変人技術士の備忘録(別称:すいりき板改)

技術士の日々の思いつきを列記。
すいりき板は、出身研究室の掲示板(現在閉鎖)
専門用語を不定期掲載

日本でいちばん大切にしたい会社(The company most aspired to be cherished)

2024-04-21 13:11:42 | 読書
 2022年10月頃にKindleで読んだ“日本でいちばん大切にしたい会社”と”日本でいちばん大切にしたい会社2”の感想を以下に記す。
 自分と違い、世の中には、立派な事を考え、実践する人がいるという事が、正直な感想である。特に印象に残った会社は、従業員の7割が障害者の日本理化学工業、世界の難民に眼鏡を贈るメガネ店の富士メガネ。それと会社の社会貢献をどうしますかと聞かれて、事業所の近所の清掃をしていると言っている人がいた。自分が言ったわけではないが、何だか恥ずかしい気がした。何が恥ずかしいというか、この程度の発言しか出来ない人が同じ会社にいるという事になる。なお、自分は、法律や良識を守って、利益を出し、税金を納められる企業活動を続ける事が、社会貢献の基本と考えている。これは、人のことをあまり批判出来ないようにも考えている。
顧客よりも社員を大事にするという著者の考えが珍しいように自分は思う。一方で、この考えの方が妥当のように思う。“本当の企業経営とは「五人に対する使命と責任を果たすための活動のこと」であると定義し、使命と責任とは「幸福の追求」「幸福の実現」であると書きました。 五人とは、次の人々のことです。 一、社員とその家族 二、社外社員(下請け・協力会社の社員)とその家族 三、現在顧客と未来顧客 四、地域住民、とりわけ障害者や高齢者 五、株主・出資者・関係機関”。ここで、社員が一番上位に位置する点が著者の独特さと感じた。“完訳 7つの習慣 人格主義の回復“のP.64に同様の考えもあり、それを思い出した。“会社は大切な顧客に望む接客態度でスタッフに接することが原則である。” 自分の場合は、直接仕事を頼む相手を大事にすることが必要と思う。
樹研工業の例“ほかの優良企業と同様、樹研工業もやはり社員を管理するルール、規則がほとんどありません。これは世界の一流の会社に共通していることですが、樹研工業には出勤簿もタイムレコーダーも、出張報告書もないのです。社内会議のための面倒な資料づくりや手続きも存在しません。” これを読んで、以前に読んだネットフリクッスの本を思いだした。新規性の高い製品やサービスを生み出すためには、管理、規則は最小限にとどめ、社員を大人扱いする必要があると思った。とはいえ、多くの企業、日本の伝統的な大企業(JTC)で、これを実践する事は難しいと思う。
未来工業の考え方として推測されている“「部長の仕事をしている社員」、「課長の仕事をしている社員」、「一般社員の仕事をしている社員」という意識で、会社として役はあるものの、個人としては平等”という考えは同感である。ただし、日本は、キリスト教圏と異なり唯一神の下の平等という建前がない。(王様の仕立て屋~フィオリ・ディ・ジラソーレ~ 4のorder#24で、[欧米文化圏では]唯一神の下の平等という建前があるという記述がある)また、日本は、中華圏と異なり、徳の無い君主の放伐を肯定せず、貴族階級を否定する科挙もない。また、日本語には尊敬語や謙譲語があり、力関係を意識する事が多い。これらから、日本では平等という意識が薄いので、役割が異なるだけで、個人としては平等という考えは発展しにくいように思う。
沖縄教育出版で述べられている“つまり、よい会社にはよい社是、よい経営理念があり、それがブレない確かな経営が継続して行われていれば、さまざまなところから評価され、当然、業績もよくなります。”は同感である。これは、精神科医 Tomyの“ぶれない自分をつくるたった1つの方法”で書かれた“人生の基本理念を作れば、迷いが少なくなる”と同じだと感じた(https://diamond.jp/articles/-/291237)。
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タテ社会の人間関係 単一社会の理論(Human relationship of vertical society, theory of single society)

2024-04-14 21:45:34 | 読書
 2023年11月頃にKindleで読んだ“タテ社会の人間関係 単一社会の理論”の感想を以下に記す。読んだきかっけはよく覚えていないが、日本社会の問題点が気になった事が一因だったように思う。文体が一般向けでない分、しっかりした構成の文章になっている。日本のことを諸外国と比較して、書かれている話である。ただし、本書で書かれている日本の特徴は単一社会によるもので、日本特有のものではないと書かれており、それには同感である。
 印象に残った単一社会である日本社会の特徴は、「論理的、宗教的でない道徳的社会」である。これをもう少し詳しく引用すると、「次のようになる。日本人の価値観の根底には、 絶対を設定する思考、あるいは論理的探求、といったものが存在しないか、あるいは、あってもきわめて低調で、その代わりに直接的、感情的人間関係を前提とする相対性原理が強く存在しているといえよう。」 この記述を読んだときは、かなり驚いた上に、納得した。一方で、このような社会は、生存に適していない可能性が高いとも思った。個人的には、絶対を設定する思考、あるいは論理的探求が大事だと思っている。ただし、自分は、これらがない、もしくは低調になりやすいと思った方がいい。その上で、自分の考え・行動を規定するようにしていきたい。
 また、「みんながこういっているから」という道徳は、社会がおかれた条件によって変わるもので、根拠として弱いという事に、本書を読んで気付いた。今後は、「みんながこういっているから」を根拠にする代わりに、論理を根拠にするように心がける。おそらく、日本人には、道徳が根拠として弱いという意識はあまりないように思う。
 以下は、「論理的、宗教的でない道徳的社会」の詳しい説明である。
本書にならって、詳しく述べると、以下の通りになる。人と人との関係を何よりも優先するものである価値観は、宗教的ではなく、道徳的である。「みんながこういっているから」「他人がこうするから」「みんながこうしろというから」ということによって、自己や他人に関する考え・行動を規制する。この道徳は、社会がおかれた条件によって変わる、相対的なものである。宗教は、基本的な意味で、絶対性を前提としており、道徳とは異なる。
 別の表現で書くと、単一社会は、社会のおかれた条件により、ころころと考えや行動が変わり、その様は非論理的、もしくは論理性が極めて低調になる特徴を有すことになる。
なお、単一社会がこのような特徴を有す理由は、本書では書かれていない。この理由は、 橋爪 大三郎氏の「シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 世界は四大文明でできている」や「4行でわかる世界の文明」がヒントになると思う。「4行でわかる世界の文明」では、イスラム教やキリスト教のような宗教の普遍的は、あらゆる時間と場所に適用できるもの指している。「4行でわかる世界の文明」の宗教の普遍性と、本書の宗教の絶対性とは同じ意味と解釈している。言語や民族が異なる人達と社会を形成するためには、あらゆる時間と場所に適用できる宗教が必要と思われる。日本のような言語や民族が同じような単一社会は、普遍的な宗教よりも、道徳の方が有用となるようである。また、論理的についても、同様になると思われる。つまり、言語や民族が異なる人達の社会を形成するためには、宗教に加え、論理も必要になると思われる。一方で、単一社会では、論理が低調の方がよいようである。
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Miracle of Children's Hospice(こどもホスピスの奇跡―短い人生の「最期」をつくる―)

2024-04-06 23:18:18 | 読書
 2021年11月頃にKindleで読んだ“こどもホスピスの奇跡―短い人生の「最期」をつくる―”の感想を以下に記す。日本最初となるこどもホスピスの設立と運営に関する話が書かれている。関係者のインタビューをもとに構成されている。設立の発端から描かれているので、こどもホスピスの件を通じて、日本社会の問題が、出ているように感じた。本書に登場してくる人は、医者を含めた医療機関の人、難病の子供とその家族で、精神的なつらさは、言葉だけでは分からないものがあると自分は感じた。また、本書で出て来る難病の子供と接する医者や看護師、こどもホスピスの関係者は、死と隣り合わせの職業であり、自分には出来ないと思った。
 仕事に関係する感想を書くと以下の通り。本書から、こどもホスピスの職員は、組織の理念である難病の子供と家族のQOL(Quality Of Life)の向上を最重要視していることが分かる。また、こどもホスピスの理事の高場氏が、それを重視して、高級タオルの購入を決めた事(位置2,343)のように、実践している事がある。本書で、あまり書かれていなかったが、こどもホスピスの管理者(上位者)の人達は、現場の職員の人達が十全に能力を発揮できるように、取り組んでいるように感じた。理論は、実効に押されがちという話が、宮崎市定著の「中国の歴史 下」での北宋の濮議で出ている。理念(理論)の実践には、上位者の人達の働きかけが必要と感じた。翻って思い返すと、自分と周りの人が、それを実践できているかは、甚だ心もとないと感じている。
 この本は2021/11/14から2021/11/27まで、読んだ本で、2021/11/14に、自分は娘とピース大阪に行った。ピース大阪は、第二次世界大戦中の大阪の爆撃を中心に、戦争と平和に関する調査研究や展示を行っている施設である。当たり前の話であるが、職業軍人の死傷よりも、子どもや女の人の死傷に関する展示が多かった。これを読んでいて、しわ寄せが弱い立場の人にいきやすい事を思い出した。
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World history of the world (16) modern history of the world - crossroads of humanity[世界の歴史16]

2024-03-31 14:41:25 | 読書
 2022年3月頃に図書館で借りて読んだ“世界の歴史16-現代-人類の岐路”の感想を以下に記す。約4年前の2018年3月にも読んでおり、これで読む事は2回目となる。1961年頃に書かれた本のため、ソ連は健在で、中華人民共和国が国連の常任理事国になっていない頃の考え方をしる事が出来る。大躍進政策、文化革命、ソ連の盛衰の記述がないため、少し物足りない感じがある。当たり前の話であるが、これらの記述や見解を読みたい場合は、別の本を読んだ方が良い。
 P.505に書かれている、今日の日本がもたらした2つの要因の出発点は興味深い。一つは、日本の国民が比較的優秀な資質の持ち主。もう一つは、アメリカによる事実上の単独占領という外的条件。後者のアメリカによる事実上の単独占領は、軍事や経済、外交の面で、今も影響を受けていると感じる。
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World history of the world (15) fascism and the second World War[世界の歴史15-ファシズムと第二次大戦]

2024-03-24 14:39:47 | 読書
2021年11月頃に図書館で借りて読んだ“世界の歴史15-ファシズムと第二次大戦”の感想を以下に記す。第二次世界大戦に関する話が中心である。歴史の本であるため、第二次世界大戦の戦闘の記述は多くない。第二次世界大戦に移るまでと第二次世界大戦中の各国の経済、軍事、政治、外交が中心となっている。記述は、ドイツ、アメリカ合衆国、イギリス、ソ連、フランス、日本、中華民国が中心という印象を受けた。
読んでいて、第一次世界大戦の戦後処理、1929年に起こった世界恐慌が第二次世界大戦に影響していたと感じた。もう一つ付け加えると、最後のP.511に書かれたドイツ帝国の滅亡の理由が非常に印象的である。“ドイツが第一次世界大戦にも、第二次世界大戦にも敗北したのは、カイザーやヒトラーやあれこれの将軍たちが、若干の作戦や政策の上で失策をしたためではなくて、ドイツ支配勢力の目的自身が時代おくれだったためであった。すなわち、植民地や従属国の諸民族が解放されつつある二〇世紀の中ごろになって、あらゆる民族をゲルマン民族に従属させ、ヨーロッパの文明国までをほろぼしたり、ドイツの属国にしてしまおうという時代おくれな世界征服計画(および国内における非民主的な抑圧体制)を強行したために、滅亡したのである。” 日本も同じようになっていたように自分は思う。時代おくれな計画を強行した組織は、滅亡するという事が教訓になるように思った。
第一次世界大戦と世界恐慌を通じて以下のことが起こった。気になったので要約しておく。イギリス、フランス、アメリカ合衆国のような国力の強大な「持てる国」が出来上がった。一方で、ドイツ、イタリア、日本のような国力の貧弱な「持たざる国」が出来上がった。「持たざる国」は、軍備拡張と軍事的な脅迫、侵略により、世界恐慌を乗り越えようとした。
以下は、その抜き書きである。「P.14、軍備を拡張して他国を脅してみても、目的とする利益がじゅうぶんに得られないときには、彼らはついに武力に訴えてこれを得ようと試みることとなる。それらの国の軍部や保守派の連中は、ほかの方法を考えることができないし、重工業者もまた戦争による自分の産業の隆盛を願うようになる。そうしなければ「持たざる」国の貧しい国民たちは、軍事費の増大に圧迫された生活難のために、政府に対する不満を高めるにちがいないからである。」 その結果が、ドイツと日本とイタリアの敗戦、おびただしい死者、領土の喪失、国土の荒廃となったのは、何とも皮肉なものである。今から見れば、戦争という選択肢は、恐ろしい結果をもたらしたことになる。 P.460の本文の言葉を借りれば、”一九四五(昭和二〇)年八月十四日、正式にポッダム宣言受諾(じゅだく)、 ここに一九三一年以来戦争をしつづけてきた大日本帝国は、事実上灰燼(かいじん)のなかに崩壊したのである。”となる。
ナチスドイツは狂人の集団ではなく(P.38)。ドイツ国民主義と正統派愛国心とは、権威主義と軍国主義とに立脚していたから、ナチズムはドイツの国民的な精神風土そのものと一致するか、すくなくともそれと矛盾していないかのようにみえたのである。(P.85)
日本が世界征服を企図した「田中メモランダム」は、偽造であるが、それに沿ったように日本が行動した事を読んで、驚いた。(P.247、P.248) 
 1938年9月の時点で、イギリスもフランスも、ドイツに対し、生産力や軍備の点で劣勢になっていた点は、少し驚いた。ナチスドイツの躍進という見方が出来そうだ。一方で、ドイツ経済の復興は世界経済の回復に負うところが大きかった(P.360)。また、ワイマール共和制末期に失業者に仕事をあたえるプランが積極的にすすめられていたことをナチスが継承した点(P.360)を考えると、ナチスだけの要因とは考えられないように思う。
 ドイツ側にも弱点があったが、フランス、イギリス、ソ連に弱点があり、緒戦はドイツが優勢になった(P.368)。ドイツは、第二次世界大戦の初期までは、目のくらむような内政と外交の成功を収めた(P.372)。
 反ユダヤ主義のP.383付近の記述も印象的である。ユダヤ人に限らず、既存の多数の人達と違う考えの人が排斥されやすい事や、主流でないがために新興の勢力を有しやすい事が書かれている。前者はキリスト教の考えとユダヤ人の考え、後者はユダヤ人が技術者や弁護士のような新しい職業について羽振りが良かった事になる。こういった話は、当時のユダヤ人に関わらないように思う。
P.511の最後の文は、第二次世界大戦のドイツの締めくくりにふさわしい文章となっている。“ドイツの民衆は、自分らの生活の向上と幸福を求めて、これまでいろいろな既成政治勢力を支持してきたように、ナチスを支持したのであるが、その素朴な期待の大部分は結局のところ裏切られたのである。” これは、日本やイタリアも同じだと自分は思っている。
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Rebirth of Sony(ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」)

2024-03-20 14:17:22 | 読書
2021年10月頃にKindleで読んだ“ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」”の感想を以下に記す。著者は元ソニーの社長の平井一夫氏である。ソニーの立て直しで心掛けた内容は参考になる。それをまとめると、以下になる。
現場の部下の困りごとを聞き、部下のやる気を鼓舞する。改革に聖域がない事を示す意味を持たせたアメリカの本社ビルの売却のように、行動にメッセージを持たせる。異見を自分から聞き、取り入れる。また、「雲の上の人」にならないように夫人と同伴で社内の会議に出る。ソニーの向かうべき方向を「KANDO」のひと言で表し、会社の方向性を繰り返して示す(本書では壊れたラジオと表現されている)。世界中の拠点を飛び回り、社員に方向性を伝える。知ったかぶりをしない、肩書きで仕事をしない。
 平井氏のこの仕事の進め方は、よく聞くともっともな仕事の進め方(本書の表現では当たり前のこと)であると感じた。また、平井氏のリーダーシップは、サーバント型のリーダーシップに当たると思った。実際にやる事は大変だが、見習いたい。本書で書かれているように、実務を担当する現場が主役で、その方向を示し、現場のやる気が出す事に尽力しているように感じた。ただし、少し考えると、出口が憶測している日本で理想とみなされるリーダーとは違うように感じた。カリスマ性があり、実務に精通しているジョブズのようなリーダーが、日本では理想的という憶測が出口にはある。実際には、ジョブズのような人は稀である。少なくとも、そのような能力のない人に対して、ジョブズのようなリーダーシップの発揮の仕方を期待する事は間違いだと思った。平井氏は、自分のようなジョブズのようなリーダーシップは出来ないと書いてあったが、経歴や実績を見ると、確かにその通りだと出口は思った。その実務に精通していない事を素直に認めて、部下の力を引き出すようにした事が、ソニー再生の一因になったと、出口は感じた。職位が上になると、「雲の上の人」になりやすく、知ったかぶりをしやすく、肩書きで仕事をしやすくなりやすい。これらは本書で書かれているように、仕事の進め方、職業人のあり方としては、正しくないので、厳に慎むべきだと思った。また、実務で動く人が自信を持って、正しい方向の仕事をしてもらう、その実力を引き出すことが重要。繰り返し方向を述べることは、自分は面倒なので、やらない事が多いような気がする。退職を促す際には、その人に敬意をもって、自分から伝えるようにしている姿勢は非常に立派だと思った。
 平井氏のリーダーシップを見ていると、残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法に書かれた記述を思い出した。“かつてのお金持ちは、お城のような建物の最上階の奥まった部屋に潜み、超越的な権威で周囲を畏怖させ、組織を 睥睨 し支配する権力者だった(西武鉄道グループのオーナーだった堤義明みたいに)。それがいまでは、世界じゅうを飛び回り、ひととひと、ビジネスとビジネスを結びつけることで富を生み出している(ソフトバンクの孫正義がその典型だ)。” これからのリーダーシップは、孫正義や平井一夫のようなものになると思った。
 もう一つ平井氏はソニーでは傍流にも関わらず、社長になり、ソニーを再生した点で、気付いた点を記載する。貝と羊の中国人や宮崎市定の中国史等の歴史の本では、変革者は、文化圏の境目や、傍流、辺境出身者が多いと書かれている事が多い。例は、ヒトラー、ナポレオン、スターリン、織田信長、豊臣秀吉で、彼らはいずれも、先進地域のエリート階層ではない。先進地域のエリート階層が有する、保守的な意識、妙な特権意識、しがらみ(桎梏)、身内の論理は変革には不向きと思われる。者にはこういった事からすると、平井氏はソニーでは傍流であった事も、ソニーを再生できた要因ではないかと思った。なお、ここまで書いて、平井氏は、保守的な意識、妙な特権意識、しがらみ、身内の論理を排除するようにしていた事に気付いた。かなり難しいと思うが、自分も、保守的な意識、妙な特権意識、しがらみ、身内の論理を排除するようにしたい。
 本書でも出てきたように、平井氏は雑誌でかなり厳しい事を言われたようである。自分も随分前に、そういった記事を見たことがある。世界規模の企業を率いる事は、そういった意味でも大変で、自分には勤まりそうにないと思った。
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World history of the world (14) after the First World War (Chuko Bunko) [世界の歴史14 第一次世界大戦後の世界]

2024-03-10 14:31:14 | 読書
 2021年9月頃に図書館で借りて読んだ“世界の歴史14 第一次世界大戦後の世界”の感想を以下に記す。書名では第一次世界大戦後の世界となっており、扱う範囲は第一次世界大戦から世界恐慌がはじまる少し前となっている。年で言えば、1914年から1927年頃となっている。国で言えば、ヨーロッパ列強の英独仏伊、トルコ、この頃に成立したソビエト連邦、アメリカ合衆国、中華民国、日本などが記述の中心となっている。発行されたのが1983年で、ソビエト連邦が健在の頃だったので、その影響を受け、ソビエト連邦の記述が多く、その脅威がよく書かれているように感じた。また、日本が列強の仲間入りになっており、日本の影響力は、自分が思ったよりも大きい事が感じられた。
 この後に、世界恐慌、第二次世界大戦と続くわけであり、その兆候を端々に感じる。第一次世界大戦が終わると、オーストラリア、ロシア、ドイツの君主制が崩壊した事は、時代の流れを示す良い例だと思う。巨額の賠償金を課せられ、植民地や本土の領土の喪失した戦敗国のドイツは、かなり厳しい状況だった事が分かる。後の歴史を知っているせいもあり、何となく、本格的な戦争、第二次世界大戦に向けて、雰囲気が感じられる本だった。
 P.490から、まとめて書かれているように、社会主義国のソビエト連邦の成立、民族自決の意識の高まり、アメリカ合衆国の台頭が、この時代の大きな流れと思う。
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The sun also sets(日はまた沈む)

2024-03-03 14:28:02 | 読書
2021年8月頃に購読した“日はまた沈む”の感想を以下に記す。日本経済が好調だった1989年に、当時の通説とは反して、日本経済の凋落を予見した本である。はじめにのP.2で書かれているように本書の見方は、一般原則にもとづいている。より一般的な見方である「大きな傾向や動きというものは、かならずといっていいほど、それ自身をうちこわす種子をはらんでいる。したがって、ある傾向が最高潮に達するころには、それをうちこわす種子もしっかりと根づいているはずなのである。」は、様々な分野で使えそうである。
1989年頃の日本経済が好調だった理由として、本書では、次のように書かれている。高い貯蓄率(莫大な貯蓄)、国内の低い資金需要(緊縮財政と少ない財政赤字)、輸出が輸入を上回ったこと(莫大な経常収支の黒字)、それによって生じた資本の余剰と輸出が原因と書かれている。莫大な経常収支の黒字に関しては、円高による輸入の増加や生産の海外移転、さらなる円高によって、輸出が減少し、経常収支の黒字の減少も進むと予測している。貯蓄率は、高齢化により減少すると予測している。さらに、当時の緊縮財政は、景気が悪くなれば、続けられず、高齢化により、緊縮財政が出来ないと予測している。1989年当時から、日本は2000年頃から高齢化が急速に進む事は分かっていたので、それを織り込んだ予測と言える。また、日本の経済が発展した理由とそれが続くかどうかを分析している。経常収支の黒字自体が、為替の変動による経常収支の黒字を減らす働きがある点への着目は優れた洞察だと感じた。この本からは、通説に惑わされずに、一般原則に基づいて、物事を分析して、将来を予測する事の重要性が学べた。少し具体的に書くと、通説は日本経済の繁栄し続ける、一般原則は日本経済の繁栄の要因は資本の超過、それは永続性のない要因になる。そのため、いずれは日本経済が凋落すると著者は予測している。


この日が沈む以外の内容として、日本に対する一般的な見方(神話)に対して、一般原則により、その検証を行っている。どこかで聞いた話もあり、説得力のある話が展開されている。日本の輸出額はGDPの16.5%で、フランスの21%、西ドイツの32%、イギリスの26%、オランダの51%に比べれば、低い方である(P.53)。輸出が多いのではなく、輸入が少ないので、経常収支の黒字が巨額になっている。そのため、「日本は輸出に依存している」は、正しいと言えない。2019年では、輸出額のGDPに対する割合が16.1%なので、輸出の依存に対しては、あまり変わっていないようである。
種々の製造業において、証券取引の黒字の割合が大きかった事(P.184)も気にかかった。これは、日本経済の衰退が1980年代に表れはじめた例になるのだろう。
本書の日本のやり方や文化で気にかかった記述を下記に列記する。
どんな取引にせよ、日本を相手とする場合に公式に説明をそのまま受け入れるのは、あまりりこうなやり方ではないからだ。日本人はまた、外国人が公に主張したことと現実に起こったこととが食いちがっても、まったく意に介さない(P.148)。貿易協定に関する記述で、融通無碍で二枚舌の日本人と表現されている事(P.217)。残念ながら、日本人は聞き手が聞きたがっていることを話すのであり、たとえ事実に反しても相手を喜ばせることを口にする傾向があることはよく知られている(P.277)。(外交官といった海外に対する)なだめ役の発言が、あまり事実を語っていないこと(P.278)。これらの内容から、外国人は、日本人は事実に基づいた話と約束を軽視すると言う見方が出来るように感じた。こういった事があると、個人的には首をかしげたくなる。これは、橘玲の(日本人)や菊と刀の日本人の考え方と整合的である。参考までに(日本人)で気になった記述を下記に列記する。“日本人は、御利益のある神と自分の得になる権威しか認めない。” “日本人は世俗的で、世俗的というのは損得勘定のことで、要するに、「得なことならやるが、損をすることはしない」というエートスだ。” “近代的な正義の特徴は、「原理主義」にある。正義は状況に依存せず、いついかなる場合でも、相手が誰であっても、不変でなければならない。こうした正義の普遍性は、利害の異なる多種多様なひとびとが自発的に従うルールを定めるうえで不可欠のものだった。” “ただし、日本の正義は状況依存的。” “だが日本では契約の絶対性はまったく理解されず、法は 融通無碍 な便宜的なもの(努力目標)のままだった。” “日本の政治家には理念がなく、状況に応じて分配を考えるだけ。”

日本の政治家は、他の西側諸国と異なり、政見(政治的な目的)がなくても首相になれる(P.287)。日本は、より大きな利益―平和、国際的な調和、開かれた市場、自由貿易―は、偏狭で党派的な利害よりも優先されない(P.297)。これらの記述は、日本の政治家に理念がないとも言えるので気にかかった。
 
※浮き沈みのある環境の中でも、技術で勝ち続けるには、どこに注力していくのかの考え。
自分の考え方は大きく二つあり、一つは浮き沈みに応じて注力する技術を少し変える事、もう一つは浮き沈みの影響を受けにくい技術に注力する事。いずれにしても、熱力学、流体力学、材料力学といった原理原則を正しく理解して、それらを実際の機械に正しく応用する事に注力する。
・浮き沈みに応じて注力する技術。
1.新技術の開発(要素技術の開発)が多く行われる状況。熱流体を使った製品の高効率化や非設計条件での高効率化、小型化を注力する。この場合は、最適化、数値計算の精度向上、信頼性の高い実験といった分野に注力する。
2.開発が終わった新技術の製品への適用が多く行われる状況。製品に適用するために、条件が変わっても応用できるような技術、ロバスト性や数値計算の精度向上、過去の実験結果の応用といった分野に注力する。
 3.新技術の製品への適用が一通り終わっている状況。製品の利用やメンテナンスに関する技術に注力する。例は、製品の性能劣化への対策としての部品の交換、機械自体の交換に関する技術。判断基準となる製品利用時の熱流体の評価技術、過去の実験結果の活用に注力する。実際の機械の使用状況や現状は明確とは限らないため、不明確な状況での診断技術に注力する。データ処理の技術の必要も増す。
 時間差や規模の違いはあっても、1.⇒2.⇒3.⇒1.の循環を繰り返すと考えられる。自分の置かれている状況を踏まえて、注力する技術を徐々に変えていく。
・浮き沈みの影響を受けにくい技術
 数値計算を使った精度の高い熱流体や強度に関する予測技術は、新技術の開発や製品の設計をする上でも、製品の利用やメンテナンスでも、中核となる技術である。また、膨大な実験結果や数値計算の結果を利用するデータ処理の技術も、同じ可能性を秘めた技術である。したがい、予測技術やデータ処理の技術に注力する。技術と製品の普及状況によって、対象と考え方と使い方はやや異なるので、普及状況に応じて、その対象を変えていく。自分の得意分野で注力し、勝負する事が大事だと思う。
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男子たる者、百世に芳しきを流すことができなければ、まさに臭きを万年に遺すべきである

2024-02-28 23:46:48 | 散文
妙に印象に残っている桓温の言を記載しておく。
「男子たる者、百世に芳しきを流すことができなければ、まさに臭きを万年に遺すべきである」陳舜臣著:小説十八史略(中)P.516。
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Illustration of everything(なんでも図解)

2024-02-12 21:48:25 | 読書
 2021年7月頃に図書館で借りて読んだ“なんでも図解”の感想を以下に記す。話し言葉を含む文章を分かりやすく図解にする方法が書かれている。はじめにのP.1で書かれているように、この図解は、打ち合わせ、会議、アイデアブレスト、プレゼンのあらゆるシーンで活躍すると自分は感じた。200種のビジネスアイコンかなり細かい技法も本書で書かれており、本書の内容を全て実践できれば、非常に役立つと感じた。とは言え、実践する事は難しいので、簡単な内容を、囲み・矢印・人を使って図示するようにしていきたい。以前教わったフィンランド式かるたの洗練された手法という印象があった。どちらかというと、フィンランド式かるたの方がやりやすい。最近、フィンランド式かるたを利用していないので、フィンランド式かるたを利用するようにしたい。なお、図示する時には、P.131のように、余白を2文字程度空けておく方がいい点は留意したい。
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The era of crisis(危機の時代)

2023-05-22 15:04:28 | 読書

Kindleで読んだ“危機の時代”の感想を以下に記す。

 ジム・ロジャースの投資のやり方は、壊滅状態の株を買って、ある程度の高値で売る。空売りも好む。高値で買って高値で売る事は得意でない。自分の得手不得手をよく把握している。自分のよく知らないものには投資しない。有望な投資先は、中国、ロシア、北朝鮮。投資は、そもそも“安値で買って高値で売る”ための手法なので、その原則に忠実と言える。自分が読んだ感じでは、最安値で買って、最高値で売る事は、出来ないとジム・ロジャース自身は思っているようであり、本人もそれを狙ってもいないように感じた。

 本書は、日本人が親日家のジム・ロジャースに対してインタビューした内容を基にしているので、日本に対する記述が多い。

 歴史を知る事は重要と書かれている。歴史は繰り返さないが韻を踏むという記述がレビューにあったが妙に納得できる。宋やローマ帝国、ギリシアについても言及があった。スペイン、ポルトガル、第一次世界大戦前のオーストリア、第一次世界大戦後の恐慌にも触れている。

 本書を読む事で、原則に従う事と歴史に学ぶ事の重要性を感じることが出来る。また、よく実態や実情を把握する事も重要である。

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World history 13(世界の歴史13 ブルジョアの世紀)

2023-01-31 23:40:18 | 読書

 図書館で借りて読んだ“世界の歴史13 ブルジョアの世紀”の感想を以下に記す。19世紀のヨーロッパについて書かれている。産業革命による社会の進展と民主制の発達を知るのに、良い本である。また、イタリアやドイツの民族の統一運動に書かれている。フランスの歴史を見ていると、フランス革命、ナポレオン帝政、王政復古、第二帝政、パリコミューンと数十年の間に体制が目まぐるしく変わっている。それにもかかわらず、広大な植民地を支配できたのは、不思議だと思った。政治体制が多少変わっても、中間層が強固で、産業革命の恩恵をうまく生かせた事が要因なのかと思った。

 織機の機械化を進めたカーライトが、仕事を失う事を恐れた手織工により自身の工場を焼かれ、破産するP.144の記述は印象に残った。現在も、機械(AIやロボット)による失業の可能性が高まっており、産業革命の頃と同じように大規模な失業を引き起こすかもしれないと思った。P.140のアダム=スミスの頃(18世紀)における、分業化と専門化による生産性の向上と機械に置き換えられる可能性の記述も興味深い。これも現在に当てはまるように思う。

 また、この本を読んでいると、人権を確立するために、ヨーロッパで、民衆が活動されていた事が伺えた。少なくとも日本では、ヨーロッパ、フランスのような革命がなかった事は事実である。宗教的な事もあるが、こういった歴史の違いによって、国民の人権意識の違いが出ているように思う。

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A book for people with low self-affirmation(「自己肯定感低めの人」のための本)

2021-03-20 15:28:43 | 読書

 図書館で借りて読んだ“「自己肯定感低めの人」のための本”の感想を以下に記す。その名の通り、自己肯定感が低めの人に対して書かれた本である。著者の山根洋士は、心理カウンセラーなので、その知見を活かして書かれている。自己肯定感が低いことは、本書の言葉を借りれば、「心のノイズ(メンタルノイズ)」が原因である。心のノイズ(メンタルノイズ)を認識した上で、それをどのように扱うかが重要と書かれている。メンタルノイズは14個に分類されており、第2章で、その内容や対策が書かれている。読んでいて、訓練を受けていない人がメンタルノイズの原因を探すと危ないと、ずんずん氏が自身のコーチングのブログで書かれていた。なので、メンタルノイズの原因探しは慎重にした方がいいと思う。

第3章では、メンタルノイズを探すための裏思考法が書かれている。

 本書で書かれている要旨で同感した個所は以下である。自己肯定感が低い事の問題点は、メンタルノイズに振り回されて、ありのままの自分を受け入れていない事だと思った。また、メンタルノイズは、過去の自分を守るために自分が作り上げたものなので、今となっては不適切になっている事もある。従い、そのメンタルノイズから、上手く自分を解放する事が大事である。これらは自分の経験上当てはまる内容でもある。

自分のメンタルノイズに気付くことは難しいとは思うが、メンタルノイズを意識して、それに振り回されないように考え、行動することが大事だと思った。このメンタルノイズへの対処の実践は難しいかもしれないが、心がけていきたい。

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It is good not to enroll Tokyo university (東大なんか入らなきゃよかった)

2021-03-14 15:22:32 | 読書

 図書館で借りて読んだ“東大なんか入らなきゃよかった 誰も教えてくれなかった不都合な話”の感想を以下に記す。一言で言うと、日本の最高学府である東大に入学しても、成功が約束されるとは限らないという事が書かれている。理由として、学業の能力の高さが仕事に必要な能力の高さに直結するとは限らない点や、周囲からの東大卒に対する過剰な期待とその違いが大きい場合がある点などが挙げられている。東大に入ると勉強をしなくなる人もいるようである。博士課程に進学しても、生活が苦しい事も書かれている。

 これらの内容は、東大に限らず、ある程度以上の学力が要求される有名な大学にも当てはまる内容が多いように思った。とは言え、日本でも一番の大学である東大は、程度はかなり強いのだろうとも思った。

 3種類の東大生の分類「天才型」「秀才型」「要領型」は、興味深かった。自分は「秀才型」になるのかと思った。他の大学より東大は、「天才型」の人の割合がかなり多いと思う。

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Tourism nation theory(新・観光立国論)

2021-02-13 13:49:22 | 読書

 Kindleで読んだ“新・観光立国論―イギリス人アナリストが提言する21世紀の「所得倍増計画」”の感想を以下に記す。個人的には、以前から観光には日本の「おもてなし」が大事だという話を疑問視していた。その「おもてなし」の疑問を明確に説明してくれる記述があった点は非常によかった。確かに、自分が観光に行く際は、ある程度の「おもてなし」があれば十分で、「おもてなし」だけで観光に行く事はないので、納得である。冒頭の位置46に書いているように、“事実を客観的に分析して、問題を浮かび上がらせることで、その問題を 1 つひとつ解決するように努める”事が極めて大事だと感じた。客観的事実は、色々な人にとって都合の悪い事が多いので、それを乗り越える心構えも必要だと感じた。本書とは異なるが、“「腐った組織」に絶望する前に、絶対に歴史を学ぶべき理由” で、ファクト(客観的事実)を無視しだすと、後漢のように組織が衰退するというダイヤモンドオンラインの記事を思い出した。

さて、本書で書かれている内容は、観光立国とはどのような状況になるかを規定し、観光立国になるために、日本や外国の観光に関する現状と将来の動向を分析している。その上で、観光立国にするための対策について書かれている。観光立国という観点であるが、他の産業や個人の仕事に適用できる考えが多い。本書を読んで全般的に受ける印象は、日本の観光産業は、自画自賛の声によって評価し、供給者の都合でサービスを提供し、相手であるお客様の評価をそれ程気にしていないようである。大雑把なマーケティングではなく、細かく顧客を分類して、その顧客にニーズに応える事が産業として重要である。

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