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小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(60)&CG

2008-09-28 17:22:32 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(60)&CG

そして京平もサングラスをして帽子を被り、山男のように振る舞っていた。腕時計をチラッと見ると。九時十分前だった。
温泉の方を見ると、一人の中年男が重そうにダンボール箱を抱え、二人で歩いて来た。
「あれが宮田だな、もう一人は誰だろう」そんな事を思いながら荷造りの真似ていた。すると、肩をポンっと叩から振り向いた。
「此れを貴方に預けるように言われたんですが。歩荷さんですね」。
京平は二度三度と頷いて、胸のポケットからメモを出して渡した。
「ユキワリ草、この男に預けろ。バイト代として三万円を渡せ」。
すると、メモを丸めてゴミ箱に捨て、後ろのポケットから財布を出すと丁寧に差し出した。京平は両手で受け取り、有難うを手話で言った。
「ではくれぐれも落とさないように頼みましたよ」。
京平は業と分からないように首を傾げた。そして胸を二度三度と叩いて任せろと言うジェスチェーを見せた。
宮田と男は頷き、戻って行った。何度も振り向きながら心配そうに戻った。
美保はそんな様子を遠くから見て笑っていた。そして地図を広げて京平に近付いた。そして道を訪ねるような振りをして手話のまね事をしていた。
「全く上手ね、それでどうするの」。
京平は登山道を指をさして軽く手話のまねをした。
「確かに現金は受け取った。いま九時五分前だから直ぐに荷造りして出発する。美保は俺にお願いします、みたいに頭を下げて付いて来てくれ。奴等は一時間後に出発する」
「分かった」。京平は手伝ってくれる美保に何度も頭を下げ、本当に手伝ってくれているように見せ掛けた。そして出発した。
そして気付かれないように宮田達を見ると、宮田達は笑って見ていた。
何が可笑しいのか、六人は大笑いしながら駐車場へ向かった。二台のベンツに別れて上高知に向かって走り出した。
「あのバカ本当に騙されているな。美保は単独のハイカーだと思って朗話者に付いて行くのを見て笑っているんだ」。
「ほんとね、どっちがバカなのか分かってない癖に。でも良い天気で良かったわね」。
そして一般のハイカーが歩かない登山ルートを登って行った。
そして一時間、京平は登山道に誰もいない事を確認すると背負子を降ろして荷物を捨てた。
そしてライフルの入ったザックを出し、現金の入った箱を開けた。ビッシリと帯び封された札束が詰まっていた。
二人のザックに手分けして入れると、美保はクレンジングを出して京平の顔のファンデーションを拭き取っていた。
そしてシャツもズボンも登山服と着替え、帽子も代えた。
そして美保もまた、二重に着ていた派手なチェックのシャツを脱ぎ、ズボンも帽子も目立たない服に代えた。何も可も着替えた二人は再び登り始めた。
「此れなら誰が見てもさっきの二人には見えないわね」。
「うん、少し山を汚したけどダンボールは腐るからね。そのうち自然に戻るさ。でも今日は思ったほどハイカーが少ないな」。
「そうなの、でも思ったよりきつくない。これなら大丈夫そう」そして二人は一度国道に出ると細池へ向かい、焼岳に向かった。
その道は地元の人間しか知らない獣道でもあった。
京平は美保のザックに鈴を結び付けると銃を取り出して消音器を装着した。クマが出た時の用心の為だった。
そして、中の湯温泉を出て二時間、十一時になっていた。京平は焼岳の危険なコースにある崖を見渡せる位置で休憩した。
ザックを降ろし、水筒の蓋を開けて美保に渡した。ゴクッゴクっと喉を鳴らして二口飲むと京平に返した。
「見てごらん、あの山の尾根伝いに道が見えるだろ。あの下は絶壁で落ちたら助からない。あそこが第一ポイントだ」。
美保は指さす方向を見てビデオカメラを構えた。そしてグルッと撮ると木陰に座った。そして時計に付いてる気圧計の変化に気付いた。
「美保、計画は延期だ、気圧が変化して湿度が高くなって来た。帰ろう、二時間もすれば天候が変わるぞ」。
「えっ、そんな事が分かるの?・・・」
「うん、今は晴天だけど遠くの雲の動きが早くなって来た。気圧の変化と湿度の変化で雨になる。確実に雨になるよ」。
「うん、分かった。戻ろう」。
NO-60-40

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(59)&CG

2008-09-28 17:20:15 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(59)&CG

「私達をそこで始末するんじゃないだろうね」。
「大勢の登山客で賑わう中でどうやって六人を始末するんだ。そんな方法があったら教えて貰いたいものだ」。
「真田は殺された。しかも観光地でです」。
「貴様はバカか、あの道路は車は走っても人は歩かない。盲点だったな真田にとっては。しかし登山道は違う、まして日曜だ。貴様等が安心するように日曜を選んでやったのを無にするのか。
だったら防弾チョッキでも何でも用意したらどうだ。しかし、用心棒は遺憾。それは分かっているな。もし、一人でも貴様たちに接する者がいたら、我々はいかなる手段を講じても抹殺するだろう」。
「分かりました。信じます。十一日九時に上高地の中の湯温泉にいる歩荷さんに一億二千万を渡すんですね」。
「そうだ。一つ忠告してやる。二~三ケ所危険な所があるからザイルを持って行け。親心だ、ディスクは十石小屋の裏、東の角だ」。京平はそれで携帯を切った。
そして、京平は捨てても良いような古い登山着を出し準備を始めた。物置に行き、古い背負子を出して汚れを落としていた。
そして、部屋に戻るとブリーフケースの中のライフルを点検して大きめのザックに入れた。そして着替えの服、そして携帯電話と登山に必要な小物を美保の分と合わせて整えていた。
翌日十一日、京平は六時に起き、起こすのが可哀相なくらいグッスリ眠ってる妻を起こした。
眠そうに着替えると両親に出掛ける事を告げて家を出た。そしてまだ暗い国道を一路上高地に向けて走った。
そして徐々に明るくなるとあっと言う間に青空が広がった。国道147号線を安曇追分から右折し、県道52号に入り南下した。その時間になると車も増え始めていた。そして国道158号線へ右折し、安曇三ダムへ向かった。
もう観光バスが登山客を乗せて何台も連なって走っていた。
「ねえ追い越したら」。家を出ると直ぐに眠ってしまった美保が起きていた。
「起きたの、大丈夫だよ、時間がたっぷりあるから」。バスの後に続いた。
するとバスが左に寄って右のウンカーを点滅させて進路を譲ってくれた。京平は対向車が来ない事を確認するとアクセルを踏み込んだ。
「パパッ」とクラクションを鳴らすと一気に三台のバスを追い越した。
「やった~っ・・・親切な観光バスの運転手さんだね」。と美保は両手を叩いて喜んでいた。
そして右下に稲核ダム、そして水殿ダムと過ぎて、奈川渡ダムの梓湖を左に見て、安曇三ダムを通り過ぎた。
「綺麗ね」と美保はビデオカメラを手に景色を映していた。
そして数々のトンメルを抜けて沢渡大橋、湯川渡と経て坂巻温泉を左に見て中の湯温泉へ着いた。駐車場には神奈川ナンバーのベンツが二台止まっていた。
京平は車を移動させて別の駐車場へ車を止めた。
空は真っ青で天気予報でも天候の崩れはないと言う。
「美保、例の化粧を頼む。汚くブチに塗ってくれ」。
「うん。このファンデーション汗かいても落ちないからね、言っておくけど拭いたくらいじゃも落ちないから」。
美保はそう言いながら京平の顔を日焼けしたように首の回りから額の生え際、そして手も念入りに化粧した。
「よし、此れで日焼けしたように見えるよ。どうですか」。そう言いながらコンパクトの鏡を京平の目の前にかざした。
「バッチリダ、有り難う、此れで帽子と首にタオルを巻けば立派な歩荷さんだなアッハハハ・・・」。
「もう~貴方ったら可笑しいんだから、でも似合うから不思議ね。ウフッ・・・」と大笑いしていた。
京平は美保を車に乗せたまま後ろの荷台から背負子を出して支度を始めた。
そして目立つ位置に出るとザックを運び、空のダンボール箱を幾つか車から降ろした。
美保は支度を整え、サングラスをすると帽子を被り、車から降りた。
そして見知らぬ他人の素振りでトイレに行った。
NO-59

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(58)&CG

2008-09-26 13:40:46 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(58)&CG

「山小屋に食糧を背負って運ぶ人の事だよ、百キロは楽に背負うからね。それに僕が扮装するんだ。僕も大学の夏休みに三年も歩荷のアルバイトやったから心配ないよ。背負う荷物には野菜くずをいれてごまかすから。
それで現金を受け取ったら普通に登る、彼等には時間を指定して出発させるからね。それでポイントへ着いたら着替えて待機する、
難所を選んで岩をライフルで撃てば驚いて谷に落ちるって計画。奴ら慣れないからきっとロープで体を結ぶだろうからね。一人落ちれば後はつづいて滑落する。もし失敗したら次の難所で落ちて貰うよ」。
「ねえ京平さん、その山は素人の私でも登れるの」?
「ああ、登れるよ。美保にも手伝って貰うから、明日町に買い物に出たら道具と服を揃えよう」。
「うん、まだ寒くないよね」。
「ああ、低山は十二月頃までは雪が降らないからね」。
翌日。十月七日、二人は昼になると買い出しに松本へ出た。
そして登山道具と服と靴、そして新しいピッキェルとザックを買った。そして小物の総てを買うと店を出た。
そして松本城へ行くとベンチに腰を降ろし、連絡の取れなかった女性に電話した。すると、銀行に振り込みがあったと言う。
京平は携帯を持つと横浜の宮田輝雄に電話した。
「はい、宮田です」。
「俺だ、御苦労だったな。女性達全員と連絡が取れた。入金の確認が取れた。良く約束を守ってくれたな。
殺した女性にも見舞金を振り込むとは少しは人間としての誇りがあったんだ。
では次の命令だ、福祉施設協会に一億八千万、ユニセフに同額。アフリカタンザニア、ナイロビに医薬品を同額寄付しろ。一人九千万ずつ、合計五億四千万。外に六人で一億二千万用意しておけ。ないとは言わせないぞ」。
「分かりました。それで期日は何日戴けますか?・・・」。
「二日だ。寄付名はユキワリ草。カタカナと漢字の草だ。いいな、寄付した事が確認取れたら電話する」。
「あっ、待って下さい。それでもう終わりにして頂けませんか。もう十分反省しています。お願いします」。
「いや、まだだ。それ位で貴様達のした行いが許されると思っているのかっ!我々はまだ許さない。二日だ、分かったな」。
「分かりました。直ぐに全員に知らせます」。宮田は力無く答えると電話を切った。
そして翌日。ニュースでは寄付したと言う報道は流れなかった。
そして二日目の期日の日、昼のニュースで流れた。
匿名でユキワリ草からの贈り物と称され、二つの組織に一億八千万が寄付され、アフリカタンザニアやナイロビで転回中の境界のない医師団には医薬品一億八千万分の薬が寄贈されたと言う事だった。二人は厨房で食事をしながらニュースを聞いていた。
「父さん、十一日に美保を連れて乗鞍へ行って来るよ。此れ以上向こうへ行くと冷えて来るからさ」。
「そうか、美保さん、気を付けてな。京平がいれば安心だ。京平には庭みたいなものだ、目をつむっていても登れるコースだから。でも二~三ケ所危ない所があるから気を付けるんだよ」。
「はい、有り難うございます」。
そして夕方、仕事を終えた二人は部屋に戻ると電話をした。すると、うんざりしたような声で宮田輝雄が電話に出た。
「今度はあの一億二千万をどうしたら良いんでしょうか?・・・」。
「よくやってくれた、此れで大勢の子供や病人が助かる。医者として此れ以上の貢献はないな宮田。
さて、此れが最後の取引になる。十一日の日曜日、その荷物を持って上高地へ行け。お前達の体力を測ってやる。足腰が弱っているだろうからな。
良く聞け、一度しか言わないからな。上高地にある中の湯温泉に朝九時前に行け。その温泉から十石小屋へ登る歩荷さんが居る。
その歩荷さんにダンボール箱に入れた荷物を渡せ。時間通り行かないと出発してしまうぞ。その歩荷さんは朗話者で口が聞けないから何を聞いても話しても無駄だ。
ただし、私達の荷物を運ぶ事は既に知らせてある。渡したら上高知のウエストン碑へ行け、十時になったら西穂山荘に向けて登山開始だ。
そして、割谷山から焼岳、安房峠を縦走して安房山へ出て、十石小屋へ行け。その小屋の裏の東の角にリストの入ったディスクを埋めておく。それで終わりになる。コピーは決して作ってない。信じるか否かはお前達の勝手だがな。
もし登山を拒否すれば終わりになる。
いままでの苦労が徒労に終わると言う事だ。拒否する事は出来ない事になっている。登山支度を始めろ」。NO-58-36

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(57)&CG

2008-09-26 13:36:19 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(57)&CG

長野には高速で40分程で着いた。
京平は何も云わずに電話局にはいった。そして数万円のプリペードカードを買った。そして支局を渡り歩いて三十万円分も買い込んだ。
美保は目的が分からず京平に聞いた。「こんなにどうするの?・・・」
「うん、今は駄目だけど前にプリ携を二つ貰ったのがあるんだ。これだけど」とダッシュボードを開けて見せた。
「これなら公衆電話を使わなくてもいいし、発信元が分からないからね」。
「そうか、プリ携二つも持っていたの。盲点だね。でも良くそんな事まで知っているね、でも買った時に記帳したんでしょう」。
「いいや、これはそうなる前に貰った奴だから身元は絶対に分からないよ。それに少しづつカードを買ったから不審に思われないし。
さあ、帰って二人で手分けして女性たちに電話して金が戻る事と制裁を受けさせる事を教えてやろう。その時に警察へ届けたら無になるから自分達に任せて欲しいと付け加えてくれ」。
「了解。いまからでも良いよね」。
京平は頷くと走る車から美保はリスト順から電話をかけ始めた。
「もしもし、山田美加さんですか。私はユキコといいます」。
「はい、どちらのユキコさんでしょうか?・・・」。
「実は田口美容整形外科をやっつける為にお電話させて頂きました。黙って聞いて下さい。貴方がされていた事は分かっています。
今日か明日には貴方が取られた300万のお金は戻って来ます。それで社会的制裁を受けさせます」。
「本当ですか?・・・有り難うございます。もう揺すられなくて良くなるんですね?・・・」と涙声になっていた。
「ええ、ですがこの事は隠密にやりたいので警察や知り合い、家族にも内緒にして下さい。私達が絶対に許しませんから」。
「はい、そんな事誰にも話せません。外にも大勢いるんですか?・・・」
「いいえ、まだはっきり把めませんが、今月中には明らかになります。それまでにはきっと貴方の恨みを晴らしてあげますから」。
「はい、どなたか知りませんが有り難うございます」。
こうして美保は次ぎから次へ電話を入れていた。中には逆に揺すられると錯覚して、何もなかったと電話を切ってしまう女性もいた。しかし美保は切られても何度も電話をしつづけ。納得させていた。
そして長野自動車道に乗ると豊科に向かっていた。
こうして別荘には行かず実家に帰った二人は部屋に入ると手分けして被害者の家に電話をしまくった。
そして次ぎ次とリストから名前を消して行った。
翌日、仕事の合間を見ては電話をし、そして仕事が終わるとまた電話していた。
そして二日。リストの千五百人もの被害者の女性全員と連絡を取り終えた。
そんな中、金が振り込まれていたと言う女性の嬉しそうな声が二人の支えにもなっていた。
そんな二人の行動に母は気付いて部屋のドアをノックした。
「京平、美保さん。入るわよ。こそこそ隠れて二人で何をそんなに電話ばかりしているの?・・・」。
「別に隠れてなんかないさ。小山のペンションの事だよ。僕等がペンションの修理費用を融資したろ、それで小山が返済するまでは共同経営者だから、それで美保の大学の同期や高校のクラスメートの所へ営業していたんだ。後はパンフレットを送らせるだけ。変なアルバイトじゃないよ」。
「なんだ、そんな事なら部屋でこそこそしなくても良かったのに。でもお父さんの手前そうは行かないか」と、母親はニッコリ笑うとお茶と菓子を置いて出て行った。
美保はホッとしなかせらお茶を手にした。
「でも心苦しいね、お義母さんを騙すなんて」。
「仕方ないさ、こんな事しているなんてとても話せない。知らない方がいいんだよ」。
すると冷たい風がス~ッと入って来た。美保は窓を明けていた。
「見て、京平さん。星があんなに奇麗。悪い事をしている人も泣かされてる人も同じ星を見ているのよね」。
そう言って見上げる美保の横顔が一段と美しく見えた。京平はそっと肩を抱いた。二人は寒さを忘れ、満天の星空を眺めていた。
そして窓を閉めると京平は穂高連邦の地図を机の上に広げた。
美保はカラー写真のような地図を眺めて聞いた。
「登山を始めるの、私は反対です。小山さんに助けられた話を思い出しちゃう。登山は止めて、お願いだから」。
「そうじゃないよ、あの悪徳医師の六人に低山を登らせるんだ。僕は登山は懲りているからね」。
「うん、だったら良いけど。それでどうするの」。
「きっと約束は守ってお金は返済した筈だから、今度は一人九千万づつ用意させて福祉施設とユニセフ、エイズ撲滅基金に三千万づつ一億八千万づつ寄付させる。この間のお金は寄付出来なかったからね。それから最後に二千万づつ一億二千万をユキワリ草の費用として寄付させる」。
「うん、でもどうやって受け取るの?・・・」。
「もう考えてあるよ、全員に上高知に来てもらう。それで十石小屋へ行く歩荷さんに用意した金をダンボール箱に入れて渡して貰うんだ」。
「ぼっかさん?・・なあにそれ?・・・」
NO-57

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(56)&CG

2008-09-25 03:31:46 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(56)&CG

「皆んな、大変な事になった。私達のして来た事を或組織に知られてしまった。端的に言うと、今まで威し取った金を全額女性たちに返済しろと言う事だ。もし、他言したり身を守る手立てを講じた場合は真田とあの六人と同じ目に会うと言う事だった」。
すると五人の目付きが一斉に変わった。お互いに目を伺い、疑心暗鬼になっていた。
「宮田、それでお前はなんて答えたんだ」。
京都から飛んで来た佐野産婦人科の佐野良晴は宮田の顔を覗き込むように見るとドサッと椅子にもたれた。
「決まっているだろ、言う事を効かない訳にはゆかないよ、私はもう半数の女の口座に振り込んだ。誰だか知らないが、何処の女から何月何日幾ら受け取ったのか詳細に調べ上げていた。
それも、威した内容まで事細かく知っていた。それにこのホテルで六月に死なせてしまった女子大生の事まで知っていた」。
「それは真田を殺した奴に間違いないんだな」?
同じ横浜で開業している産婦人科の前田貞夫は縁のない眼鏡の下から鋭い視線を宮田に浴びせた。
「間違いない、真田が白馬に私達を呼び付けた事も知っていた。それに、用心棒の名前を言って帰った事も知っていた。
その二つの裏切りの為に真田は殺されたんだ。そう言っていたよ。彼等の言う通りにすれば約束は守るとも言っていた。
真田は色々と策を練り過ぎたからな。だから見ろ、息子や奥さんには手を出してないじゃないか。女達に金を返してもう止めようじゃないか」。
「宮田、お前怖じけづいたのか。俺は戦うぞ、せっかく命掛けで悪行とは知りながら手を染めてここまでやって金を溜めたんだ。総合病院を建設する目標はどうする。
嫌だと断った私をだ、貴様等が強引に私を仲間に引き入れたんだぞ。警察に捕まるのも、その組織と戦うのも同じだろ」。
東京で開業している美容整形外科の吉原信次は目くじらを立て、椅子を蹴飛ばした。そして腕を組むとそわそわ会議室を歩き回っていたのだった。
「おい、吉原。お前一人が逆らえば我々全員、いや、家族まで殺されるぞ。
お前それでも良いのか。金さえ返せば後は知れている。あの電話をして来たのは組織のボスだと言っていた。話しの内容からも信用出来る人物だと私は見た。
そのリーダーは正直に組織を運営して行くには大金がかかるとも言っていた。だから経費を払って見逃して貰おうじゃないか」。
「宮田、お前はその組織の回しものじゃないのか」?
「おい、止さないか。吉原それは言い過ぎだぞ。仲間割れしてどうするんだ。ドケチで傲慢な宮田がそう言っているんだ。宮田は銀行から金を降ろしてもう返しているんだぞ」。
「新田、有り難う。その事はいい、それより余計な事はしないで返そう。それが我々の身と家族を守る事になるんだからな」。
「俺は戦うぞ、田口、佐野、前田、新田、おまえ達はどうする。宮田の意見に賛成なのか。奴等は金が目的なんだ。俺達を殺したら金にはならないんだぞ。奴等に我々を殺せる筈がないさ」。
「吉原、こうも言っていた。もし人を雇った事が分かった時は商談は解消。リストは警察に送るって。あれは嘘や冗談じゃなかったよ。お前の勝手な行動で私達は終わりたくない。どうだ皆んな」。
すると、反対する吉原を全員が睨みつけた。その鋭く光る眼光には殺意にも似た冷たく見下すような目だった。
吉原信次は一瞬後ずさりしながら椅子の背を持って座った。
「分かったよ、返せば良いんだろ。総合病院を諦めればいいんだな、クソ~ッ、でも真田は何処の誰に目を付けられたんだ」?
「きっと息子の彼女を殺した事で組織に睨まれたんだろう。真田は一年半前にも息子の付き合っていた女を凍死させているんだ」。
「おい宮田、それは本当か?・・・皆んなも知っていたのか!・・それで、その事を息子は知っているのか」。
「いや、知らないだろう。女は息子に振られた事を苦に自殺って事でけりが着いているからな。真田と言う男は残忍な男だったからな」。
「そうか、じゃあ真田は殺されても当然だな。墓穴を掘ったのさ。しかしだ、真田はその皆んなのリストを組織に渡したって事か?・・・
いや、警察の家宅捜査では何も出なかった筈だ。もし出てれば私達はこうして居られないからな。それか息子か?・・・」。
「それはないな、そんな事したら残された病院も閉める嵌めになる。真田が渡したとしか考えられない。それか、その組織独自で調べあげたか。いまとなってはもうどうでも良い事だ。私達六人は訳の分からない組織に目を付けられたって事だけは確かなんだからな」。
「それで、組織の条件は?・・・」。
「さっき話したろ、ともかく二日と半日。七日の昼迄に金を全額返済しろと言う事だ。遅れた場合はその時点で商談は打ち切り、リストは警察に届くそうだ。だから金が目当てではないと言う事だ。一番始末悪いぞ。金は要らないと言うんだからな」。
「エ~ッ二日半かっ・・・」
すると宮田の携帯が突然鳴り出した。全員驚いてを身を反らした。
「はい、宮田です」。
「俺だ、どうかね。皆さんお集まりのようだが。話し合いは捗っているかな」。
「は、はい。いま全員揃って話を進めている所です」。
宮田は携帯に指を指し、組織から電話だとメモに書いた。残りの五人は宮田の廻りにそっと足音を忍ばせて集まった。
「そんな事は分かっている。班長さんは早速返金している様だな、結構な事だ。皆んな聴いているか」。
「はい、その通りです」。
「よし、呼んだら返事をして二度とこのような事はしませんと誓え。田口 」
「はい、二度と女性を騙して金を脅し取るような事はしません」。
佐野っ!
「はい、田口医師と同様二度とこのような事はしませんから許して下さい」。
吉原っ!
「はい、佐野医師同様二度とーこのような事はしません、許して下さい」。
新田っ!
「はい、吉原医師同様二度とこのような事はしませんから許して下さい」。
前田っ!
「はい。新田医師同様二度とこのような事はしませんから許して下さい」。
宮田っ!
「はい、前田医師同様二度とこのような事は絶対にしません、許して下さい」
「よし、お前達六人は誓約書にサインしたと同じ事になった。では会合は終わりにして早く帰って返済の準備を進めろ。
宮田から聞いての通り、ただ今から二日。十月七日午後十三時までに返済しろ。一人でも遅れた場合は商談は不成立になり、リストは警察に届く。残念ながら我々の組織への献金は諦める。しかし、外にも献金をさせて欲しいと言う奴等は大勢いるからね。では二日後に声を聞かせて頂く」。と切れた。
「おい、なんて奴だ。こんな若造に嘗められて良いのか」。
「吉原、お前死にたいのか。もしお前が逆らうと言うなら私がお前を殺すぞ。お前一人のせいで私達は死にたくないからな。家族も守りたい。それでも逆らうか」。
宮田のその言葉に外の四人の医師たちは椅子から立ち上がった。そして吉原信次を取り囲んだ。
「分かった、約束する。言われた通りにするよ。私達の完敗だな」。そして医師達はホテルを出ると個々に帰って行った。
その頃、美保と京平の二人は長野市に向かっていた。
NO-56-32


小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(55)&CG

2008-09-25 03:28:30 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(55)&CG

看護婦は返事をしたが声からしてえらい不満そうな受け答えだった。するとすぐに宮田輝雄が電話口に出た。
「はい、宮下です。真田先生の事とはどのような事でしょう」。
「貴様等ずいぶん卑劣な事をしているな。七月三日、佐伯友美銀行員二十歳、250万、七月十日、中村利江二十三歳OL200万。七月十七日、御崎静加二十七歳、佐乃運輸OL300万。
卑劣なのは六月七日、ホテル横浜3017号室。新村加奈十九歳短大生。田口、佐野、宮田、前田、吉原、新田お前ら回して乱暴して殺した。
此の三ケ月で数十人もの女性をオモチャにして殺しているな、卑猥な写真やビデオを撮って揺すり恐喝。貴様は外道か!っ」。
「ま、待て。待ってくれ。貴方は誰だ」。
「貴様、言葉には気をつけろ。俺か、俺達は真田茂を処刑した組織の代表だよ。さて、どうしたもんかね宮田院長先生よ」。
「か、金が目的なのか。金なら幾らでも欲しいだけやる、だから頼む、見逃してくれ」。
「貴様は誰に向かって口を効いているんだ。今も言葉に気を着けろと言ったばかりだろうが!」。と業と声を荒げて美保を見るとペロッと舌をだした。
「も・申し訳ありません。幾ら融通したら宜しいでしょうか」。と声が振るえていた。
「そうだ、善い子だ。確かに組織を運営して行くには大金が必要だな」。
「幾らでもお支払いしますから、どうか見逃して下さい」。
「では条件を伝える。仲間六人で女性から巻き上げた金を総て返済しろ。返済した事が確認が取れたら時点で連絡する。
お前が窓口になれ。分かったな。期日は二日、半日でも返済が遅れたときは、この取引は終了し、リストは警察に届くぞ。そうなればお前等全員、間違いなく死刑だな。
断っておくが、万が一用心棒を雇ったり、六人以外に話した時も真田と用心棒の六人のように死ぬぞ。お前等が白馬のみそら野に集まっていた事は調べが着いているんだ。
我々の組織は警察なんか目じゃないぞ、我々の組織力と強硬な行動力は。その代わり素直に行動して従えば神に誓って守る。信じるか否かは貴様等の勝手だがな。真田は二度ほど我々を裏切った。
お前等も知っているな。知らせるなと言うのを貴様等に知らせて用心棒を雇った。選択は死しかなかったと言う訳だ」。
「分かりました、今から連絡を取って皆なに伝えます」。
「もし、俺の話を録音してるならテープは捨てろ。殺されるぞ」。すると、ガチャガチャと録音スイッチを切る音がしてテープを外す音が受話器を通して聞こえていた。
「す、済みませんでした。いまテープを外して。いまライターで焼いています。二度としませんから許して下さい」。
「それから家族の事だが。娘の幸子は可愛いよな。貴様の動きで元気な姿を見れなくなるぞ。何を意味しているか分かるな」。
「は、はい。分かります」。
「その事を良く仲間に話しておけ。一人でも約束を敗った事が分かった時点で我々との取引は消滅する。それはお前等も元より家族や親戚に至るまで世間の冷たい眼差しの中へほうり出される事になる。
何より今まで築き上げてきた信用も人となりも地に堕ちる、辛い事になる。すぐに連絡を取れ。我々は近くで観ているぞ、六人全員を。二日後に電話する」。
京平は少し強い口調で言うと。そっと受話器を置いた。
「どう、困った顔が目に浮かぶわね」。
宮田は院長室にいた。京平からの電話が切れてもいつまでも受話器を手に耳に充てていた。そして思い出したかのように次々と電話を入れて招集を掛けた。
宮田輝雄は青ざめた顔をして白衣を脱ぎ、金庫から預金通帳と秘密のファイルを手にすると副院長に任せて早速出掛けて行った。
ファイルには、いままで揺すり取った女性の名前と住所が書き込まれていた。
銀行に着くと威し取った金額総てを降ろし、利子分と含め一億の現金を降ろした。銀行の支店長は困惑の眼差しで宮田を見送った。
それと言うのもケチで傲慢な宮田が落ち込んでいたからだった。
そして外の金融機関に寄ると、数件ずつに分けて女性の口座に振り込んでは、次々と返済して行った。
そして昼になり、午後二時になるとホテル横浜に向かった。
すると、知らせを受けた医師五人も相次いでホテルに到着し、ホテルの小会議室に集まった。そして椅子に掛けると宮田は口を開いた。
NO-55

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(54)&CG

2008-09-23 20:50:46 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(54)&CG

「ともかく凶器も足跡も痕跡が何もありませんのでね。正直言ってお手上げのようですな。紺野さん達にお聞きすれば何か手掛かりが見付かるんじゃないかって、祈る気持ちで伺ったんですが、どうやら空振りだったようです。
しかし、何処でどう繋っているのか分かりません」。
「祈る気持ちですか、僕等にとっては凄い迷惑ですが」。
「そうですね、今から真田夫婦が泊まっていたと言うみそら野のペンション・マリブですか、そこへ伺うんですがご存じですか?・・・」。
「ええ、知っていますよ。観光組み合いの寄り合いでも一緒になりますからね。案内しましょうか。今なら手が空いていますから」。
「それは助かります、是非お願いします。えっと、そう言えば小山さんに多額のお金を用立てたとか」?
三河警部は流石だと京平は心の隅で感じていた。
「はい、僕は美保の持参金まで借りて全財産です。小山には学生の頃、山で命を助けられましてね。その恩返しです。
小山にはもう会ったでしょう。彼の腕の傷は僕を助けてくれた時に付けた傷なんです。だから彼が困っているのを見過ごす事が出来なかっただけですよ。刑事さんは僕が真田茂さん達を殺してお金を奪ったとでも?・・・」。
「ほう、良く知っていますね。真田さんがお金をもっていた事を。マスコミにはまだ発表されていませんよ」。
「からかわないで下さい、この辺りのペンションの経営者なら殆ど知っていますよ。それに、銀行の窓口の望月は自分と同級生なんです。そう言う噂は直ぐに広がります。
それに、僕があの七人をどうやって殺す事ができるんですか。それに見ず知らずの人を殺す理由がないです」。
「そうですな、でも紺野さんは大学では国体に出るほどライフルの腕が良いとお聞きしましたよ」。
「それほどでもありません。あの七人は撃たれて殺されたんですか」?
すると三河警部は声を詰まらせた。京平は尚も食い下がった。
「では誰か銃声でも聞いたんですか。もし僕が犯人だったとして。ライフルでどうやって七人を一度に殺せるんです。機関銃でもなければ不可能でしょう、一度に七人を殺すには」。
「機関銃ですか、無理ですな」。
「おい、さっきから聞いてれば言いたい放題の事を言いやがって、そこのへっぽこ刑事、息子の退職金や嫁の持参金を貸して何処が悪いんだ。
黙って聞いてれば息子が殺したような口ぶりに聞こえるが、名誉毀損で訴えても良いんだぞ。
猟銃は私が管理してるんだ。あそこにある猟銃の鍵は銀行の貸金庫に入れてあって、11月の解禁前に鍵をもって来るが、それまでは誰も持ち出せないんだ。いいかげんにせんか」。
父良平は凄いけんまくで怒り出した、京平も初めて見る父の姿だった、そして母良江も怒っていた。
「済みません、刑事の嫌な所ですな。この通りお詫びします」。三河警部は立ち上がると頭を低く下げて詫びた。
「紺野さん気を悪くさせたらお詫びします」。
「何を言われても平気です。警察は相当困っているんですね。こんな所まで管轄外の警察が来て調べるんですから、それに免じて許してあげますよ。ではマリブへ案内します」。
京兵は両親に声を掛けると美保を連れてBMWで出た。
その後を刑事の覆面が着いて来た。二十分程でペンション・マリブに着くと、オーナーに事情を話をすると京兵たちは引き返した。そんな車の中、
「刑事って嫌ね、あてずっぽうでものを言うんたから。でもあの刑事は中々素直ね」。
「うん、何を聞かれても僕等にミスはないから平気だよ。でもさ、一つ気になるのは殺し屋はあの三人だけだったんだろうか、仲間や指令を出してる人間はいないのか」。
「うん、映画じゃ元締めみたいなのがいるけど、あれは映画だから。ゴルゴ13みたいに自分で受けていたんじゃないのかな」。
「アッハハハゴルゴ13は良かったな。もし元締めみたいなのがいたらさ、無くなったライフルや銃の事が気になっているだろうな」。
「うん。京平さん、話しは変わるけど、あの医者たちはどうするの。いまは動けないとしても貴明もやきもきしてるんじゃない」。
「そんな事ないさ、忙しいと思うよ。毎日のように警察が来て父親の身辺を調べているだろうから。下手に動けばそれこそ墓穴を掘る事になるからね。でも、僕等に動かれるよりその方が良いかもな」。
「本当ね、散々絞り取られて最後には始末されてしまうんだから。でも被害を受けていた女性はほっとしているだろうね。それよりマリブのオーナーに何話していたの」?
「うん、犯人だと思われて質問されるから余計な事は言わない方が良いって忠告しといた。笑っていたけどね」。
こうして警察の捜査はなんら進展もなく、時は流れていた。九月も押し迫って来ると白馬は朝夕の冷え込みが次第に多くなっていた。そして遠く白馬の山々や穂高連邦の峰々には赤や黄色の紅葉が目立ち初めていた。
そしてテレビのニュースからも軽井沢の事件のニュースが次第に流れなくなった。京平は一月振りに真田貴明に電話を入れた。
「そうか、それでお前は何をしている」?
「はい、父の病院の経理をしています。母は医者に戻って院長をして今は徐々に患者さんも来てくれるようになりました」。
「そうか。じゃあこっちは始動するぞ。例のディスクは処分しただろうな」。
「はい、言われるように処分しました。処分しておいて良かったです。あの翌日警察が来て病院と父の書斎から金庫まで全部調べられましたから。後はお任せします。
それから、御礼の事ですが。幾らでも請求して下さい。貴方のお陰で僕も母も父から自由になれたんですから」。
「分かった、もう少し熱りが冷めたら請求する。それまで頑張って仕事しろ。でも間違った事をしたら父親の二の舞えだぞ」。
「分かっています。僕はそんな事はしません」。
「よし、じゃあまた連絡する。母親を大事にしろ」。
そして十月に入った四日の日曜、京平達は久し振りに休みを貰った。
そして別荘にスーパーの袋を下げて向かった。そして途中の公衆電話の前で車を止めた。
そして六人の内の一人に電話を掛けた。すると日曜だと言うのに看護婦が出た。
「はい、宮田美容整形外科です」
「院長の宮田先生をお願いします」。
「院長はいま診察中ですのでお出になられません」
「いいから真田の事だ。そう伝えろ」。声を怒らせると看護師は怒ったのか、黙ったまま保留のオルゴールに切り替わった。
NO-54-26

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(53)&CG

2008-09-23 20:46:47 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(53)&CG

そして二日、三日と過ぎた九月五日の夕方、軽井沢警察署の会見が始まった。
そして血液判定とDNA鑑定に因って身元が判明したと言うのだった。
二人は聞いていて妙に感じていた。
すると、遺体は七人、いずれも所持品がなく、腐乱状態が激しい事と、獣や野犬に因って食い荒らされ、手足が無く、頭部が見付からない遺体もあり、身元の判定が遅れたと言うのだった。
そして会見で読み上げられた名前は真田茂とあの六人の名前だった。結局死因は特定できず、残っていた体には傷がない事から、紛失した頭部損傷に因る出血死ではないかと言う事だった。
「やあね、まだ若い人ばかりじゃない。獣や野犬ですって。でもどうして殺されたのかしらね」。何時来たのか、母は顔をしかめて聞いていた。
そして父は「なんて事だ」と首を振っていた。
そして二人は部屋に上がるとデレビを点けた。すると真田貴明が顔にぼかしを入れられ、リポーターからインタビューを受けていた。
その傍らでは母親らしい喪服の女性がうなだれていた。
「京平さん、あの人達何も持ってなかったなんて考えられないわよね。誰か見付けて持ち去ったのかしら」。
「たぶんそうだろうな。財布や時計、指輪の一つまで盗んで行ったんだろう、あの時ネックレスや凄い時計してたもの。僕等より上手がいたんだよ」。
それからと言うものは毎日軽井沢の事件でテレビのワイドショーやニュースではその話しで持ち切りだった。
そして一週間十日と過ぎ、京平のペンションでは毎日忙しく働いていた。そんな九月も中旬、静岡から二人の刑事が訪ねて来た。
それは、前に来た三河警部と小森刑事だった。京平と美保は事務所に案内すると話しを聞いた。
「お忙しい時期に済みません、実は今日伺ったのは大浜の事件の事と伊豆の亀石峠の交通事故の事なんですが。
紺野さんは六月十八日に伊豆の下田に仕事で行かれていますね。その帰りは何処を回って帰られました」。
「ええ、あの日は商談が擦れ込んで終わったのが、確か午後十時を回っていしまた、ホテルで夜食を軽く食べて帰路に就いたのが十一時を過ぎていましたか。それで伊東を回って亀石峠に入ったんです。そしたら霧が深くて通行止めの標識が出ていましてすぐに引き返して熱海を回って帰りました。家に着いたのが四時を回ってました」。
「良くそんなにハッキリ覚えていますね?・・・」。
三河警部は疑うような目をして京平の顔を横目で見た。
「それは覚えていますよ、その翌日の仕事が最後でしたからね。それに、下田の商談も翌日の商談もまとまって満足でしたから。
それに、帰りに美保に電話したら、ルーフ橋の方は霧で通行止めだと聞かされていましたから。それで亀石峠に回ったんです」。
「そうですか、もうご存じでしょうが、あの亀石峠の事故で亡くなった三人の身元が未だに不明なんです。あの夜、車とか何でも良いです、何か目撃されていませんか」。
「何かと言われても、国道からいくらも行かない間に霧が深くなって来ましたからね。すぐにUターンしましたから、それに、対向車と言えば下った国道の海沿いで擦れ違っただけです。その事故ってどの辺りで事故ったんですか」
「ええ、料金所から1.5キロ位下った所です」。
「だったら問題外です。自分はまだ民家のある時点で引き返しましたから。済みませんお役に立てなくて」。
「そうですか。霧の中ですな。では大浜の事件ですが、何か思い出された事はありませんかね、どんな事でもいいんです。最後にあの二人の車に接触したのは紺野さんと奥さん二人だけなんです。
あの大浜の角にあるおでん屋のお婆さんが、いま流行りのジープとあの二人の二台の車が通ったと言うだけで。外には何も」。
「この間も言いましたけど、もし誰かがいたとしてもあの車から逃げるので精一杯で。そんな回りを見ているような余裕なんかありませんでしたからね。でも刑事さん、新聞やニュースじゃ覚醒剤の取引していたって。あんな所で取引なんてするんですか」
「ええ。どんな所でもしますよ。所で。お二人は軽井沢のペンション森の星の小山久雄さんとはお知り合いだと言う事ですが」?
「ええ、小山は自分の大学の同期です。それが何か?・・」。
「ええ、八月十五日の日にお二人で泊まりに行かれたとか?・・・」。
「行きましたよ。父が忙しくて新婚旅行にも行かせてやれないからって、休みをくれたものですから。それで妻も軽井沢にはまだ行った事がないと言うんで、一日だけ小山の所へ遊びに行きました」。
「それは偶然ですか、それとも何か意味があって行かれた」。
「偶然とか意味だとか、どう言う事です。何が言いたいんです?・・・」。
「いえ、軽井沢に避暑に来られていた方全員にお聞きしている事なんです。気に触ったら許して下さい。
奥さんは京都ご出身だと言う事ですが。こんな事を聞いては失礼かも知れませんが、真田と言う名前に心当たりはありませんかね」。
「ええ、一人だけ知っています。親友が付き合っていた人が真田と言います。でも別れて、と言うか、その男に捨てられて、一年と・・・もう七カ月になりますか、自殺してしまいました。それが何か?・・・」。
「ええ、軽井沢で遺体で見付かった被害者の一人が、真田茂と言う医師でして、その息子が貴明さんと言いましてね。
奥さんの親友の佐々木友世さんとお付き合いしていた男の父親なんです。余りにも偶然でしたので、失礼してお聞きしたんです。
率直にお聞きしますが、その真田貴明さんと父親の関係は旨く行っていたんですかね?・・・」。
「そんな事知りません、友世に一度紹介されて名前を聞いただけですから。顔も良く覚えていません。それに家が何をしているなんて友世も話してくれなかったから。
ですから、父親との仲なんて知る分けないです。刑事さんはその息子さんが殺したと思っているんですか」?
「そうではありませんが。まず身内からって鉄則でしてね。しかし、その息子は和歌山にいましてね。奥さんの友人の高橋幸子さんの自殺の事で京都府警の刑事が尾行していまして、アリバイは完璧なんです。刑事が尾行していましたから」。
「アッハハハハそれはいい、刑事が証人じゃ盤石だ。それで、後の六人はどうして殺されたんです?・・・」。
NO-53

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(52)&CG

2008-09-21 02:11:13 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(52)&CG

そして、伊豆の伊東署からは亀石峠で交通事故死した三人の身元が未だに分からず、仏は無縁仏として既に埋葬したという事。
その事件の担当刑事も南署に呼ばれ、捜査会議に加わっていた。
「では、今日は伊東署の刑事の二人を交え、大浜海岸射殺事件の捜査会議を行います。
ちなみに、伊東署から来てもらったと言う事は。去る六月十九日未明、亀石峠で事故死した三人だが、所持していた運転免許証から東京都在住の堀田俊也、関野実、浜崎公雄、この三人はいずれも該当者なし。免許証は偽造である事が判明しています。
遺体は既に荼毘に伏され、埋葬されています。この三人は何者で何処から来て、目的はなんだったのか。まるで分かっていません。
我々はこの三人と、大浜で射殺された銃の鉄鋼弾は何か結び付きがあるのではないかと思い、伊東署からも出席して貰った訳です。
これまでの捜査では何一つ分かっていない。大浜の二人は射殺される前に、市内のレストランの支配人の新田進一さんを蹴り殺しています。
その現場に居合わせた客の全員から証言を取っています。その中の一組のカップルがいまして、偶然にも敷地の交差点で二人に追い掛けられ、大浜海岸、すなわち射殺された海岸まで逃げています。
しかし、そのカップルは大浜海岸まで逃げると二人の車は追い掛けて来なかったと証言し、自宅のあった敷地のアパートへ無事帰っています。
その時間、私が彼等のアパートに着いた頃で、私の車の後ろにいました。それで話を聴くと積極的に話してくれました。
現在そのカップルは実家のある白馬に戻り、結婚して実家のペンションを手伝っていますから。まず殺しには関係ないでしょう」。
こうして静岡県警南署では遅くまで会議は続けられていた。
そして三日、四日、一週間がまたたくまに過ぎた。
テレビのニュースも行方不明になった真田茂達の話題も薄れ掛けていた。
九月に入った初日、京平と美保は一日の仕事が終わって家族揃って遅い夕食を取っていた。
テレビを背にして食事をしていた京平の耳に、軽井沢の白糸ハイランドウェイの雑木林の中から、白骨化した死体が発見されたと言う話が耳に入った。
美保は京平を見ていた。京平は振り向いてニュースを聞いていた。
「なんだ、白骨死体だって。自殺か?・・・」。父は箸を止めると、食い入るようにテレビを見ていた。
「嫌ね、避暑地でそんな事件は。お父さん、早く食べて下さい」。母良江は食べ終わると、自分の食器を持って厨房へ入って行った。
京平は茶碗と箸を持ったまま美保の隣に座り、テレビを見ながら食事していた。
すると、画面はライブに切り替わった。サーチライトの中で現場は青いシートで囲まれ、警官が取り巻いていた。
見ていると、担架に乗せられた小さな遺体が幾つも引き上げられ、警察車両に乗せられていた。
そんな光景を美保は空になった茶碗を手にしながら眉間に皺を寄せ、ただ呆然と見詰めていた。そして目を反らした。
「この現場には死臭が漂っており、遺体は二人や三人ではないと思われます。詳しい事が分かり次第お伝えします」。と、現場のレポーターは鼻を押さえながら映像から消えた。そしてカメラはターンして警察車両が走り去るのを映していた。
「困った事だな、誰が殺したのか知らないが、殺された人にもそれなりの原因があったんだろう」。父良平はそう言うとお茶を啜っていた。
「そう言えば京平、お前達が軽井沢に行ったころじゃないか。京都の医者が行方不明になったと言うのは?・・」。
「ああ、このあいだ小山が金を借りに来た時に警察が聞きに来たって言っていたよ。それで美保が京都出身だから知り合いじゃないかって。なあ美保」。
「うん、下鴨の下鴨クリニックてって言っていたけど、名前は聞いた事あるかも知れないけど、かかった事ないですから」。
「そうか、小山さんの所へな。所で昨日の寄り合いで、みそら野のマリブの市川さんの所へ警察が調べに来たって話していたよ。
なんでも、その真田とか言う医者が奥さんと二人で泊まっていたそうだ。それでな、予定していた七日の宿泊を三日も早く切り上げて帰ったと言っていた。でも三日分は払ってくれたんだってさ。
なんでも女性から電話があって取り次いだら、偉い戸惑ったような顔をしていたと。そこへ信金の望月さんが来てさ、真田茂って言っていたかな、大金を降ろして古い紙幣に全部替えてくれって言ったそうだ。
誰かに恐喝でもされてたんだろうって望月さんが話していたよ」。
「望月の銀行へ。じゃあ警察に呼ばれたかもな。それで何か分かったの」?
「いや、話はそれで終わった。真田とか言う医者はその後軽井沢に行ったんだな。大金を持ったまま行方不明か。もう殺されているな。
それに和歌山の毒入りカレーなんて事件も起こっている事だし、おっかない世の中になったもんだ」。
「お父さん、そんな物騒な事は言わないで下さいな。美保さんが怖がっているじゃないですか。ねえ美保さん」。
「でも怖いですね。盆踊りの会場で毒入りカレーなんて。それも町内会主催なんですもの。誰を信じていいのか分かりませんよね。私達も静岡で、ねえ京平さん」。
「うん、ほら、前に話したろ。警察もここへも聞きに来たじゃないか。レストランの支配人を蹴り殺した二人組が殺されたって。そんな話はもう慣れたよ」。
「そうだったわね、それでその犯人は見付かったの?・・・」。
「まだだろ、ニュースでもやらないから。あんな暴力団は殺されて良かったんじゃないか。どうせ生きていたって他人に迷惑掛けるだけだからね。僕は殺されて良かったと思うよ」。
「私も、あのレストランで暴れた時の事を思い出すだけで鳥肌が立つもの。本当に怖かったんですよ」。
両親は頷きながら何も言わなかった、そして食器を片付けると二人は自分の部屋へ上がった。そして今後の対策を練っていた。
「美保、万が一警察が白糸ハイランドウェイの有料道路を通った事で聞きに来たらそのまま話せばいいから。
回りを散歩して滝を見て帰ったって。証拠はと聞かれたら観光客と一緒に撮った写真を思い出したように出せば良い」。
「うん、聞かれるまで余計な事は言わないから大丈夫、任せて」。
そして翌日。二人は早めに起きるとテレビの前に座って朝刊を見ながらニュースの始まるのを見ていた。
しかし、新聞にもニュースでも身元の事や詳しい死因については書かれておらず、夕べのニュースの内容と変わりはなかった。
NO-52-20

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(51)&CG

2008-09-21 02:09:13 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(51)&CG

「息子の貴明に聞いてみたら何か分かるかも知れないわよ」。
二人は戸締まりをすると別荘を出た。そして公衆電話に向かった。そして真田貴明の携帯に電話した。
「俺だ、少し聞きたい事がある」。
「ちょうど良かったです。さっき伝言を申し込んで来た所です」。
「なんだ、そっちから先に話せ」。
「はい、昨日父の知り合いの医師から電話があって。警察に余計な事は話すなと威しの電話が入ったんです」。
「どうしてお前を脅すんだ。その医者は何をしている医者なんだ」?
「はい、内科の外科医です。父と同じ個人病院の院長です。母に聞いたら、十五日の夕方にみそら野に顔を出したそうです。その事も母に黙っているようにって口止めされました。テレビ見ましたか」
「ああ、見た。あの六人は父親とはどう言う関係の男だ?・・・」
「あの六人は父の汚い仕事の後片付けをする掃除屋です。もしかしたらあの六人も」?
「俺達が片付けたから心配するな。それに思惑通りに事は進んで死体は暫く見付からないだろう。それで、みそら野に行った六人の名前と住所を知りたい」。
「えっ、どうして六人だと知っているんです」?
「俺達はバカじゃない、調べようとすれば直ぐに分かるが聞いた方が早いだろ。そんな事より知っているのか」?
「はい、分かります。父のアドレスに書いてあります。でもどうやって貴方に教えたらいいんです」。
「お前のメールのアドレスを教えろ。そこへ書き込んでくれ。いま直ぐに書き込んで四時には消せ」。
「分かりました」真田貴明はメールのアドレスを教えた。京平が復唱すると美保は書き留めていた。
「分かったな、明日の午前中にまた連絡する」。
二人は直ぐに実家へ帰った。そして部屋に入るとパソコンのスイッチを入れた。そして真田のメールを覗くと既に書き込まれていた。
京平はプリントアウトするとスイッチを切った。
そのアドレスには京都ばかりではなく、東京、神奈川三県に二人の医師の名前があり、孰も個人病院の院長ばかりだった。
「見て、この人達みんな同い年よ。同級生じゃないの」。
「うん、そうだね。みんな1945年生まれだ。それに真田だけ内科であとは美容整形外科医と産婦人科医だ。此れは何を意味してるか想像つくね」。
「まさか・・・卑猥な事を?・・・」
「うん、そのまさかだと思う。麻酔で眠らせて卑猥なビデオに撮って威してるか、裏ビデオとして金儲けしているんだろう。そうでなければ貴明の所へ業々電話で余計な事は話すななんて威しを掛ける必要はないからね」。
「バカね、墓穴を掘るってこの事を言うのよね」。
そして翌日、京平と美保は朝の仕事を終えると二人で買い物に出た。そして約束通り真田貴明に電話した。
「ユキワリ草さん、待っていました。父の金庫に入っていたディスクを調べていたらとんでもないリストが入っていました」。
「そうか、被害にあった女性のリストだな」。
「どうしてそれを!・・・」。
「そんな事はどうでもいい。それで被害額の累計と人数は」?
「はい。被害者の女性は1150人で平均すると一人三百万です。中には自殺した女性も何人かいます。まさかあの医者達と父がこんな卑劣な事をしていたなんて」。
「分かった。また三十分後に連絡を入れる」。電話を切ると美保に話し、どうするか相談した。
「やっぱりしていたんだ、でも医者の立場を利用してそんな事をしていたなんて、同じ女として許せない。ねえ、そのリストに幾ら誰から巻き上げたか分かるならさ、被害を受けた人達に返してやろう。それから財産を吸い取って裸にしてやろうよ」。
「分かった。じゃあそうしよう。貴明にディスクをセットして防衛システムを解除する様に言うよ」。
京平は車を降りると電話ボックスに入った。そしてボタンを押した。
「はい、真田です。どちら様でしょうか」?と貴明の母親が出てしまった。すると「お母さん、僕にだ」、貴明の声がして受話器を取った。
「はい、僕だけど」。
「俺だ、ビックリしたぞ。母親が出て」。
「済みませんでした、いま二階にいたものですから」。
「そうか。それで例のディスクをパソコンにいれてくれ。こちらからハッキングする。その後ディスクは割ってしまえ、そんな物が残っていたらお前が察から疑われるからな。リストを見てどうするか考える。結果はあとで知らせる」。
「分かりました。それから今し方軽井沢警察から連絡がありました。父が貸し自転車屋から借りた自転車が碓井峠の旧道で見付かったと言う事でした。
それで、安中市か富岡市に行ったか、それか一緒にいた六人の中の一人の林辰也と言う男のワゴン車が高崎駅の駐車場にあったと言う事で、父は六人と一緒に行動しているんじゃないかって事でした」
「そうか、じゃあ軽井沢署は手を引いたんだな。分かった。ではリストを見てから又電話する」。
急いで家に戻るとパソコンの前に入に座った。そして真田貴明のパソコンに侵入した。そしてリストを収録した。京平と美保は書かれていた内容に我が目を疑った。美保は意図も簡単にハッキングする京平に驚いていた。
「ねえ、ハッカーってこんな簡単に出来るの」?
「えっ、ハッカーを予防するシステムが解除されているから。それより凄いな、女性はこんな事までして奇麗になりたいんだ。美保は奇麗で良かったな」。
「有り難う、でも太っていたり染みのある女性にとっては深刻よ。そんな女性にさ、てぐすね引いて卑猥な写真やビデオを撮って恐喝するなんて最低。きっと肉体関係も迫っているわね」。
美保は眉間に皴を寄せて顔をしかめ、うんざりと言う顔をして京平の肩越しからリストを見ていた。
その頃、静岡県警では、大浜海岸で射殺された事件の捜査会議を開いていた。
事件が起きて早二ケ月、此れと言って犯人に結び付く物証も目撃者もなく、捜査は行き詰まっていた。
そんな中、唯一物的証拠とは二人の頭部を貫通した二発の鉄鋼弾だけだった。そして只、製造している所は国内に無いと言う事だけだった。
NO-51