自分と違い、世の中には、立派な事を考え、実践する人がいるという事が、正直な感想である。特に印象に残った会社は、従業員の7割が障害者の日本理化学工業、世界の難民に眼鏡を贈るメガネ店の富士メガネ。それと会社の社会貢献をどうしますかと聞かれて、事業所の近所の清掃をしていると言っている人がいた。自分が言ったわけではないが、何だか恥ずかしい気がした。何が恥ずかしいというか、この程度の発言しか出来ない人が同じ会社にいるという事になる。なお、自分は、法律や良識を守って、利益を出し、税金を納められる企業活動を続ける事が、社会貢献の基本と考えている。これは、人のことをあまり批判出来ないようにも考えている。
顧客よりも社員を大事にするという著者の考えが珍しいように自分は思う。一方で、この考えの方が妥当のように思う。“本当の企業経営とは「五人に対する使命と責任を果たすための活動のこと」であると定義し、使命と責任とは「幸福の追求」「幸福の実現」であると書きました。 五人とは、次の人々のことです。 一、社員とその家族 二、社外社員(下請け・協力会社の社員)とその家族 三、現在顧客と未来顧客 四、地域住民、とりわけ障害者や高齢者 五、株主・出資者・関係機関”。ここで、社員が一番上位に位置する点が著者の独特さと感じた。“完訳 7つの習慣 人格主義の回復“のP.64に同様の考えもあり、それを思い出した。“会社は大切な顧客に望む接客態度でスタッフに接することが原則である。” 自分の場合は、直接仕事を頼む相手を大事にすることが必要と思う。
樹研工業の例“ほかの優良企業と同様、樹研工業もやはり社員を管理するルール、規則がほとんどありません。これは世界の一流の会社に共通していることですが、樹研工業には出勤簿もタイムレコーダーも、出張報告書もないのです。社内会議のための面倒な資料づくりや手続きも存在しません。” これを読んで、以前に読んだネットフリクッスの本を思いだした。新規性の高い製品やサービスを生み出すためには、管理、規則は最小限にとどめ、社員を大人扱いする必要があると思った。とはいえ、多くの企業、日本の伝統的な大企業(JTC)で、これを実践する事は難しいと思う。
未来工業の考え方として推測されている“「部長の仕事をしている社員」、「課長の仕事をしている社員」、「一般社員の仕事をしている社員」という意識で、会社として役はあるものの、個人としては平等”という考えは同感である。ただし、日本は、キリスト教圏と異なり唯一神の下の平等という建前がない。(王様の仕立て屋~フィオリ・ディ・ジラソーレ~ 4のorder#24で、[欧米文化圏では]唯一神の下の平等という建前があるという記述がある)また、日本は、中華圏と異なり、徳の無い君主の放伐を肯定せず、貴族階級を否定する科挙もない。また、日本語には尊敬語や謙譲語があり、力関係を意識する事が多い。これらから、日本では平等という意識が薄いので、役割が異なるだけで、個人としては平等という考えは発展しにくいように思う。
沖縄教育出版で述べられている“つまり、よい会社にはよい社是、よい経営理念があり、それがブレない確かな経営が継続して行われていれば、さまざまなところから評価され、当然、業績もよくなります。”は同感である。これは、精神科医 Tomyの“ぶれない自分をつくるたった1つの方法”で書かれた“人生の基本理念を作れば、迷いが少なくなる”と同じだと感じた(https://diamond.jp/articles/-/291237)。