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♯637 アラフォー独女のこれから

2016年11月02日 | 社会・経済


 「アラフォー独身女性、4割が非正規」と題する8月20日の日本経済新聞の報道が、一時、ネット上などで話題になっていました。

 「アラフォー」と呼ばれる40歳前後の世代は、企業が採用を抑えた就職氷河期に当たる2000年前後に新卒を迎え、(男女ともに)就職に大変苦労をした世代です。

 経済情勢の変化から雇用状況の改善が著しい現在では、同世代の男性労働者の非正規比率は概ね1割程度まで戻していると見られますが、その一方で同世代の働く「独身」女性では非正規雇用者が約4割に達しているということです。

 「独身の非正規アラフォー」は、ここにきて増加傾向にあると記事は指摘しています。

 総務省の労働力調査によると、35~44歳の独身女性で雇用されて働く労働者は2015年現在で190万人ということですが、そのうち非正規で働く人は79万人で全体の41%に当たり、2005年時点の27%を大きく上回っていることがわかります。

 なぜこれほど急増したのかといえば、(人数で言えば)結婚しない人が増えたからであることは間違いありません。直近の2015年の国勢調査(抽出速報)によると、女性の35~39歳と40~44歳の未婚率はそれぞれ23%と19%で10年前の調査からそれぞれ5ポイントと7ポイント上昇しており、独身のまま働き続けるアラフォー女性の増加は時代の趨勢と言えそうです。

 この世代はバブル崩壊後、企業が新卒採用を急速に絞った就職氷河期の影響をモロに受けた世代に当たります。その時期、主に女性が就いていた事務職などが、バブル崩壊後どんどん(派遣などの)非正規に置き換えられていき、その結果、キャリア形成がうまくできなかった人も多いと記事は指摘しています。

 さらに、横浜市男女共同参画推進協会がインターネットを通じて35~54歳の約260人を対象に昨年調査したところでは、35~44歳の独身非正規の女性の7割近くが年収250万円以下だったということです。彼女らが非正規で働いている理由は、「正社員として働ける仕事がなかったから」が約6割で最も多く、特に35~39歳では回答者の約6割が大卒以上であったにもかかわらず、約7割が初めて就いた仕事から非正規だったとされています。

 記事では、内閣府経済社会総合研究所が2015年に実施した25~39歳の未婚の男女1万人に対する調査の結果にも触れています。

 同調査によれば、「交際している異性がいない割合」は男女とも無職もしくは家事労働が最も高く、続いて非正規雇用、そして正規職員の順となっていて、雇用形態の違いが異性との交際に影響を与えていることが判ったということです。

 また、交際している男性がいない女性のうち、「特に交際を望んでいない」と回答した人は正規雇用者で17.8%、非正規雇用者で29.4%、無職・家事で44.4%。さらに「一生結婚するつもりはない」と回答した人は、正規雇用者で7.8%、非正規雇用者で10.3%、無職・家事で14.2%と、雇用形態によって恋愛や結婚への意欲に明確な差が現れたとしています。

 さて、記事によれば、パートや派遣社員など非正規労働者への雇用情勢は、足元では極めて良い状況にあるということです。パートタイマーの有効求人倍率は2015年度平均で1.57倍と1992年度以来の高水準にあり、人材派遣各社も「仕事を選ばなければいくらでもある状況」としています。

 しかし、こうした状態も(実際のところ)いつまでも続くかは不透明だと記事は指摘しています。

 技能や資格を持たない労働者の賃金は抑制されがちだし、人工知能(AI)の普及で彼女らの仕事がなくなる可能性だってあり得る。さらに、日本では、非正規雇用者や独身女性に対する社会保障は(高齢者や主婦に対するものとは対照的に)まだまだ手薄な状態にあることは否めません。

 実際、彼女らの多くは親元に暮し、住居や生活費の一部を親(の収入や年金)などに依存していることが想定されます。そして、そうした(アラフォーの)暮らしも、70代を迎える親の介護などが発生すれば、一変する可能性だってあるわけです。

 非正規雇用に甘んじつつ日々を過ごし、恋愛や結婚にも消極的なアラフォー独女の増加を、社会はどのように受け止めていく必要があるのか。いずれ100万人を超えようというボリューム感を有する彼女たちの(今後の)自立をサポートするため、行政サイドも何がしかの対策を講じておく必要があるのではないかと記事は指摘しています。

 また、(40歳を過ぎてからのキャリア形成が難しいことはよくわかりますが)そうした彼女たち自身も、まずは自分の強みは何かを見つめるところから始め、社会のニーズに合わせて自らのキャリアをシフトしていってほしいとする記事の指摘を、私も大変興味深く読んだところです。


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