の充実強化を盛んに宣伝しているが、「三猿」状態に変化の跡はうかがえない。海上自衛隊の給油量の間違いを隠し続けていた防衛省、薬害肝炎の感染者に事実関係を伝えていなかった厚生労働省。前者は文民統制に、後者は国民の健康に深くかかわる重大な問題であるにもかかわらず、だ。
気付いていながら「言わざる」を決め込む官僚たち。火の粉がわが身に降りかかるのを避けようとする、無責任な体質のなせるわざに違いない』(2007.10.23 高知・小社会)。
C型肝炎は血液を介してウイルスで感染し、自覚症状がないまま、肝硬変、肝がんへ進行する場合があり、早期に因果関係が分かり治療を受ければ、進行を抑えることができるはすです。血液製剤の製造元が、問題のリストを厚労省に提出した2002年の時点で適切な処置がなされていれば、多くの症状の悪化を防げた可能性があります。
血液製剤投与によるC型肝炎の患者は、全国5カ所で国と製薬会社を相手に損害賠償請求の訴訟を起こし、地裁レベルでは国の1勝4敗。大阪高裁は和解の話し合いを始めたばかりです。
『新聞で「薬害肝炎の提訴検討」の記事を見て、たんすの奥にしまっておいたカルテのコピーを引っ張り出す。投与された薬剤が何種類も書き込まれた一番下の小さな文字に目がとまる。「フィブリノゲン」。やっぱり、これだった◆愛媛県今治市の武田せい子さんが、薬害C型肝炎と気付いたのは二〇〇二年六月だ。十四年前に子宮筋腫の手術を受けていた。その時に使用されたのが汚染した血液製剤だった。肝炎は慢性化した◆
インターフェロン治療に挑んだ。副作用の熱で震えが止まらなくなる。漢方医も訪ねた。がん移行の恐怖は消えない。意を決して大阪地裁への第一次提訴に加わった。「原告番号一番」。実名も公表した。治療体制の整備は一刻を争うからだ◆武田さんを含め百七十一人が、全国五つの裁判所で国と製薬会社の責任を問い続けている。既に五人の原告が亡くなった。命を削る戦いの背後には、百五十万人以上といわれるC型肝炎患者がいる』(2007.10.17 神戸・正平調)。
厚労省は、これまで「個人を特定できる資料は持っていない」と説明し、製薬会社に告知を指示するなどの対策も取ってきませんでした。また、リストの中に国と製薬会社を訴えている裁判の原告とみられる人が9人含まれ、このうち2人について、厚労省は「血液製剤が投与された事実を認めるには不十分」と主張していたといいます。
1996年に和解した薬害エイズの際にも、非加熱製剤による感染の危険性を認識していた研究資料を隠していて、対策の遅れが被害の拡大を招きました。厚労省はその教訓を全く生かしていませんでした。大臣が代わり、新しい資料が出てくるという構図は依然として変わっていません。
『<ぱさぱさに乾いてゆく心を/ひとのせいにはするな/みずから水やりを怠っておいて>。詩人の故茨木のり子さんの『自分の感受性くらい』はこう始まり、次の一節で締めくくられている。<自分の感受性くらい/自分で守れ/ばかものよ>。しかられていると感じる人は、まだ感受性がある方なのだろう▼
何も感じない人が「官」の世界で増えているのでは、との思いをこの数日深くする。厚生労働省では薬害肝炎の問題について、患者個人の特定につながる情報を把握しながら、本人に伝える努力を怠っていた。早く知ることで、症状の悪化を防げた患者もいたに違いない▼(中略)茨木さんの先の作品には<初心消えかかるのを/暮しのせいにはするな>とのくだりもある。初心を思い出してみよう。おそらく感受性を守ることにつながる』(2007.10.23 東京・筆洗)。
『中でも、相変わらずなのは中央省庁。日ごろ広聴や広報活動の充実強化を盛んに宣伝しているが、「三猿」状態に変化の跡はうかがえない。海上自衛隊の給油量の間違いを隠し続けていた防衛省、薬害肝炎の感染者に事実関係を伝えていなかった厚生労働省。前者は文民統制に、後者は国民の健康に深くかかわる重大な問題であるにもかかわらず、だ。
気付いていながら「言わざる」を決め込む官僚たち。火の粉がわが身に降りかかるのを避けようとする、無責任な体質のなせるわざに違いない』(2007.10.23 高知・小社会)。
C型肝炎は血液を介してウイルスで感染し、自覚症状がないまま、肝硬変、肝がんへ進行する場合があり、早期に因果関係が分かり治療を受ければ、進行を抑えることができるはすです。血液製剤の製造元が、問題のリストを厚労省に提出した2002年の時点で適切な処置がなされていれば、多くの症状の悪化を防げた可能性があります。
血液製剤投与によるC型肝炎の患者は、全国5カ所で国と製薬会社を相手に損害賠償請求の訴訟を起こし、地裁レベルでは国の1勝4敗。大阪高裁は和解の話し合いを始めたばかりです。
『新聞で「薬害肝炎の提訴検討」の記事を見て、たんすの奥にしまっておいたカルテのコピーを引っ張り出す。投与された薬剤が何種類も書き込まれた一番下の小さな文字に目がとまる。「フィブリノゲン」。やっぱり、これだった◆愛媛県今治市の武田せい子さんが、薬害C型肝炎と気付いたのは二〇〇二年六月だ。十四年前に子宮筋腫の手術を受けていた。その時に使用されたのが汚染した血液製剤だった。肝炎は慢性化した◆
インターフェロン治療に挑んだ。副作用の熱で震えが止まらなくなる。漢方医も訪ねた。がん移行の恐怖は消えない。意を決して大阪地裁への第一次提訴に加わった。「原告番号一番」。実名も公表した。治療体制の整備は一刻を争うからだ◆武田さんを含め百七十一人が、全国五つの裁判所で国と製薬会社の責任を問い続けている。既に五人の原告が亡くなった。命を削る戦いの背後には、百五十万人以上といわれるC型肝炎患者がいる』(2007.10.17 神戸・正平調)。







